サイエンス

不要なメールの送受信が大量の二酸化炭素を排出しているとの指摘

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近年は地球温暖化などの気候変動が人々の生活や自然環境を脅かしており、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量を減らそうとする取り組みが急務です。そんな中、イギリスに本拠を置くエネルギー小売企業のOvo Energyが、「不要なメールの送受信によって毎年1万6000トンもの二酸化炭素が排出されている」と主張しています。

‘Think Before You Thank’ | OVO Energy
https://www.ovoenergy.com/ovo-newsroom/press-releases/2019/november/think-before-you-thank-if-every-brit-sent-one-less-thank-you-email-a-day-we-would-save-16433-tonnes-of-carbon-a-year-the-same-as-81152-flights-to-madrid.html

Pointless emails: they’re not just irritating – they have a massive carbon footprint | Technology | The Guardian
https://www.theguardian.com/technology/shortcuts/2019/nov/26/pointless-emails-theyre-not-just-irritating-they-have-a-massive-carbon-footprint

電子メールは遠く離れた場所にいる人とコミュニケーションを取る上で便利かつ重要な手段ですが、中には単なる儀礼的なメールや「ありがとう」という1語~数語で完結する、実際には不要なメールの送受信も多く行われています。Ovo Energyが専門家の協力を得て実施した調査によると、イギリス国内だけで1日あたり64万通もの「実際には不要な電子メール」が送受信されているとのこと。


実際にイギリス人に対して行ったアンケート調査では、49%の人々が「本当は必要のないメールを同僚や友人に毎日送っている」と認めました。電子メールでの他愛のないやり取りは、仕事中の息抜きや人間関係を深める上で役立つとも考えられますが、Ovo Energyによると、電子メールの送受信による二酸化炭素排出量は決して無視できる量ではないそうです。

Ovo Energyは、もし全てのイギリス人が不要なメールを送る回数を1日1回減らすことができれば、年間で1万6433トンもの二酸化炭素排出量を削減できると指摘。これはイギリスからマドリードへの片道航空便のフライトを8万1152回分、あるいは路上を走るディーゼル車を3334台が年間で排出する二酸化炭素排出量に匹敵すると、Ovo Energyは述べています。

by Anugrah Lohiya

Ovo Energyの調査に協力したイギリス・ランカスター大学マイク・バーナーズ=リー教授は、今回の分析が粗野な推定値であることを認めでいます。しかし、実際に電子メールの送受信がかなりの電力を消費し、二酸化炭素排出につながっているのは事実だそうです。

「あなたが電子メールをタイピングしている時、コンピューターは電気を使っています。送信ボタンを押すとメールがネットワークを通じて送られますが、ネットワークを実行するためにも電力が必要です。そして、メールを保存するデータセンターのクラウドでは、膨大な量の二酸化炭素が排出されています」と、バーナーズ=リー氏は述べています。

世界全体の二酸化炭素排出量からすれば、確かに電子メールによる二酸化炭素排出量は微々たるものかもしれません。それでも、バーナーズ=リー氏は今回の分析によって人々が自身の生活により二酸化炭素が排出されていることを自覚し、行動を始めるきっかけになり得ると主張しました。

なお、ロバート・カイリュー氏と共にWorld Wide Web(WWW)を考案し、ハイパーテキストシステムを実装・開発したティム・バーナーズ=リー氏は、マイク・バーナーズ=リー氏の兄弟です。この点についてどう思うのか、The Guardianがマイク・バーナーズ=リー氏に尋ねたところ、笑いながら「多くのよいものもウェブから生まれました」と話すにとどめたとのことです。

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in ネットサービス,   サイエンス, Posted by log1h_ik

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