PS4のゲームのボイスチャットで麻薬密売のやり取りが行われFBIが捜査に乗り出す

by Ion Şipilov

テクノロジーメディアのMotherboardが、2019年10月に連邦捜査局(FBI)が「PlayStation 4(PS4)上で形成された麻薬流通ネットワーク」を調査するために、捜査令状を申請していたと報じています。Motherboardによると、麻薬の売人たちは特定のゲームを使って麻薬の売買に関するやり取りを行っていたようです。

FBI Asked Sony for Data on User Who Allegedly Used PlayStation Network to Sell Cocaine - VICE
https://www.vice.com/en_us/article/zmjp73/fbi-asked-sony-playstation-4-user-data-cocaine-dealer

FBI pulled PlayStation 4 data to break up an alleged cocaine ring - Polygon
https://www.polygon.com/2019/12/3/20993770/playstation-4-cocaine-ring-fbi-psn-messages

麻薬の密売人である「Dola」ことCurtis Alexanderが、PS4のオンラインサービス上に形成した麻薬密売ネットワークに関する情報を集めるために、FBIはソニーに情報開示を求めています。FBIは機密情報源(CHS)と分類された個人から、Alexanderがコカインを1kg当たり3万4000ドル(約370万円)で販売しているという情報を入手。さらに、CHSはAlexanderがPS4のオンラインサービスであるPlayStation Network(PSN)で「Speedola20」というアカウントIDを使用していることもFBIに明かしました。

これらの情報を基に麻薬密売ネットワークを解体するために、FBIは2019年10月22日にミズーリ州西部地区の地方裁判所に捜査令状申請書を提出しています。この申請書によると、FBIはソニーに対して「本令状の送達から14日以内に上記の情報を政府に開示するように」と、一部のユーザーに関する情報開示を求めています。この「一部のユーザー」がAlexanderであるとみられています。

by Florian Gagnepain

CHSはPS4のゲームを通じてAlexanderと連絡を取ったそうで、裁判所文書には「ゲーム中には、CHSとAlexanderがオンラインマルチプレイが可能なゲームのプレイヤーが利用できる音声通信(ボイスチャット機能)で連絡を取った」と記されています。加えて、Alexanderはオンラインゲームの中の音声通話システムの会話は安全と考えているため、麻薬の密売にこの方法を選んだのではないかとも記されているそうです。なお、FBIによるとCHSはAlexanderから4400ドル(約48万円)で約100gの麻薬を購入したとのこと。

裁判所文書ではAlexanderとCHSが通話のために使ったゲームの名前は明らかにされていません。また、ゲーム内の音声通信内容がゲームの運営元もしくはソニーによって記録されているということもない模様。しかし、AlexanderはPSNのテキストメッセージ機能でもCHSと連絡を取り合ったため、麻薬の密売に関する情報はしっかりと残っているとして、ソニーに情報開示を求めることとなったようです。

そのため、FBIはソニーに対して保持している可能性のあるすべてのデータを開示するよう要求しています。情報開示を要求した項目には、「PSNアカウントに紐付けられたあらゆる通信内容」が含まれているため、アカウントが送受信したメールおよびチャット、その他のメッセージ、送信先のアドレスや送信日時などが含まれています。その他に、FBIは氏名・住所・電話番号・アカウントのパスワード・セキュリティ上の質問と回答・アカウントの登録とログインに使用されたIPアドレスなどの情報、さらにはAlexanderがプレイしたゲームに関する詳細や、ゲームの進行状況に関するデータも開示するよう求めているようです。

by Hello I'm Nik GB

なお、ソニーが情報開示に応じたかどうかは不明。Motherboardはソニーに対してコメントを求めたそうですが、記事作成時点では返答を得られていません。

Motherboardは「法執行機関はユーザーデータの提出をインターネット関連企業だけでなく、ゲームメーカーやインターネット接続機器メーカーに対してもますます求めるようになっている」としています。