YouTubeがまたもやコンテンツガイドラインを変更して至上主義者によるコンテンツ＆チャンネルを削除

by Hello I'm Nik

YouTubeがプラットフォーム上での禁止事項をまとめた「コミュニティガイドライン」の改訂を行い、暴力的な過激主義や至上主義的な発言を行うムービーを禁止しました。これにより、YouTube上に存在する年齢・性別・人種・カースト・宗教・性的指向などの至上主義を訴える何千ものチャンネルが削除される可能性があります。

Official YouTube Blog: Our ongoing work to tackle hate
https://youtube.googleblog.com/2019/06/our-ongoing-work-to-tackle-hate.html

YouTube just banned supremacist content, and thousands of channels are about to be removed - The Verge
https://www.theverge.com/2019/6/5/18652576/youtube-supremacist-content-ban-borderline-extremist-terms-of-service

YouTubeはサービスとしての健全性を維持するために「未成年者だけでのライブ配信を禁止する」などさまざまな施策を打ち出していますが、新たにコミュニティガイドラインを改訂し、至上主義的な「一部の層の優位性を宣伝するようなムービー」を禁止するとしています。

この変更に伴い、ナチズムやほかの差別的なイデオロギーを宣伝するムービーがYouTube上から削除されることとなるわけですが、同時に至上主義的なムービーを取り扱う何千ものチャンネルが閉鎖することになるのではないかと海外メディアのThe Vergeは予想しています。

by Leon Bublitz

YouTubeはこれまでに「コミュニティガイドラインに違反することはないものの、それに近しいラインにあるコンテンツ」をオススメする回数を減らしており、「深刻な病気に対する偽の解決方法を訴えるムービー」や「地球が平らであると主張するムービー」「歴史的な出来事について虚偽の主張を行うムービー」、そして「至上主義的ムービー」などが対象とされてきました。これらのムービーがオススメに表示される割合はなんと平均80％も減少していたそうです。これだけでもコミュニティガイドラインすれすれのコンテンツをプラットフォーム上から取り除くには一定の効果があったようですが、YouTubeはそれだけでは飽き足らず、ついに至上主義的なコンテンツを禁止すると発表しています。

YouTubeは年齢・性別・人種・カースト・宗教・性的指向、さらにはベテランの地位などに基づく差別・分離・排除を正当化するために、一部のグループが優れていると主張するコンテンツを禁止にしたとしています。例えば、差別的なナチスのイデオロギーを宣伝・賞賛するムービーはYouTube上から削除されることとなるわけです。

また、ホロコーストやサンディフック小学校銃乱射事件といったすでに文章化されている過去の暴力的な出来事を否定するようなコンテンツも削除対象となるようです。これについてYouTubeは、「これらのコンテンツはいくつかの憎しみと戦うために、憎しみを理解しようとしている研究者や非政府組織にとって価値のあるものであると認識しており、将来それらを利用できるようにするための選択肢を模索しているため」と説明しています。

by Sara Kurfeß

The Vergeは「この動きは右翼によるYouTubeチャンネルの間でパニックを引き起こす可能性が高いです。アメリカの保守派は『YouTubeやほかのプラットフォームが差別を促進させている』という考えを持っており、体系的な偏りの証拠がないにもかかわらず、共和党員はこの問題について過去1年間にいくつもの審理を行ってきました。YouTubeの動きは、我々が全体主義に向かって滑りやすい斜面にいるという警告であると共に、新たな憤慨を生み出す可能性が高いです」と記しています。

なおYouTubeによると、コミュニティガイドラインの改訂に伴うコンテンツの削除は、今後数ヶ月で徐々に行われるとのことです。