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GoogleとOracleが繰り広げる訴訟で「APIは著作権保護対象か否か」について最高裁判所が審理に乗り出すことに

by WilliamCho

OracleはGoogleに対して「Java APIをAndroidに無断使用している」と訴えており、実に10年近くにわたって争いを繰り広げてきました。損害賠償額が88億ドル(約9500億円)もの巨額である点も注目を集めたこの訴訟について、2014年には「APIは著作権保護の対象となる」という判決が下されましたが、Googleはこの点についての見直しを求め続け、ついにアメリカ合衆国最高裁判所がGoogleの上告を受理したことが判明しました。

Miscellaneous Order (11/15/2019) - 111519zr_8n59.pdf
(PDFファイル)https://www.supremecourt.gov/orders/courtorders/111519zr_8n59.pdf

The Supreme Court will hear long-running Google and Oracle copyright lawsuit - The Verge
https://www.theverge.com/2019/11/15/20946398/oracle-google-java-copyright-lawsuit-trial-supreme-court-request

Supreme Court agrees to review disastrous ruling on API copyrights | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2019/11/supreme-court-will-review-high-stakes-google-v-oracle-ruling/


Oracleは2010年1月、Javaの開発元であるサン・マイクロシステムズを買収した後で、「買収により取得したJava関連特許とJava APIの著作権をGoogleが侵害している」として訴訟を起こしました。Googleは該当するAPIをAndroidで使用していましたが、従来のAPIに関する考え方を踏まえて、著作権の保護対象にはならないと主張。2014年にはAPIが著作権保護の対象と認められつつも、「Java APIの利用がフェアユースか否か」について争った2016年の裁判ではGoogleが勝訴。しかし、2018年に下されたアメリカ巡回区控訴裁判所の判決ではOracleが逆転勝訴を収めるなど、長年にわたる争いを繰り広げてきました。

この訴訟に関連し、Googleは最高裁判所に対して「ソフトウェアのインターフェースが著作物になるのか」という点についての見直しを求めており、2019年1月24日付けで嘆願書を提出。Googleは、著作権法の境界線を決める裁判所の判断は著作権法にとって重要なだけでなく、ソフトウェア開発の未来にも大きく関わってくると主張しています。

Googleが「コードが著作権の対象になる」という裁判所判断はソフトウェア開発の未来を左右するとして対Oracle訴訟について嘆願書を提出 - GIGAZINE


この裁判に注目しているのは、当事者のGoogleやOracleだけではありません。Microsoft、Mozilla、および他のいくつかの企業はGoogleの請願を支持しており、巡回区控訴裁判所の決定はソフトウェアプラットフォームで動作するプログラムを生み出す開発者の能力を破壊するものだと指摘。非営利団体のパブリック・ナレッジ電子フロンティア財団も、Googleの支援を表明しています。

著作権学者のJames Grimmelmann氏は、「巡回区控訴裁判所の決定は、ソフトウェアの革新についての継続的な活力を脅かすものです」として懸念を表明しています。APIの著作権を保護すると、Oracleがサン・マイクロシステムズを買収してGoogleに対する訴訟を開始したように、古いソフトウェアの権利を取得して新しいソフトウェアを開発する人々に対する訴訟を起こす、新たなパテント・トロールを生み出す危険があるとのこと。また、訴訟に巻き込まれないようにするために、企業が競合他社との互換性を意図的に排除する動きが強まり、ユーザーの利便性が損なわれる可能性もあるとGrimmelmann氏は指摘しました。

そして2019年11月15日、最高裁判所がGoogleの上告を受理し、APIの著作権に関する審理を行うことを発表しました。Googleのグローバル・シニア・ヴァイスプレジデント兼最高法務責任者のケント・ウォーカー氏は、「私たちはこの訴訟を再検討する最高裁判所の決定を歓迎し、裁判所がアメリカの競争力におけるソフトウェアの相互運用性の重要性を再確認することを望みます。開発者はプラットフォームを超えてアプリケーションを作成できるべきであり、特定の企業のソフトウェアに縛られるべきではありません」と、The Vergeに対してコメントしました。

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