メモ

中世ヨーロッパの物価をまとめたリスト

by Marc Wieland

中世の物価がわかるリストを、カリフォルニア大学デービス校の中世研究プログラムにおける名誉講師として働くケビン・ロディ氏が公開しています。

Medieval Price List
http://medieval.ucdavis.edu/120D/Money.html

中世における各通貨は以下のレートで計算されているとのこと。なお、中世の貨幣価値は現代と全く異なるため、現代の日本円への換算レートは不明です。

1ポンド(L)=20シリング(s)
1シリング=12ペンス(d)
1ペニー(ペンスの単数形)=4ファージング
1マルク=13シリング4ペンス

物価リストについては、「物価リストは封建制経済への誤解を招くものとなり得ます。なぜなら、中世では非常に多くのモノが世帯内で生産されたり、領主から供給されたりしたためです。例えば、騎士や貴族などに仕えた家臣や召使いは、給金を得るだけでなく、食料や住居、時には武器、布などを提供してもらっています。それがテンプル騎士団にもなれば、提供されるものは衣服や馬、鎧といったものになります」と記されており、あくまで記録が残っているものの物価をまとめたものに過ぎず、当時の人々がその価格であらゆるモノのやり取りをしていたというわけではないと記しています。

◆賃金
・傭兵の日給(1316年)
バナレット騎士4シリング
騎士:2シリング
兵士・騎士の従者:1シリング

・正規兵の日給(1346年)
エスクワイア・警官:1シリング
弓騎兵・装甲歩兵・軽騎兵・歩兵長:6ペンス
ウェールズ人の歩兵長:4ペンス
弓兵:4ペンス
ウェールズ人歩兵:2ペンス

・正規兵の日給(16世紀後期)
隊長:8シリング
補佐官(副官):4シリング
軍旗手:2シリング
ドラマー・トランペッター:20ペンス
騎兵:18ペンス
歩兵:8ペンス

by Moss

・その他の職業
労働者:年収最大2ポンド(1300年)
(平静時の)君主:年収3万ポンド(1300年)
男爵:年収200~500ポンド(1300年)
伯爵:年収400~1万1000ポンド(1300年)
トップ弁護士:年収300ポンド(1455年)
武具店の長:月収26シリング8ペンス(1544年)
武具店従業員:月収24シリング(1544年)
武具店見習い:日給6ペンス(1544年)
熟練石工:日給4ペンス(1351年)
熟練大工:日給3ペンス(1351年)
大工ギルドの病気の職員:週休14ペンス(1333年)
織工:日給5ペンス(1407年)
聖職者:年収4ポンド13シリング4ペンス(1379年)
従者:年収13シリング4ペンス~1ポンド(14世紀)
荷馬車の御者・荷物運搬人・鷹匠・馬手・使者:年収5シリング~8シリング8ペンス(14世紀)
使用人:年収2~4シリング(14世紀)
給仕:年収1~6シリング(14世紀)
ロンドン橋の監視員:年収10ポンド(1382年)

by Gui Avelar

◆馬
戦争馬:最大50シリング(12世紀頃?)
戦争馬:最大80ポンド(13世紀)
騎士の馬2頭:10ポンド(1374年)
ハイグレードな乗用馬:10ポンド(13世紀)
荷車用馬:10~20シリング(13世紀)

