メモ

Wikipediaを利用しコスト0でブランドの検索順位を上げるキャンペーンを実施したTHE NORTH FACEに盛大なバッシング


「検索上位に自社ブランドを表示する」という目的のために、アウトドアブランドのTHE NORTH FACEがWikipediaの写真を「自社ブランド製品が写った写真」に差し替えるというキャンペーンを行っていたことが明らかになりました。キャンペーンを行った代理店は「いかにWikipediaのモデレーターの注意を引かないか」という点が難しかったと語っており、「詐欺」「公共学習プラットフォームの搾取だ」という非難の声が挙がっています。

The North Face used Wikipedia to climb to the top of Google search results | AdAge
https://adage.com/creativity/work/north-face-top-imagens/2174261

「旅行をしよう」「冒険をしよう」と考えた時に人はまずサーチエンジンで検索し……


画像検索結果を確認します。


トップの画像をクリックすると、写真はWikipediaから引っぱられてきていたものでした。


こんな感じで、Wikipediaに表示されている写真がGoogle画像検索結果の一番上に現れていたわけです。


この仕組みをふまえ、アウトドアブランドのTHE NORTH FACEはあるプロジェクトを敢行。THE NORTH FACEはブランドの写真を世界各国で撮影しますが、この撮影を「冒険の地」で行うことにしたのです。


ブラジルにあるグァリタ公園で撮影した写真がコレ。


そしてWikipediaのグァリタ公園でページにある写真を……


自分たちで撮影したものに差し替えました。


すると、画像検索結果の一番上に表示される写真が、THE NORTH FACEのブランド写真に変更されました。このプロジェクトによって、THE NORTH FACEは通常の写真撮影を行うついでに、ノーコストで、検索上位に自分たちの商品の写真をのせることに成功したわけです。


THE NORTH FACEはグァリタ公園の他にも、同じくブラジルのFarol do Mampituba、ペルーのクイリン、ペルーのワイナ・ピチュといった場所で自社ブランドの服を着ているスポーツ選手の写真を撮影し、Wikipediaの記事を更新しました。THE NORTH FACEブラジルのCEOであるFabricio Luzzi氏は「私たちのミッションは『未開拓分野』を広げることにあります。私たちのお客様は自分自身の限界を乗り越えていくことができるのです。この『Top of Images』プロジェクトで、私たちは目的地とアイテムが密接に関わるように、完全に文脈化された方法で商品を配置することができました」と語っています。

なお、プロジェクトに関わった代理店の「Leo Burnett」によると、このプロジェクトの最も難しいところはWikipediaの管理を助けるモデレーターの注意をひかず、できるだけ長く写真を変更し続けるという部分だったとのこと。実際に、オンラインメディアのAdAgeがこの広告に注目するとすぐにWikipediaの編集者によって写真が差し替えられることになりました。

Thanks to this braggadocio video and your article we've now removed the product-placement from all article. The user accounts behind the edits have been reported for breaching the Terms of User for undisclosed paid advocacy. https://t.co/XFODUri5sF For shame @TheNorthFace.

— Liam Wyatt (@Wittylama)


ただしこのプロジェクトに対して、Wikipediaのボランティアの編集者であり代理店「Beutler Ink」のCEOであるWilliam Beutler氏は「THE NORTH FACEとLeo Burnettのやったことは賢い行動でも素晴らしいことでもなく、Wikipediaのオープンさを利用した詐欺です。Wikipediaの利用規約とも一致しません」とコメントしています。


Wikipediaを運営するウィキメディア財団の代表は、このキャンペーンでTHE NORTH FACEに協力した事実はないとし、「企業やその商品を宣伝することだけを目的としたコンテンツを追加することは、『中立で事実ベースの情報を世の中に提供する』というWikipediaの精神・目的・および方針に反しています。これは企業の利益のために無償の公共学習プラットフォームが搾取されたことを意味します」と述べました。

なお、今回のように企業が検索エンジンを利用してPRキャンペーンを実施し炎上したことは過去にもあり、2017年にバーガーキングがGoogleの激怒を買っています。

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in Posted by darkhorse_log

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