サイエンス

大麻を乱用すると「心臓が変形する」可能性があると判明

by geralt

大麻は麻薬の中ではもっとも広く使用されているレクリエーショナルドラッグ(娯楽目的の麻薬)で、2016年時点の使用者は全世界で1億9200万人以上いると推測されています。しかし、3000人以上の心臓をスキャンした大規模な調査により、大麻の常用は重大な副作用をもたらす可能性があることが判明しました。

Association Between Recreational Cannabis Use and Cardiac Structure and Function - ScienceDirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1936878X19310095

Frequent marijuana use could literally change a person's heart | Inverse
https://www.inverse.com/article/61828-regular-cannabis-use-impacts-heart-health

Researchers identify possible link between cannabis use and structural changes to heart | EurekAlert! Science News
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-12/qmuo-rip121719.php

ニューハム大学病院の心臓専門医であるモハメッド・カンジ氏らの研究グループは、心血管疾患の既往歴がないイギリス人の男女3407人の心臓を核磁気共鳴画像法(MRI)でスキャンした画像を分析し、対象者らの大麻使用歴と比較しました。3407人の対象者のうち47人が大麻の常用者で、105人が調査の5年以上前に常用したことがある人でした。残りの3255人は大麻をほとんど、あるいはまったく使用したことがない人です。また対象者らの性別は、男性が45%・女性が55%で平均年齢は62歳でした。

分析の結果、大麻の常用者は心臓の左心室が大きく、初期の心機能障害の兆候が見られる傾向があったとのこと。また、高血圧治療薬を服用している可能性も高かったとのことです。左心室が大きくなった一方で、左心室全体の質量や、拍動により左心室が排出する血液の量の推測値は、ほかのグループとあまり変わりませんでした。また、左心室以外の心臓の部位にも、変化は見られなかったとのことです。

by Wapcaplet and Yaddah

また、5年以上前に大麻を常用していたグループは、大麻をほとんど使用したことがない人のグループと同じ結果だったことから、科学系ニュースサイトのInverseは、「大麻の常用を改めることで、大麻の乱用による有害な影響の一部を緩和できることが示唆されています」と指摘しました。

by audreysteenhaut

研究グループは、今回の研究の対象者のうち96%が白人で、大麻の使用状況は自己申告によるものであること、さらには喫煙や糖尿病などの影響が除外できないことから、今回の研究はあくまでも「予備的なもの」だと位置づけています。カンジ氏は「詳細な病理や、定期的な大麻の使用がもたらす長期的な影響を理解するには、さらなる研究が必要です。ヘルスケアの専門家たちは、詳細な研究結果が出るまで、娯楽目的での大麻の使用には慎重な立場をとる必要があるかもしれません」と述べて、さらなる調査研究の必要性を強調しました。

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in サイエンス, Posted by log1l_ks

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