サイエンス

「テレパシーでの会話」など脳とPC間で情報をダイレクトに伝達する技術の展望をFacebookが発表


Facebookは、「脳とコンピューターでダイレクトに信号をやりとりする『ブレイン・コンピューター・インターフェイス(BCI)』は近年飛躍的な進歩を遂げている」と報告し、BCI技術が形作る新たな未来について構想を発表しています。

Imagining a new interface: Hands-free communication without saying a word
https://tech.fb.com/imagining-a-new-interface-hands-free-communication-without-saying-a-word/

How Facebook's brain-machine interface measures up | VentureBeat
https://venturebeat.com/2019/07/31/how-facebooks-brain-machine-interface-measures-up/

今回の発表のきっかけとなったのが、Facebookが出資を行った「人が選んだ選択肢を脳波から直接読み取る」という2019年7月に発表された研究です。この研究の詳細は以下の記事から読むことができます。

脳内信号からあらかじめ用意された質問や回答の中のどれを選んだかを高い精度で予測可能なシステムの開発に成功 - GIGAZINE


この研究による実験では、脳から読み取れた選択肢はあらかじめ指定された特定のものに限られ、その精度も70%前後。現在のBCI技術はまだまだ発展途上で、実用的ではありません。Facebookは、脳内信号読み取りシステムの精度を向上させ、1000単語を83%以上の精度で、さらに毎分100語をリアルタイムで読み取る処理速度を実現する予定だと語っています。

Facebookは、近年の脳科学技術への関心の高まりとその発展の速度から、10年後、20年後にはBCI技術がさらなる進歩を遂げるだろうと予測。今回の発表は、Facebookの拡張現実(AR)と仮想現実(VR)に関する研究開発部署Reality LabsがBCI技術に注力し、新たな未来を形作るという決意表明に近いものになっています。

現在のBCI技術は脳に直接埋め込む電極によって成立しており、脳に直接埋め込むタイプのBCI技術では、ロボットアームを動かしたりVR空間の中で飛行機を飛ばすことにも成功しています。

「考えるだけ」でロボットアームを自在に操る女性がステルス戦闘機F-35を飛ばすことにも成功 - GIGAZINE


Facebookは、脳に埋め込むタイプの技術では安全性に関して問題があるとして、埋め込み式ではなくウェアラブルデバイスでBCI技術を発展させることを望んでいるそうです。FacebookはヘッドギアタイプのウェアラブルBCIデバイスとして、ニューロンが活性化すると酸素を消費するという原理に着目し、近赤外光で脳の酸素濃度の変化を検出して間接的に脳の活動を測定するシステムを開発中とのこと。


Facebookは身体に障害がある人の生活を向上させるためにBCI技術が役立つだけでなく、ハンズフリーで操作できるスマートフォンなど、BCI技術の発展は世界の全ての人に有益だと記しており、10年20年といった長いスパンの未来を見据えて取り組んでいく姿勢を表明しています。

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in ネットサービス,   サイエンス, Posted by darkhorse_log

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