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3DCGを駆使しUnreal Engine 4やPhotoshopでマンガを描く浅野いにおさんの作画の様子に迫るムービーが公開


東京に襲来した謎の円盤「母艦」によって狂っていく日常を描いた「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション」や、ヒヨコのような見た目で人間社会に溶け込む不思議な生き物「プンプン」の半生を描いた「おやすみプンプン」などの作者である浅野いにおさんは、マンガの背景を描くために、3D制作プラットフォームであるUnreal Engine 4やPhotoshopを取り入れ、緻密でリアリティのある作画を行っています。

Manga artist Inio Asano creates atmospheric backdrops | Project Spotlight | Unreal Engine - YouTube


アナログとデジタルを組み合わせて作画を行う浅野さん。


人物やベタ塗り、線画に起こした背景へのペン入れなど、一部は手作業で行われています。


「人間ってものを装飾するものとして背景は絶対必要なものなんですけど、『どこにいるか、どういう部屋で生活しているか』というものを見せてあげることで、どういう人間性であるかが絵で見て分かるようになるんです」と語る浅野さん。


浅野さんは「リアルな背景」に強いこだわりを持っており、Unreal Engine 4を導入するよりも前から写真を加工して背景に落とし込む方法を取り入れてきたとのこと。


たとえば、以下は「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション」に登場する母艦と写真を組み合わせた画像。母艦は連載当初はレゴブロックで、その後、Autodesk 3ds MaxやAutodesk Mayaでモデルを作り直したそうです。


合成した画像をPhotoshopで2階調化するなど、線画に落とし込みやすく加工したものが以下の画像です。この画像にペンを入れ、背景を作り上げていくというわけ。


しかし、写真での背景作画について「新鮮味がなくなってきた」「全部が僕の目線の高さの写真しかない」ということに気づき、作画の自由度を求めた結果、無料でダウンロードできるUnreal Engine 4を使ってみることにしたとのこと。


Unreal Engine 4のメリットとして、浅野さんは「3Dの空間を動き回れる」「ライティングや色の調節が簡単」「影が正確に描写される」といった点を挙げています。


キャラクターが暮らす部屋をまるごと作成することで、いろいろな角度から作画できるようにしたり……


写真では撮影できないようなシーンを作ったりもできます。


複雑な配置、アングルも、Unreal Engine 4とPhotoshopを駆使して描き出していきます。


学校の3Dモデルは教室だけでなく、廊下まで作られています。


浅野さんにとって、背景を描く上で一番難しいのは「自然物」とのこと。


Unreal Engine 4でランダムにオブジェクトを配置する機能、Foliageと、植物などの3Dモデルを使って、森のような自然に近い風景をクリックだけで簡単に作り出せることもUnreal Engine 4の魅力だそうです。


ファンタジーな世界観の街も作れます。


浅野さんがUnreal Engine 4で作った街や森、一番難しいと語る自然物が多く登場するのが、「勇者たち」という作品。


Unreal Engine 4を導入したことで、「今まで手間がかかるからやめておこうとか、面倒くさそうだからやめておこうかなと思ったことも、やってみようかなと思えるようになった」と浅野さんは語っています。


3DCGモデルでの背景作成について、浅野さんは「自分の求めていたものを短時間で実現できる」と語っています。


また、学校の教室や、母艦のような複雑なモデルも、一度作ってしまえば何度も使い回しが効くという点を3DCGモデルのメリットとして挙げています。


理想は「街全体を先に作ってしまって、その街の中で起きたことを漫画に描く」ことだと浅野さんは語っています。


もの作りをしている人たちへのメッセージとして、Unreal Engine 4のように、想像を形にできる、手に入りやすいツールが普及しているので「せっかくそういう環境があるんだったら、できるだけ自分のイメージに近づけられるようなものをどんどん取り入れていったらいいと思うんです」と語っていました。

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in ソフトウェア,   ネットサービス,   動画,   マンガ, Posted by darkhorse_log

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