世界最大級のバッテリーを備えた巨大太陽光発電施設の建設がスタート

By 8Minute Solar Energy

アメリカ・カリフォルニア州当局が、新たに建設される「巨大太陽光発電施設」と25年の長期契約を結ぶとみられています。この太陽光発電施設はバッテリーで非発電時も給電可能で、その電力価格は火力発電よりも安くなると報じられています。

Los Angeles seeks record setting solar power price under 2¢/kWh – pv magazine USA
https://pv-magazine-usa.com/2019/06/28/los-angeles-seeks-record-setting-solar-power-price-under-2%c2%a2-kwh/

Giant batteries and cheap solar power are shoving fossil fuels off the grid | Science | AAAS
https://www.sciencemag.org/news/2019/07/giant-batteries-and-cheap-solar-power-are-shoving-fossil-fuels-grid

この新たな太陽光発電施設は、アメリカの太陽光発電開発大手の8Minute Solar Energyが施工予定で、建設予定地はカリフォルニア州のカーン郡。その発電量は6万50000戸の日中の電力消費量に相当する毎時400MW、夜間や悪天候時など太陽光発電できない時間帯には800MWhのバッテリーに蓄えられた電力を活用するそうです。電力価格は1KWhあたりわずか1.997セント(約2.16円)と、化石燃料によるいかなる発電よりもさらに安い価格で電力を供給します。

By 8Minute Solar Energy

このニュースを報じているSciencemagによると、再生可能エネルギーに必要なバッテリーの価格は下落し続けているそうです。リチウムイオンバッテリーの価格は2012年と比べて76％下落し、直近18カ月では35％下がって1KWh当たり187ドル(約2万円)の値段になっているとのこと。コンサルティング・マーケティング企業Navigantは、この下落は持続すると予測しており、「2030年にはバッテリー価格はさらに半分になる」と語っています。

一方で、太陽光発電には問題が残されています。ローレンス・リバモア国立研究所に所属していたエネルギー政策専門家ジェーン・ロングさんは「バッテリーによる電力供給は数時間しか持たず、長期間の悪天候時や冬期には日照量が低下するため、電力供給量は低く、不安定になるという欠点があります」とコメントしています。

By liufuyu

しかしそれでも、欧米では再生可能エネルギーへの切り替えが盛んです。スタンフォード大学の大気学者マーク・ジャコブソンさんによると、54カ国とアメリカの8つの州で再生可能エネルギーへの「完全移行」の声が高まっているとのこと。以下の記事はドイツの政策に関するもの。

ドイツが2038年までに84基の石炭火力発電所すべてを停止し、再生可能エネルギーに置き換えていくことに - GIGAZINE

太陽光以外にも再生可能エネルギーを使った発電施設はあります。2018年9月に稼働したアイルランド海上に位置するスコットランドの風力発電施設「Walney Extension Offshore Wind Farm」は、スコットランドの全住宅で消費される電力のおよそ倍の量を生産したそうです。

Scotland has produced enough wind energy to power its homes twice over

スコットランド政府は2030年までに国内で消費される電力の50％を再生可能エネルギーによるものにし、2050年までには再生可能エネルギーの比率を100％にする予定です。

なお、イギリスでは「チーズ発電」がスタートしています。

「チーズ作りの副産物による発電」が実用化される - GIGAZINE