サイエンス

イカは「夕食に出る大好物のために昼食をセーブする」と判明

by manseok Kim

その日の夕食のメニューが大好物だったり、楽しみな外食を控えていたりする時は、「お昼は腹八分目にしておこう」と思う人は多いはず。なんと海の軟体動物であるイカも、同様に大好物を食べるために昼食をセーブすることが可能だということが、実験で確かめられました。

CUTTLEFISH SHOW FLEXIBLE AND FUTURE-DEPENDENT FORAGING COGNITION
https://www.repository.cam.ac.uk/handle/1810/301004

Cuttlefish Can Refrain From Eating if They Know a Better Meal Is on The Way
https://www.sciencealert.com/cuttlefish-can-refrain-from-eating-if-they-know-a-better-meal-is-on-the-way

'Clever' cuttlefish will resist filling up on crab for lunch if they know there's shrimp for dinner | Daily Mail Online
https://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-7965751/Clever-cuttlefish-resist-filling-crab-lunch-know-theres-shrimp-dinner.html

将来を予測して我慢するというのは、実は高度な知能による自制心が必要な行動です。例えば、1970年にスタンフォード大学で行われたマシュマロ実験では、4歳の子どもに「マシュマロを1つあげるけど、食べるのを15分間我慢したら後でもう1つマシュマロをあげる」と伝えましたが、実際に我慢できた子どもは全体の3分の1ほどでした。

また、2020年1月に発表された「カラスのマシュマロ実験」では、野生のカラスも3歳~5歳の子どもとほとんど同じ自制心を発揮できることが確認され、専門家たちを驚かせました。

そんな中、ケンブリッジ大学心理学部のポリーン・ビヤール氏らの研究チームは、実験を通して「イカも将来を予測して採餌行動を最適化することが可能」だということを発見しました。研究チームは最初に、ヨーロッパに広く分布するヨーロッパコウイカの好物を確認するために、「カニとエビ」を等間隔で配置して与える実験を5日間行って、イカがどちらに食いつくかを観察しました。その結果、実験に使う29匹のイカの全てが「エビが好物」だということが分かったとのこと。

by Peter Hellberg

研究チームはその後、イカを2つのグループに分けて実験を開始。1つ目のグループに対しては、「日中はカニ・夜はエビ」を与えました。2つ目のグループにも、日中にカニを与えましたが、夜の餌がエビかどうかはランダムに決定されました。この食事メニューのまま16日間様子を見たところ、確実にエビがもらえるグループのイカは、日中に食べるカニの量が明らかに少なかったとのこと。一方、エビがもらえるか不確実な2つ目のグループでは、カニを食べる量を減らす様子は見られなかったとのことです。

1つ目のグループのイカが特別に賢い可能性を排除するため、研究チームは両グループのイカを交代させて同じ実験を行いましたが、予想どおりイカはすぐさま夜に必ずエビがもらえることに気付き、日中に食べるカニの量を減らしたとのことです。


ビヤール氏はこの結果について「イカはたった数日で、エビが夕方に出てくるかどうかを察知することができました。これは非常に複雑な行動で、洗練された脳を持っていなければできないことです」と述べました。

また、論文の共著者であるニコラ・クレイトン氏は「イカが見せた柔軟な採餌戦略は、イカが経験を元に環境の変化に迅速に適応できることを示しています。この発見は、複雑な認知能力の進化論的な起源について、貴重な洞察を提供するものです」と述べました。

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in サイエンス,   生き物, Posted by log1l_ks

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