メモ

人間関係を終わらせようと一切のつながりを断つ「ゴースト」はなぜ生まれるのか?


周りに何の説明もしないままに突然すべてのコミュニケーションを遮断してしまう人や行為を、心理学の世界では「ゴースト」と呼ぶことがあるそうです。もともとは男女の付き合いで唐突に連絡が取れなくなってしまう人や状況を指す言葉だった「ゴースト」ですが、インターネットの普及によって現代では一般的な人間関係や仕事関係でも起こり得るようになり、近年注目されつつある言葉といわれています。

Why Do People Ghost?
https://www.livescience.com/64661-why-people-ghost.html


ゴースト自体はよくあることで誰にでも起こりうるものだと、科学系メディアのLiveScienceは述べています。実際、2018年に1300人を対象に行われたアンケート調査では、回答者全体の4分の1が「恋人がゴースト化した」経験があったとのこと。また、回答者全体の5分の1が「自身が恋人に対してゴーストになってしまった」と告白したそうです。また、恋愛関係に限らず友情関係に広げた場合、なんと全体の3分の1以上が「友人がゴーストになった」、あるいは「自分が友人にとってのゴーストになった」と答えたとのこと。


2018年に行われた別の(PDFファイル)アンケート調査では、65%の参加者が「恋人に対してゴーストになってしまったことがある」と語り、72%の参加者が「恋人がゴーストになってしまったことがある」と語ったそうです。

ウィンスロップ大学で心理学准教授を務めるTara Collins氏は「ゴーストについての論文はほとんどありませんが、昨今ゴーストについての研究が出始めているので、これまでの人間関係に関する研究結果を基に、心理学者はゴーストの研究を始めています」と述べています。

人が恋人関係や友情関係を終わらせようとするのは今に始まったことではなく、そのためにはさまざまな「戦略」があります。おそらく人は「ゴースト」が関係を断つための一般的な戦略であることに気づき始めたばかりなのだろう、とLiveScienceは述べています。


メールのやりとりやオンラインの出会い系、ソーシャルメディアは人々のつながり方に変化を与え、男女が知り合いロマンチックな関係になるための方法も大きく変化しました。誰もがスマートフォンを持ち歩く現代では、街の雑貨屋や友人のパーティーに出会いを求める必要はなく、全く会ったことのない人とデートの約束をすることも可能です。「見知らぬ2人を互いに結びつける社会的つながりがないのであれば、全てをカットして関係を消滅させる方が簡単です」とCollins氏。

Collins氏は2012年に発表した論文の中で、恋人が別れる時にどんな方法が一般的に用いられるのかを調査しました。その結果、一般的な別れ方には3つのパターンが存在することが判明しました。1つ目はお互いに直接会って別れについて話し合う「オープンな向き合い」、2つ目は片方が徹底的にもう片方との接触を減らし、わざと会わなくなったり自分の生活についてまったく話さなくなったりする「回避」、3つ目は「あなたじゃなくて私が悪い」と自分がすべてを背負う「自己責任」だったとのこと。


また、人によっては「仲介されたコミュニケーション」という方法を使うパターンもあったとのこと。これは第三者に「別れたいらしい」と相手へ伝えてもらうことで関係を終えようとするもの。Collins氏は、ゴーストという関係の断ち方は「回避」と「仲介されたコミュニケーション」を組み合わせたものに近いと述べ、「心理的距離を詰めることを嫌がる人ほどゴーストになる可能性が高いのかもしれない」と推測しています。

エモリー大学の心理学者であるJennice Vilhauer氏は「他者とのつながりを保つことは、生きるためには非常に重要です。社会的なつながりによって私たちは自分たちの行動を制御しますが、ゴーストはそういったつながりを一切失ってしまうため、、制御不能となるレベルで感情的な調整ができなくなるでしょう」と語っています。

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in メモ, Posted by log1i_yk

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