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Netflixがコンテンツの再生順をユーザーにより変更する試みを実験中


デヴィッド・フィンチャーティム・ミラーが製作に携わるNetflixオリジナルの短編アニメーションアンソロジーが「ラブ、デス&ロボット」です。この作品では愛と死とロボットをテーマにした複数の短編アニメーション映像がまとめて配信されているのですが、Netflixは各エピソードの再生順をユーザーによって意図的に変更していることが明らかになっています。

Netflix is experimenting with different episode orders for its new anthology show - The Verge
https://www.theverge.com/2019/3/22/18277634/netflix-love-death-robots-different-episode-orders-anthology-show

ドラマやアニメといった映像コンテンツでは、通常「話数」が決められており、各話を順番に視聴していくものです。各話をランダムに視聴したり1話だけ飛ばして見たりすれば、ストーリーがつかめなかったり大切な伏線を見落としたりするのも仕方がありません。しかし、Netflixのオリジナルコンテンツとして配信されている「ラブ、デス&ロボット」は、新しい試みとして「4つの視聴順」を用意しています。


「ラブ、デス&ロボット」は各話が独立したストーリーとなっているアンソロジーシリーズであるため、各話を特定の順番で視聴する必要はありません。しかし、各話の視聴順が変わることで「後から見たエピソードに対して抱く印象が変わる可能性がある」と海外メディアのThe Vergeは記しています。

LOVE DEATH + ROBOTS | ????Trailer [HD] | Netflix - YouTube


Netflixが「ラブ、デス&ロボット」の再生順番に4つのパターンを用意していたことは、一部のTwitterユーザーのツイートから明らかになりました。Twitterユーザーの@LukasThomsさんが、「とても馬鹿げた試みを発見しました。『ラブ、デス&ロボット』の再生順は、Netflixがユーザーを『ノーマルかゲイか?』の判断で変えています」とツイートしたことから明るみに出ています。

Just discovered the most INSANE thing. The ORDER OF THE EPISODES for Netflix's new series Love Death & Robots changes based on whether Netflix thinks you're gay or straight.

— Lukas Thoms (@LukasThoms)


以下のツイートに添付されたスクリーンショットは、左が同性愛者である@LukasThomsさんのNetflixアカウントで表示された「ラブ、デス&ロボット」の再生順、右は異性愛者である@LukasThomsさんの友人アンドリューさんのアカウントで表示された再生順です。@LukasThomsさんのアカウントでは同性愛的なエピソードが1話目として再生されるのに対して、友人のアンドリューさんのアカウントでは異性愛的なストーリーが1話目として再生されるようになっています。

On the left is my account, starting with the one with a lesbian storyline, and the right is my straight friend Andrew's account, starting with the one that has the most realistic and explicit hetero sex. pic.twitter.com/kSMuaFhSbU

— Lukas Thoms (@LukasThoms)


このツイートにNetflixの公式アカウントが反応しており、「我々は『ラブ、デス&ロボット』のようなコンテンツ(再生順を変更するような番組)を取り扱ったことがなかったため、完全に新しいものとしてチャレンジを行っています。『ラブ、デス&ロボット』では4つの再生順を用意しており、各ユーザーのアカウント上で表示される再生順は性別・民族性・性的アイデンティティーとは何の関係もなく、そういった情報を我々は一切持っていません」と説明しています。

We've never had a show like Love, Death & Robots before so we're trying something completely new: presenting four different episode orders. The version you're shown has nothing to do with gender, ethnicity, or sexual identity — info we don't even have in the first place.

— Netflix US (@netflix)


NetflixはA/Bテストを利用してさまざまなデザインを決定しており、各番組のアートワークを選別するだけでなく、ページレイアウトの変更にもA/Bテストが活用されています。これまではA/Bテストがコンテンツそのものにまで影響を及ぼすことはなかったのですが、最新の「ラブ、デス&ロボット」では「どの再生順が最適か?」を検証するために、A/Bテストが活用されているようです。

このようなNetflixの実験的な試みは過去にも問題となっており、2018年10月には「Netflixは黒人ユーザーに対しては、映画や番組のアートワークに主演の白人俳優ではなく、脇役の黒人俳優を表示している」ということで大きな問題となりました。なお、Netflixはサムネイルはアルゴリズムが自動生成したものであり、ユーザーを人口統計的にターゲットしたことはないと主張しています。

Is Netflix Targeting Users By Race Through Thumbnails? – /Film
https://www.slashfilm.com/netflix-targeting-race/


今回の「ラブ、デス&ロボット」も「Netflixがユーザーの性的嗜好から再生順を変更しているのでは?」と指摘されたわけですが、NetflixはThe Vergeに対して「そのような情報を具体的に収集していない」と主張しており、The Vergeも独自にテストしたところ「性的嗜好をベースにターゲティングしているという証拠は見つからなかった」と記しています。

なお、原作・制作をティム・ミラーが担当した「ラブ、デス&ロボット」は、Netflixで配信されています。

ラブ、デス&ロボット | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト

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in ネットサービス,   動画,   アニメ, Posted by logu_ii

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