メモ

トップ1%の収入は下位50%より100倍速く増えていることが調査から明らかに、その勢いを可視化するとこんな感じ

by Rawpixel

かねてより貧富の格差が拡大していると指摘されていましたが、経済学者が新たに、いかに富裕層が富を急激に増やしているかを示した表を公開しました。数十年という長期にわたって格差が拡大しているため個人レベルでその勢いを感じるのは難しいものですが、表やグラフで可視化されると、その変化は圧倒的であることがわかります。

The massive triumph of the rich, illustrated by stunning new data - The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/opinions/2019/12/09/massive-triumph-rich-illustrated-by-stunning-new-data/

'Staggering' New Data Shows Income of Top 1% Has Grown 100 Times Faster Than Bottom 50% Since 1970 | Common Dreams News
https://www.commondreams.org/news/2019/12/09/staggering-new-data-shows-income-top-1-has-grown-100-times-faster-bottom-50-1970

ワシントン・ポストのコラムニストであるグレッグ・サージェント氏によると、アメリカに住む富裕層はその収入と逆進税の構造によりますます裕福になり、最も裕福な1%の人々は過去50年で年収を3倍に増やしたことが判明しました。これは平均額にして80万ドル(約8800万円)の増加になりますが、一方で、下位50%の人々の年収は平均して8000ドル(約88万円)の増加にとどまったとのこと。トップ1%は税抜額で平均して年間100万ドル(約1億1000万円)以上を稼いでおり、下位50%と比較すると収入の成長率はなんと100倍にも上るそうです。

New data:

For top 1%, average income has risen by $800,000 since 1970.

For top 0.1%, it has risen by $4 million.

For top .01%, it has risen $20 million.

Bottom 50%? $8,000.

All this is *after taxes and transfers.*

Great work from @gabriel_zucman:https://t.co/iaxntlHdvl

— Greg Sargent (@ThePlumLineGS)


サージェント氏の発表は、経済学者のガブリエル・ザックマン氏とエマニュエル・サエズ氏の調査をもとにしたもの。2人は「The Triumph of Injustice」という本の中で、人々の手取り給与額がどのように変化したのかという表を公開しています。

以下がその表。縦列が年代を示し、上から下に10年刻みで記されています。また横列が平均年収の手取額をグループ化してもので、左から「下位50%」「50~90%」「トップ10~1%」「トップ1%」「トップ0.1%」「トップ0.01%」となっています。過去50年において下位50%の手取額はほとんど変わらない一方で、トップ0.01%は桁が変わっていることが読み取れます。また2000年から2010年までは不況で下位50%の手取額が減っていますが、トップ層は不況の影響を受けずに増加しています。


さらに「下位50%」(青)、「中位40%」(赤)、「トップ1%」(黄)をグラフにするとこんな感じ。下位・中位とは比較にならない勢いでにトップ1%の手取額が増加していることがわかります。


大統領候補を目指すエリザベス・ウォーレン議員をはじめとする一部の政治家は「Ultra-Millionaires Tax」(超富裕層税)と呼ばれる税の導入を主張しており、これには著名投資家のジョージ・ソロス氏らも賛成するところ。

ソロス氏ら米大富豪「超富裕層に課税を」 (写真=AP) :日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46527130V20C19A6000000/


ザックマン氏やサエズ氏は超富裕層税の導入にあたって「富の格差を理解するためには『トップ層の年収が爆発的に増加していること』と『全ての収入層の実効税率』という2つの点が重要です」と強調しました。市場で不平等がまん延しており税引き前の収入が不平等になっているのはもちろんですが、それに加えて税制がトップ層の収入を再配分することに消極的であるため、2つの要素が補強しあって格差を拡大しているとみられています。

過去70年で富裕層への税率がいかに下げられてきたのかは、以下のムービーからわかります。その変化は圧倒的です。

Watch how radically taxes on the wealthy have fallen over the past 70 years:

(Full column: https://t.co/XP0a4Iljti) pic.twitter.com/dGxmOjQ1b5

— David Leonhardt (@DLeonhardt)


コロンビア大学の持続可能な開発センターに務めるトニー・アネット氏は、成長の恩恵が全ての所得者に配分されるわけではなくなったことから、経済的幸福の尺度としてGDPはもはや使えないと指摘しました。

With this kind of distribution, it is no longer meaningful to rely on GDP, not even accounting for its other deficiencies. GDP became a widely used measure of economic well-being at a time when the benefits of growth were shared widely. https://t.co/IIL5EYMMGy

— Tony Annett (@tonyannett)


憂慮する科学者同盟セス・ミカエル氏もまた経済成長が少数の人々の手にとどまり、多くの人がその成長を見ないという状態について懸念しています。

even if you know that inequality is increasing, the scale is staggering to consider. the bulk of a *generation* of economic growth has been captured and concentrated in a few hands, and many people have barely seen any of it. https://t.co/XldPkUoIM9

— ????Seth D. / Michaels / A Wonderful Christmas Time (@sethdmichaels)

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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