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情報流出を引き起こす中央集権的な「データの独占」への対抗策になりうる新時代のインターネット技術「Blockstack」


IT産業は「GAFA」のような「超勝ち組企業」が市場を独占しつつあります。このような独占の状況下では、競争原理が正常に作用しないことや、クラウドサービスなどの中央サーバー上でデータを一括管理していることによる、大規模な情報流出の危険があります。「Blockstack」は「ブロックチェーン」を基礎にした非中央集権型サービスで、現在の中央集権的なサービスに取って代わる技術だとして期待されています。

Ryan Shea "A New Internet Where You're In Control" | TheNextWeb 2017 - YouTube


Blockstack社のRyan Shea氏によると、現在のインターネットの問題点その1は、データが自分の手元ではなく、企業のクラウドサービス上に置かれている点とのこと。


現在のプラットフォーム企業は、顧客の全データを1つの中央サーバー上に保管しています。


全てのデータを1箇所に置いていると、データの盗難や情報漏洩などを引き起こします。


Yahooに対するハッキングでは一度に30億人分のアカウント情報が漏洩したように、データの不正利用や盗難の頻度と量は年々増加傾向にあります。


全世界でのデータ漏洩の被害総額は2020年には2.5兆ドル(276兆円)にものぼると予想されています。


仮に盗難や漏洩がなかったとしても、例えばUberなどのアプリケーションは使用者の現在位置などを利用するため、ユーザーの現在位置や目的地を、Uberの全従業員が知ることが可能です。


このような問題を解決するには、「自分でデータを保存する」しかありません。


Blackstackは私たちが日常的に使っているサービスの多くが私たちの情報を大量に保持している現状に異を唱えており、暗号化されたデータを自分自身のクラウドに保管し、保管されたデータは他人と分担して保有するというブロックチェーン技術を活用した解決策を提唱しています。


現在のインターネットの問題点その2は、アプリケーションからアプリケーションにデータを移動できないという点です。


例えばあるソーシャル・ネットワーキング・サービスを止めて別のサービスに切り替えたいとき、写真などのデータをサービス間で移動することはできません。


このような現状について、Ryan Shea氏は「競争力の低下を招いている」と指摘しています。


Twitterや、Google、Facebook、Amazonといった巨大企業の広告収入は、莫大な増加を見せています。しかし、他の企業はそうではありません。


Twitterを例にとると、かつては様々なTwitter向けアプリケーションが存在していましたが、Twitter APIの利用ルールの変更の結果、それらは消え去っていきました。1つのサービスに利用者が集中すると、このような形で競争が失われることがあります。


この問題の解決策もまた、「自分でデータを保存する」ことです。


写真などのデータを自分で保存しておけば、サービスの利用規約や使用料が気に入らない場合、別のサービスにデータを移行するだけで問題は解決します。


現在のインターネットの問題点その3は、中央集権型のプラットフォームがインターネットの利用法を定めてしまう点です。


現在我々の使うソフトウェアは、基本的には直接企業からダウンロードしたもの。言い換えれば、企業がソフトウェアをアップデートしたり、互換性をなくしてしまえばそれに従わざるを得ません。


これは、料金改定や規制の強化やデータの改ざんなどがソフトウェア側で行われた場合、ユーザーは対処できないということを意味しています。


Googleが無関係の人々をGoogleドキュメントにアクセスできないようにしたなどの実例もあります。


解決策はやはり、自分でソフトウェア自体を所有することです。


仮にユーザー自身がソフトウェアのバージョンや、「どの時点の利用規約なのか」を選択することが可能ならば、企業の一方的な改訂に従う必要はないとRyan Shea氏は主張します。


Decentralized application(DApp)」という、「非中央集権・分散型アプリケーション」ならばその全てを解決してくれるとのこと。


DAppを聞いたことがなくても、多くの人が使用している「電子メール」などはまさしくDAppの典型的な例です。電子メールを提供する特定の会社というものは存在しませんが、多種多様なコンピューターやソフトウェアで電子メールを活用することができ、ユーザーはYahoo、Gmail、Outlookなどのサービスを自分で選択できます。これらは全てDAppの重要な特徴です。


暗号通貨もまたDAppの好例で、暗号通貨は近年、関心が急激に高まりつつあります。こういったDAppへの関心の高まりが、新時代のインターネットの幕開けを示しているとのこと。


Ryan Shea氏は「Blockstackは新しいモデルのインターネットブラウザを提供する」と語ります。このブラウザでは自分のデータや…


アプリケーションなどのデータを、自分自身で管理できます。データを自分自身で持つことで、例えば特定のソーシャルネットワークサービスの利用料や規制が気に入らないと感じれば、すぐに別のサービスに自分の全データを移行することも可能になります。Blockstackの新しいブラウザでは、企業やソフトウェア作成者に依存した形のインターネットの利用形態から、利用者に主権を取り戻した新しいインターネットを実現可能とのこと。


Blackstackのブラウザは記事掲載時点で既にリリースされています。


公式ページには、Googleが運営するウェブサービスやスマートフォンアプリの開発プラットフォーム「Firebase」とBlockstackを比較したリストが載っています。Firebaseで作成されたアプリケーションは、Googleの中央サーバー上にデータが保管され、Googleの認証を使用し、Googleが定めた転送量ごとの利用料金がかかります。一方、Blockstackで作成されたソフトウェアは、分散型アプリケーションであるため、データは分散して保管され、転送量ごとの料金もかかりません。


また、Blockstackを理解するためには、以下のTakuya Fujitaさんの講演会レポートも参考になります。

「Blockstack 」次代のDappsプラットフォーム 勉強会 参加レポート – HashHub – Medium

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in ソフトウェア,   ネットサービス,   動画,   セキュリティ, Posted by darkhorse_log

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