【訃報】「奥さまは魔女」のナレーションなどで知られる声優・中村正さん死去

東京俳優生活協同組合(俳協)の創立メンバーであり、ドラマ「奥さまは魔女」のナレーションや「チャーリーズ・エンジェル」のチャーリー役といった吹き替え、アニメ映画「サマーウォーズ」陣内万作役や「未来のミライ」新幹線役など、優しいバリトンボイスで活躍した声優の中村正さんが、2019年11月11日に胆嚢(たんのう)炎による敗血症で亡くなったことが発表されました。89歳でした。

訃報　中村 正
https://haikyo.co.jp/information/info55/info.html

声優の中村正さん死去：時事ドットコム
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019112201024

声優の中村正さん死去「奥さまは魔女」「未来のミライ」：朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASMCQ643KMCQUCVL01R.html

中村さんは1929年12月24日生まれで、愛知県名古屋市出身。

1952年にラジオ東京放送劇団に入ったのち、1960年、東京俳優生活協同組合(俳協)の立ち上げに参加。以後、約60年にわたって第一線で活躍しました。

中村さんの代表作の1つが、1966年～1968年に初めて放送された海外ドラマ「奥さまは魔女」。「奥さまの名前は『サマンサ』。旦那さまの名前は『ダーリン』。ごく普通のふたりは、ごく普通の恋をし、ごく普通の結婚をしました。ただひとつ違っていたのは――奥さまは『魔女』だったのです！」というナレーションはその後、他の番組やCMでもパロディとして用いられるものになりました。

ドラマ放送から50周年を記念した一挙放送時のCMで、中村さんによるナレーションを聞くことができます。なお、「奥さまは魔女」といえばこのナレーションというぐらいに親しみのあるものですが、原語版には初回以外はない、日本語吹替版独自のものだそうです。

放送50周年記念　「奥さまは魔女」一挙放送！Season１ - YouTube


同様に代表的なものが、1977年～1982年放送の海外ドラマ「チャーリーズ・エンジェル」でジョン・フォーサイスが演じたチャーリー・タウンゼント役。2000年に公開された映画版、および2003年に公開された映画の続編でも、引き続きフォーサイスの演じるチャーリー役を担当し、シリーズの連続性を感じさせてくれました。

吹き替えで多数の作品を担当したほか、テレビドラマへの出演や番組・CMのナレーションなどでも幅広く活躍。

アニメでは「巨人の星」の川上哲治役、「らんま1/2 熱闘編」で前述の「奥さまは魔女」を思わせるオープニングナレーション、「ジャイアントロボ THE ANIMATION 地球が静止する日」の策士・諸葛亮孔明役、「鉄人28号」(2004年放送版)のビッグファイア博士などを演じました。

業界の男性声優が総出で出演し「銀河声優伝説」とも称されたアニメ「銀河英雄伝説」ではラインハルトの秘書官を務めるヒルデガルド・フォン・マリーンドルフの父、フランツ・フォン・マリーンドルフ伯爵を担当。新作「銀河英雄伝説 Die Neue These」では、この役は田中正彦さんに引き継がれています。

細田守監督の映画には「時をかける少女」「サマーウォーズ」「おおかみこどもの雨と雪」「バケモノの子」「未来のミライ」と5作品に出演。「サマーウォーズ」の陣内万作役は、大家族である陣内家のおばあちゃん・栄の三男で内科医。劇場用予告では、主人公・健二に対して「ところでムコ殿、二世の方は？」となんともいえない質問を投げかける姿が出てくる一方で、難題に挑む健二に「君にしか解けないんだろう？これは」と支える姿が見られます。

「サマーウォーズ」　劇場用予告 - YouTube


以下の「小林さんちのメイドラゴン」PVでも、優しさと温かみを感じさせるナレーションが聞けます。

TVアニメ『小林さんちのメイドラゴン』 PV第2弾 - YouTube


中村さんが所属していた俳協によると、お別れ会については今のところ予定はないとのことです。