馬の価格は13世紀から14世紀にかけて劇的に変化したようです。

by Annie Spratt

◆食料と家畜
ガスコーニュ地方の最高のワイン:1ガロン当たり4ペンス(1331年)
ライン川地方の最高のワイン:1ガロン当たり8ペンス(1331年)
安価なワイン:1ガロン当たり3~4ペンス(13世紀後期)
最高のワイン:1ガロン当たり8~10ペンス(13世紀後期)
エール(高):1ガロン当たり1.5ペンス(14世紀)
エール(中):1ガロン当たり1ペンス(14世紀)
エール(低):1ガロン当たり0.75ペンス(14世紀)
一流エール:1ガロン当たり1~1.25ペンス(1320~1420年)
二流エール:1ガロン当たり0.75~1ペンス(1320~1420年)
サマセット州最高のエール:1ガロン当たり0.75ペンス(1338年)
ロンドン最高のエール:1ガロン当たり1.25ペンス(1338年)
ビール:1クォート当たり1ペンス(16世紀後半)
ドライフルーツ(レーズン、ナツメヤシなど):1ポンド当たり1~4ペンス(14世紀頃?)
スパイス(シナモン、グローブ、メイス、コショウ、砂糖など):1ポンド当たり1~3シリング
コショウ:1ポンド当たり4シリング(13世紀中頃)
コショウ:1ポンド当たり12ペンス(1279、1280年)
サフラン:1ポンド当たり12~15シリング(14世紀頃?)
良質な牛:10シリング(12世紀頃?)
牛:9シリング5ペンス(14世紀中頃)
牛:6シリング(1285~1290年)
雄牛:13シリング1.25ペンス(14世紀中頃)
羊:1シリング5ペンス(14世紀中頃)
サマセット州の去勢された雄羊:9~10ペンス(1338年)
ロンドンの去勢された雄羊:1シリング5ペンス(1338年)
サマセット州の豚:2シリング(1338年)
ロンドンの豚:3シリング(1338年)
家禽:1ペンス(1338年)
ニワトリ2羽:1ペンス(14世紀)
2ダースの卵:1ペンス(14世紀)
ガチョウ:6ペンス(1375年)
80ポンドのチーズ:3シリング4ペンス(13世紀後期)
塩漬けのニシン:5~10ペンス(1382年)
塩漬けのアナゴ:6ペンス(1422、1423年)
サマセット州のオーツ麦:1クォーター1シリング(1338年)
ロンドンのオーツ麦:1クォーター2シリング2ペンス(1338年)

by Eugene Zhyvchik

騎士または商人の世帯の年間食費:30~60ポンド(最大100ポンド)(15世紀)

◆本・教育
修道院学校:年間学費2ポンド(1392、1393年)
大学:年間学費2~10ポンド(14世紀後期)
フェンシングの指導:月10シリング(16世紀後期)
本7冊:5ポンド(1479年)
本126冊:113ポンド(1379年)
本のレンタル:1ぺシア当たり0.5~1ペンス(13世紀中頃)
※1ペシア=16コラム・62行・32文字、3万1744文字または約7500~8000単語

by Jaredd Craig

◆建物(年間賃料)
ロンドン橋にある138店舗:160ポンド4シリング(1365年)
ロンドンの3つの店舗:200ポンド(1365~1375年)
コテージ:5シリング(14世紀頃?)
職人の家:20シリング(14世紀頃?)
商人の家:2、3ポンド(14世紀頃?)
コテージ(2階建てで納屋が1つ):2ポンド(14世紀初期)
完成済みのヨークの長屋:最大5ポンド(14世紀初期)
中庭のある家:90ポンド超(14世紀初期)
ゴールドスミスホール:136ポンド(1365年)
大きなタイル張りの納屋:83ポンド(1309、1310年)

by Victor

◆衣服
おしゃれなガウン:10~50ポンド(14世紀後期)
紳士用靴:4ペンス(1470年代)
紳士用ブーツ:6ペンス(1470年代)
紳士用財布:1.5ペンス(1470年代)
紳士用帽子:10ペンス(1470年代)
裕福な農民向けのリネンシューズ:8ペンス(1313年)
裕福な農民向けの靴:6ペンス(1313年)
裕福な農民向けのウールの服:3シリング(1313年)
裕福な農民向けの毛皮の衣服:6シリング8ペンス(14世紀初期)
裕福な農民向けのチュニック:3シリング(14世紀初期)
裕福な農民向けのリネン:1シリング(14世紀初期)
土地を持たない農奴が着用するチュニック:1~6ペンス
農民が着用するチュニック用の布:1ヤード当たり8ペンス~1シリング3ペンス(14世紀初期)
高品質のウール:1ヤード当たり5シリング
シルク:1ヤード当たり10~12シリング

by Bianca Berg

◆鎧
鎧:100シリング(12世紀頃?)
ミラノ製の鎧:8ポンド6シリング8ペンス(1441年)
従者用の鎧:5、6ポンド16シリング8ペンス(1441年)
プリンスオブウェールズの鎧:340ポンド(1614年)
ランスアーマー:3ポンド6シリング8ペンス(1590年)
コルセット:30シリング(1590年)
商人向けの鎧(革製?):5シリング(1285~1290年)
騎士が所有する全身鎧:16ポンド6シリング8ペンス(1374年)

by Slejven Djurakovic

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in メモ, Posted by logu_ii

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