20Gbpsの転送速度を誇るUSBの次期規格「USB3.2」は2019年中にPCへの搭載が始まる見通し

USBの促進を目的として創設された標準化団体のUSBインプリメンターズ・フォーラム (USB-IF)は、スペイン・バルセロナで開催されているMWC Barcelona 2019で、2017年に仕様が発表されたUSB 3.2を搭載したデバイスが2019年中に登場すると発表しました。

USB 3.2 at 20 Gb/s Coming to High-End Desktops This Year
https://www.anandtech.com/show/14027/usb-32-at-20-gbs-coming-to-highend-desktops-this-year

USB 3.2 is going to make the current USB branding even worse | Ars Technica
https://arstechnica.com/gadgets/2019/02/usb-3-2-is-going-to-make-the-current-usb-branding-even-worse/

USB 3.2はこれまでのUSB 3.1 Gen 2の倍にあたる20Gbpsの最大転送速度を誇る規格です。データを複数レーンで同時に転送できる「マルチレーン動作」に対応していて、デバイスが対応していれば従来のUSB3.0対応ケーブルでも16Gbps以上の速度が出るとのこと。

USBの新仕様「USB 3.2」は対応端末ならマルチレーン動作可能で最大速度はUSB 3.1の2倍に - GIGAZINE

USB-IFによると、20GbpsのUSB 3.2をサポートするチップが2019年発売されるとのこと。UUSB-IFはチップを開発している企業の名を挙げていませんが、2019年の夏にUSB 3.2に対応したハイエンドPC向けのマザーボードが発表されるとのことで、対応周辺機器は互換性の問題もあるため、一般的に普及しだすのは2020年頃と考えられます。

2008年に発表された最大転送速度5GbpsのUSB 3.0は、「High Speed」をうたう最大転送速度480MbpsのUSB 2.0や「Full Speed」で最大転送速度12MbpsのUSB 1.1よりも圧倒的な高速通信が可能で、「SuperSpeed USB」という名を冠していました。

2013年に発表されたUSB 3.1では、最大転送速度がUSB 3.0の倍となる10Gbpsとなるといわれていました。しかし、USB 3.0とUSB 3.1はソフトウェア階層やデバイスのプロトコルが共通で互換性があったため、5Gbps通信のUSB 3.0は「USB 3.1 Gen 1」という規格名となりました。そして、新しい10Gbps通信のUSB 3.1は「USB 3.1 Gen 2」という規格名となり、「SuperSpeed USB 10Gbps」の名が付けられました

by Amin

このUSB 3.1の登場は消費者にとって非常にややこしい状況を招いた、とArsTechnicaは主張しています。ArsTechnicaは、例えば「USB 3.1をサポートしています」という売り文句で5GbpsのUSB 3.1 Gen 1のデバイスを販売する業者も現れていると指摘しています。この売り文句は確かにウソにはなりませんが、事情を知らない顧客だと最大転送速度が倍も違うのにもかかわらず、USB3.1 Gen 2と混同してしまう可能性も十分考えられます。また、どちらの名前も「SuperSpeed USB」を冠していることも、ややこしさに拍車をかけているとArsTechnicaは批判しています。

2019年中に登場するであろうUSB 3.2は規格名が「USB 3.2 Gen 2x2」、市場での名前は「SuperSpeed USB 20Gbps」となることが発表されています。USB 3.2を搭載したデバイスが具体的にいつ頃登場するのかは明らかになっていませんが、市場に出回った時には似た名前で混乱してしまわないよう、これまで以上に注意が必要になりそうです。