ネットサービス

Amazonはサードパーティ業者の販売する禁止品・リコール品・偽造品により莫大な利益を得ているという指摘

by Christian Wiediger

世界最大級のECサイトであるAmazonでは、日用雑貨や食料品、衣料品、電化製品などさまざまなものが購入できますが、そのほとんどはAmazon自身が販売しているものではなく、サードパーティーの売り手が出品する「Amazonマーケットプレイス」の商品です。Amazonのマーケットプレイスは不自然なレビューが多数投稿されていたり、詐欺が横行していたりと、そのあり方が問題視されることも少なくありませんが、マーケットプレイスは莫大な収益を生み出しているため大きな変更が加えられるということはありませんでした。そんなAmazonとマーケットプレイスのいびつな関係を、ウォールストリートジャーナルが報じています。

Amazon’s Heavy Recruitment of Chinese Sellers Puts Consumers at Risk - WSJ
https://www.wsj.com/articles/amazons-heavy-recruitment-of-chinese-sellers-puts-consumers-at-risk-11573489075

Amazon gains unfair edge by making sellers use its shipping, complaint says | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2019/11/amazon-gains-unfair-edge-by-making-sellers-use-its-shipping-complaint-says/

ジェフ・ベゾスCEOによると、Amazonの小売分野の収益の約58%はサードパーティによるものだそうです。しかし、長らく指摘されているように、Amazonのマーケットプレイスは最小限の品質管理が行われているだけの半ば無法地帯と化しているため、命の危険につながるような取引が禁止された商品やリコール品などがそのまま販売されているケースもあります。

Amazonは命の危険につながる禁止品・リコール品・偽造品を販売し続けているという指摘 - GIGAZINE

by Christian Wiediger

ウォールストリートジャーナルによると、Amazonは2013年から中国企業向けに「マーケットプレイスを活用して世界中の顧客に商品を直接販売すること」を推奨しており、そのためのさまざまなキャンペーンを行ってきたそうです。2017年には、中国におけるAmazonのセールスディレクターが、中国のビジネスリーダーたちに対して「工場がAmazon上にアカウントを開設し、アメリカの顧客に直接商品を販売することを支援します」と語り、Amazonが中国企業のマーケットプレイスへの進出を促したことが明らかになっています。元Amazonの従業員という匿名の人物から情報を入手したウォールストリートジャーナルによると、2016年までにAmazon内の「中国企業のマーケットプレイス進出を支援するチーム」のメンバーは150人にまで膨れ上がっていたそうです。

こういったAmazonの地道な努力の末、マーケットプレイスには中国を拠点とするサードパーティベンダーが多数あふれるようになり、その結果Amazon上には多数の禁止品・リコール品・偽造品が蔓延するようになったとウォールストリートジャーナルは指摘しています。ウォールストリートジャーナルの調査によると、禁止品・リコール品・偽造品などを出品する悪質なサードパーティベンダーのうち、住所が特定できたのは約2000件で、その実に54%が中国を拠点としていたそうです。

また、2019年10月時点でAmazon上で最も多くレビューされたマーケットプレイス出品者のうち、約38%が中国に拠点を置いていることも明らかになっています。なお、サードパーティのベンダーは拠点情報をAmazonのサイト上で開示する必要がないため、ウォールストリートジャーナルは調査会社のMarketplace Pulseと協力してメキシコ版のAmazon経由で出品者の拠点情報を調査したそうです。なお、Amazonはウォールストリートジャーナルの報道に対して、「上位1万件のアカウントの拠点が中国であるというのは、大幅に誇張した数字です」とコメントしていますが、その正確な数字については明らかにしていません。

by Hello I'm Nik GB

ウォールストリートジャーナルによると、Amazonの中国での活動によりマーケットプレイスには多くの中国企業が集まるようになりましたが、その結果マーケットプレイス上には禁止品・リコール品・偽造品があふれるようになってしまったため、「Amazonはこれに頭を悩ませている」とのこと。

しかし、Amazonはウォールストリートジャーナルに対して、「我々のマーケットプレイス上に存在する不正なベンダーはごく一部で、その売り手は中国だけでなく世界のあらゆる土地から集まります。そういった悪質なベンダーがどこに拠点を置いているかに関係なく、我々はマーケットプレイスでのショッピングや販売体験に悪影響を及ぼす前に、そういったアカウントを止めるよう努力しています」とコメントしており、悪質なサードパーティを排除するために懸命に取り組んでいると主張し、中国から悪質なサードパーティが集まっているという指摘を否定しています。

by chuttersnap

一方、Amazonのアメリカ市場でのサードパーティベンダーの扱いについては、アメリカの規制当局が厳重に監視しています。Bloombergが独自に入手した情報によると、アメリカ下院の公正取引委員会は、Amazonに対して「反競争的行為を行っている」と非難しているそうです。また、Amazonはヨーロッパでも独占禁止法に関する調査を受けており、欧州委員会の規制当局から「Amazonはマーケットプレイスの販売データを収集し、自社ブランドで何を生産・宣伝するか決めている」と指摘されています。

マーケットプレイスに禁止品・リコール品・偽造品があふれていると指摘されているAmazonですが、2019年7月には「Amazonはマーケットプレイスに出品するサードパーティの業者が販売する製品に対しても法的責任を負うべき」という判決が下っているため、今後Amazonがマーケットプレイスに対して何かしらの抜本的な改革を施す可能性はあります。

Amazonはサードパーティ業者が販売する製品についても法的責任を負う必要があるという判決 - GIGAZINE

by Mein Deal

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
Amazonは命の危険につながる禁止品・リコール品・偽造品を販売し続けているという指摘 - GIGAZINE

Amazonがマーケットプレイス商品の価格をアルゴリズムで最適化する新たなサービス「Sold by Amazon」を開始 - GIGAZINE

Amazonマーケットプレイスで繰り広げられる仁義なき戦い、脅迫・妨害・偽レビュー・Amazon従業員の買収などなんでもござれ - GIGAZINE

AmazonがApple未認定の再販業者をマーケットプレイス上から締め出す、業者にとっては「最悪のシナリオ」か - GIGAZINE

Amazonマーケットプレイスで購入した高価なレンズを受け取れずAmazon返金保証まで拒否される詐欺手口とは? - GIGAZINE

in ネットサービス, Posted by logu_ii

You can read the machine translated English article here.