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Apple Watch Series 5は前モデルから一体どれだけ進化を遂げたのか?


Apple Watchの最新モデルであるApple Watch Series 5が2019年9月20日(金)に登場します。コンパス内蔵やディスプレイ常時点灯といった新しい機能が加えられているものの、Series 5の見た目は前モデルであるSeries 4とほとんど変わりません。実際にApple Watch Series 5をつけた感想を、技術系メディアThe Vergeの記者であるディーター・ボーン氏がまとめていました。

Apple Watch Series 5 review: always-on and better in all ways - The Verge
https://www.theverge.com/users/vjeranp


Apple Watch Series 5の実機がどんなものなのかは、以下の記事をみるとよくわかります。

Apple Watch Series 5実機写真・ムービーまとめ、コンパス内蔵&ディスプレイ常時点灯が可能に - GIGAZINE


Series 5のサイズや形状はSeries 4と同じで、44mmモデルと40mmモデルの2種類が用意されています。Series 5の内蔵しているチップは64bitデュアルコアS5プロセッサで、Series 4のS4プロセッサから1世代分進化しているように見えます。しかし、アプリ開発者のSteve Troughton-Smith氏がチェックしたところ、Series 5とSeries 4で同じ世代のCPUとGPUを搭載していることが判明したとのこと。

According to Xcode, Apple Watch Series 5 has the same generation CPU/GPU as the Apple Watch Series 4; I guess the only changes are a gyro and 32GB of NAND? The plus side of that is that we won't have to worry about watchOS being slower on the Series 4 than on a brand new model

— Steve Troughton-Smith (@stroughtonsmith)


また、「Apple Watch Edition Series 5」としてシリーズ初となるチタニウムモデルや、セラミックモデルも発売されることが発表されました。ボーン氏は「より高価な素材には微妙な重さの違いがあり、時計の前面にもサファイアガラスがあります。しかし、いずれも同じApple Watchであって、単によりオシャレなものにお金を払うだけです。機能の観点から優れていることを期待するのであれば、これらのプレミアム素材に余分なお金を費やすべきではありません」と述べています。

◆よかった点
これまでのApple Watchでは、待機状態ではディスプレイがオフの状態になり、手首をぐいっと上げなければディスプレイが点灯しませんでした。そのため、周囲から時間を確認していることがわかってしまうぐらいに腕を動かさなければならず、会話や会議の途中にさりげなく時間を確認したい時には不便なものがありました。しかし、Series 5はディスプレイが常時点灯しているため、普通の時計と同じように視線だけで時間を確認できるようになりました。

Series 5では、他のスマートウォッチが既に採用していたディスプレイ常時点灯がようやくApple Watchにも導入されました。前モデルのSeries 4から搭載されていたLTPO(Low Temperature Polycrystalline Oxide)という技術を応用することで、ディスプレイを常に点灯させながらバッテリーをほぼ1日持たせることが可能になりました。

How the always-on display appears on the ceramic Apple Watch Series 5 #AppleEvent pic.twitter.com/dt5iff3zFK

— Rhiannon Williams (@RhiannonJudithW)


また、Series 5は待機時画面のリフレッシュレートが60Hzから1Hzに変更されるため、画面表示に必要な電力が大幅に削減されるとのこと。このリフレッシュレートの制御は超低電力ディスプレイドライバー、より効率化した電力管理集積回路、新しい環境光センサーで可能になるため、Series 5でなければディスプレイ常時点灯を実現できません。


そして、GPSモデルとGPS+セルラーモデルの2種類が用意されているのは前モデルと同じでありながら、Series 5では両モデルとも携帯電話通信機能を内蔵しているため、世界中のほぼすべての国でApple Watchから緊急通報が可能になったとのこと。ただし、通常の電話やSMSを行うためにはGPS+セルラーモデルで携帯電話キャリアと契約する必要があります。

さらに、Series 5はコンパスが内蔵されているため、マップナビゲーション機能が強化されました。アクティブに歩き回る人にとっては役立つだろうとボーン氏は述べています。

Apple Watch Series 5 Review watch it now https://t.co/lddxYoFjxu #applewatch #ios13 #iphone #tech #series5 #applewatchseries5 #apple pic.twitter.com/BM7J4oTFex

— Custom Cell (@cell_custom)


ただし、Apple製品関連のニュースを扱うMacRumorsによると、ミラネーゼループレザーループモダンバックルといったマグネット式のリストバンドを使うと、内蔵しているコンパスと干渉を起こし、正しく機能しない可能性があるとのことでした。

◆悪かった点
Series 5が抱える最大の問題点として、ボーン氏は「バッテリー寿命」を挙げています。Appleは、Series 5のバッテリーは「時刻のチェック、通知の受信、アプリの使用、60分間のワークアウトをすることなどを計算に入れて、一晩の充電で18時間持続する」と公表しています。世の中にあるスマートウォッチには、Apple Watchと同じように通知や天気などの基本的な機能をおさえつつ、バッテリーを数日、あるいは数週間から数カ月までもたせることが可能なモデルもあると指摘しながら「前モデルのSeries 4よりもバッテリー寿命が短くなったわけではありませんが、Series 5のバッテリー寿命もせいぜい同程度であり、毎日充電する必要があります」とボーン氏。

Series 5では初期から搭載されているwatchOS 6の大きな特徴として、iPhoneがなくてもApple WatchからApp Storeにアクセスできるようになります。「これでApple WatchがiPhoneから独立してカスタマイズできるようになる」とAppleは発表していましたが、Apple Watch側からアプリをセットアップするためにiPhoneが必要なケースが多いため、結果的にApple WatchがiPhoneから完全に独立したとはいいづらいとボーン氏。Apple Watch側のApp Storeも閲覧しづらいため、結局iPhoneを手元に置く必要があると指摘しています。

以下の画面は、ポルトガル語表記ですが、Apple WatchのApp Storeのスクリーンショット。

“Agora tem App Store no Apple Watch, finalmente não vou ficar mais dependente do iPhone!” pic.twitter.com/ycQNQrJ1nO

— Willian Pro Max (@WillianMax)


さらに、月経周期管理アプリや電卓アプリ、騒音測定アプリなどが追加されたのは素晴らしいことだと評する一方で、ボーン氏は「サードパーティーによる時計盤を許可しないことにはますますイライラしています」とコメントしています。

そして、至極当然ではありますが、Androidスマートフォンとの連携は前モデルと同じく想定されていないため、iPhoneユーザーでなければ活用できないところも残念な部分であるとボーン氏は述べています。日本ではiPhoneのシェアは2019年8月時点で69.8%ですが、全世界規模でのシェアはAndroidが76.23%と、Androidスマートフォンのユーザーが圧倒的多数を占めます。ボーン氏は、Android対応のスマートウォッチと比べてもApple Watchは非常に高度な機能を有しているにもかかわらず、Androidスマートフォンのユーザーの選択肢になり得ないのは非常に残念なことだと評価しています。

結論として、ボーン氏は「Series 5はSeries 4のマイナーアップデートです」と総括していて、「もし今Apple Watchを持っていて、Series 5へのアップグレードを検討している場合、まずは9月20日に予定されているwatchOSの配信を待つことを強くおすすめします」と述べました。

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in ハードウェア,   動画, Posted by log1i_yk

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