生き物

ゴキブリは急速な進化により殺虫剤への抵抗力を身につけていく

by Oregon Department of Agriculture

都市部で一番目立つ害虫といえばゴキブリであり、暑くなると出会う機会も多くなるので殺虫剤の備えが必要となってきますが、研究者によると、ゴキブリが世代交代の中で殺虫剤への抵抗性を急速に身につけていくことが実験で明らかになっています。

Rapid evolutionary responses to insecticide resistance management interventions by the German cockroach ( Blattella germanica L.) | Scientific Reports
https://www.nature.com/articles/s41598-019-44296-y


Cockroaches may soon be unstoppable—thanks to fast-evolving insecticide resistance | Science | AAAS
https://www.sciencemag.org/news/2019/06/cockroaches-may-soon-be-unstoppable-thanks-fast-evolving-insecticide-resistance

Cockroaches are quickly becoming even HARDER to kill, study finds | Daily Mail Online
https://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-7202435/Cockroaches-quickly-HARDER-kill-study-finds.html

論文を発表したのはパデュー大学で昆虫学研究を行っているマイケル・E・シャーフ教授ら。


教授らの研究チームは、インディアナ州インディアナポリスとイリノイ州ダンビルにあるアパートの低層階で、3つのチャバネゴキブリの個体群に対し、6カ月にわたって様々な殺虫剤の組み合わせを試しました。

実験実施にあたっては、事前にゴキブリを捕獲して抵抗性の低い有効成分を調べ、マクロライド系殺虫剤・アバメクチン、ホウ酸ネオニコチノイド系殺虫剤・チアメトキサムの3つを用意。使用方法は「単一」「混合」「交互(ローテーション)」の3種類が採られました。

その結果、大部分の個体群で、ゴキブリの数は変化しませんでした。殺虫剤が効くのであれば、時間の経過とともに個体数は減少していくはずですが、生き残った個体が殺虫剤に対する抵抗性を持った子孫を産むことで、排除効果が失われていくことが示唆されています。

調べた結果、ゴキブリは交差耐性により、まだ出会ったことのない殺虫剤に対する抵抗性すら身につけており、1世代重ねるだけで抵抗性は6倍にも強化されていたそうです。

なお、殺虫剤を混合して使用した場合には、むしろ個体数は増加する傾向すらあったとのこと。

今回、シャーフ教授らの実験では、殺虫剤を用いなかった対照群が存在しないため、個体数の増減に季節による変動があったかどうかは不明。また、実験にあたって対象となった建物に居住する住民のデータを取得することが認められず、生活の文化的要因による影響もあった可能性があります。

この結果を受けて科学ジャーナリストのケリー・メイズさんは、実験結果が正しいのであれば、ゴキブリの来襲に殺虫剤だけで対応していくのは難しくなっていくだろうと述べています。

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in 生き物, Posted by logc_nt

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