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便利な出前代行サービスの裏でレストラン側が泣いているという証言

by Kai Pilger

「あのお店の料理を自宅で食べたい!」という時に便利なのが、出前を行っていないレストランの配達を代行してくれるフードデリバリーサービスです。利便性を武器に急速に拡大しつつあるフードデリバリーサービスですが、レストラン側からは「手ひどいやり口が横行している」との声が挙がっています。

Philly Restaurants Angry at Unauthorized Food Delivery “Partnerships”
https://www.phillymag.com/foobooz/2020/01/20/unauthorized-delivery-partnerships-philadelphia/

以下の画像は、ペンシルベニア州フィラデルフィアの人気フライドチキン店Love & Honey Fried ChickenがInstagramに投稿した、フードデリバリーサービスのGrubhubとのやり取りのスクリーンショットです。このやり取りでは、断りもなくサイト上に店のメニューを掲載したGrubhubに対し、店側が5回も連絡をして掲載を取り下げるように求めていますが、まったく対応がなされていないことが示されています。


Love & Honey Fried Chickenによると、いつまで経ってもGrubhubがメニューの取り下げに応じないため、同じ悩みを抱えている喫茶店とともに弁護士を雇って、法的措置を検討しているとのことです。


グルメ情報サイトEaterによると、こうした勝手な振る舞いにより料理店を苦しめているのは、Grubhubだけではないとのこと。カリフォルニア州サンフランシスコを拠点とするフードデリバリーサービスのDoorDashは2015年に、許可なくサービス対象店にしたとしてハンバーガーチェーンのIn-N-Out Burgerから起訴されているほか、同じくサンフランシスコのフードデリバリーサービス「Postmates」にも同様の問題が指摘されています。

フィラデルフィアで台湾料理店baologyを経営しているJudy Ni氏は、「DoorDashとGrubhubが、勝手に対象店のリストにうちを加えるのにはひどく参りました。配達業者が入店してくる度に、『うちはDoorDashのアカウントも持っていないんですよ』と説明していますが、宅配業者がお客さんにそのことを電話で伝えるのを見ていると、お客さんがひどく困っているのが分かりますし、お客さんのうちへの印象も悪くなってしまいます」と話しました。

問題は、勝手にリストに入れられることだけではありません。マレーシア料理店のSate KamparはInstagramで「フードデリバリーサービスは、間違った価格でうちの料理をメニューに載せています。それに、いきなりやってきて料理を出せと配達業者に言われたり、配達業者に注文された料理をお出ししたら、カンカンに怒ったお客さんから『料理が足りない』と電話がかかってきたこともあります」と訴えました。


フードデリバリーサービス側は、単に料理の価格を間違えるだけでなく、意図的に実際とは異なる値段を掲載する場合もあります。インドネシア料理店Hardenaのオーナーであるダイアナ・ウィジョジョ氏は、「以前の値段での注文がPostmates経由で来るようになったので、Postmatesに連絡をしたら『価格を改訂してほしければメンバーに加盟して下さい』といわれました」と証言。ハワイ料理店Poi Dogのオーナーであるキキ・アラニータ氏は、メンバーに加盟した際のコストについて「料理の値段の30%も取られてしまうので、うちの取り分がなくなってしまいます」と話しています。

勝手に料理店をパートナー店にしたり、巧妙なやり口でパートナー店への加盟を迫ったりしているにもかかわらず、フードデリバリーサービス業界は厳しい状況に置かれています。ニュースサイトThe Informationの調査によると、DoorDashは2020年に4億5000万ドル(約500億円)の損失を計上するとみられているほか、Grubhubの2020年の収益は2019年を大きく割り込むことが確実視されているとのこと。

Ni氏は地元紙Philadelphia Magazineの取材に対し、「私たちは公平な市場競争を求めているだけで、フードデリバリーサービスの利便性を否定するつもりはありません。お客さんには、もしお店に直接来られるならそうして欲しいし、誰もが適切な給料を受け取れるように、フードデリバリーサービスを使うなら少し高めの値段がかかるということを受け入れてほしいと思います」と話しています。

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in ネットサービス,   , Posted by log1l_ks

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