アート

MicrosoftがAIで非実在のアート画像を無料で生成できるウェブサイトを公開


Microsoftはアメリカ・ニューヨークにあるメトロポリタン美術館マサチューセッツ工科大学(MIT)と協力して、AIを使って架空のアートを作り出せる「Gen Studio」を開発しました。AIはウェブサイトで公開されており、誰でも自由に架空のアートを楽しむことができます。

Gen Studio
https://gen.studio/

Gen Studio - Microsoft AI lab
https://www.ailab.microsoft.com/experiments/gen-studio

メトロポリタン美術館は2017年、保有する37万5000点以上の著名な美術作品の画像を無料公開し、世界中の人々が自由にメトロポリタン美術館の美術作品画像を見たり、利用したりできるようになりました。

無料&自由に利用可能なCC0で37万点超のアート作品をメトロポリタン美術館が公開 - GIGAZINE


そんなメトロポリタン美術館のプロジェクトが2019年に2年目を迎えることを記念して、Microsoft、MIT、メトロポリタン美術館の三者が協力した2日間のハッカソンが開かれることになったとのこと。ハッカソンではメトロポリタン美術館が公開した画像データを最新のAI技術と組み合わせることで、「架空のアート画像を作り出せるAI」の開発が目指されました。

ハッカソンで行われたプロジェクトについてまとめられたムービーがこれ。

Gen Studio


「メトロポリタン美術館は訪れた人々だけでなく、世界中の人々に素晴らしいサービスを提供します」と語るのは……


メトロポリタン美術館のディレクターであるMax Hollein氏。


世界最大級の美術館であるメトロポリタン美術館は……


2017年に大量の画像データを無料公開しました。


Microsoft、MIT、メトロポリタン美術館で行われたハッカソンでは、公開された画像データとAIを組み合わせることで、架空のアートを生成するAIの開発が行われたとのこと。


プロジェクトで使用されたのは、人工知能アルゴリズムの一種である敵対的生成ネットワーク(GAN)。GANは出力すべきものが決まっていない「教師なし学習」において使用されるアルゴリズムです。


GANでは2つのニューラルネットワークシステムが用いられます。「Generator(生成者)」と呼ばれる1つのニューラルネットワークが架空のアート画像を生成すると……


「Discriminator(鑑別者)」と呼ばれる競合するニューラルネットワークが、生成されたアート画像が本物かどうかを判別します。


アート画像が偽物だと判断されたらGeneratorはさらに精度の高いアート画像を生成するように進化し、反対にDiscriminatorも画像の判断精度を次第に向上させていきます。この繰り返しによって、架空のアート生成AIは精度を増していくとのこと。


ハッカソンには非常に強い熱意を持った人々が集結しており……


2日目には想像以上に精度の高いAIが完成したそうです。


Gen Studio」と名付けられたこのAIシステムは公式のウェブサイトで公開されており、誰でも無料でAIが生成したアートを楽しむことができます。サイトにアクセスすると画面を横切るように大量の画像が表示されていました。この画像は全てAIが生成したものですが、軽く見ただけでは本当にメトロポリタン美術館に所蔵されているアートかと思ってしまいそうです。


画面の端にある矢印をクリックすれば、ほかの画像を見ることもできます。花瓶や水差し、布地といった画像が多い模様。


右上の「Select a Category」をクリックすると、表示するアートの種類が選べます。Armor(甲胄)、Ewers(水差し)、Goblets(ゴブレット)、Purses(バッグ)、Teapots(ティーポット)、Vases(花瓶)といったカテゴリーから選択可能で、精度の問題なのか彫刻や絵画といったカテゴリーは存在していませんでした。


試しに「Purses」を選択してみると、何やらアートっぽい雰囲気のバッグ画像がズラリと並びました。


画面下部の「GENERATE(生成する)」をクリックすると……


AIが生成した1枚の画像と、6個のアートワークから伸びた灰色の点が表示されました。


点をクリック&ドラッグでバッグの画像に近づけてみると、左側のAIが生成した画像もバッグらしきものに変化します。


ティーポットに近づけるとAIの画像もそれに合わせてティーポットらしさを増し……


うまい具合に本物のつぼらしい画像を生成することも可能。


「SAVE IMAGE」をクリックすると、AIが生成した画像を保存できます。


また、「EXPLORE SIMILAR」をクリックすると……


AIが生成した画像に近い本物の所蔵品画像を見ることができました。


なお、Gen Studioのソースコードはオープンソースとなっており、GitHubで公開されています。

GitHub - Microsoft/GenStudio: A website for exploring the Metropolitan Museum of Art's collection with Generative Adversarial Networks
https://github.com/Microsoft/GenStudio

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in レビュー,   ソフトウェア,   ネットサービス,   動画,   アート, Posted by log1h_ik

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