アダルト俳優はAVに変わる新たな収入源を開拓している

インターネット上には素人が撮影したポルノグラフィーがあふれており、「アダルト産業においてポルノ作品はもやは安定した収入ではない」ということで、ポルノ俳優たちは典型的なポルノ作品以外の新しい方法で収入を得はじめているといわれています。オーストラリア国立大学で人類学を研究するSophie Pezzutto氏の調査では、ラスベガス在住のトランスジェンダー・ポルノスターにインタビューが行われたところ、今日のポルノスターの稼ぎ方がどのように変化しているのかが分かってきたそうです。

Why adult video stars rely on camming
https://theconversation.com/why-adult-video-stars-rely-on-camming-104758

アダルト俳優たちに人気となっている手法の1つが、これまでは「時間をかける価値はない」と見なされていた、家でマスタベーションをしている様子や性行為している様子をウェブカメラで配信する「Camming(カミング)」という方法。15年前は事前録画されたポルノ映像がウェブカメラ配信の2倍もの収益をあげていましたが、現代ではこれが反転しており、2018年のカミング産業は世界で20億ドル(約2200億円)の収益を上げています。

by Vitamin

現代のカミングはオンラインのストリップショーのようなもので、自分のPCにウェブカメラを設置したパフォーマーがチャットルームにいる人に対してショーを行います。通常パフォーマーはチップとなる金額を設定しており、トークンによってチップが払われるほど、より多くのショーが見られるようになっています。多くのショーは大人のオモチャを利用し、最終的にオーガズムに達するものですが、ルーレット盤やコスチュームを利用したり、カップルやゲストとパフォーマンスを行うなどクリエイティブさを発揮する人も存在するそうです。

チャットルームの視聴者はパフォーマーに対してメッセージを送ることが可能で、ショーの内容をリクエストしたり、シンプルに私生活について尋ねる人もいます。決まったルールはなく、ショーはだいたい1～4時間ほどですが、Pezzutto氏の情報提供者の多くは「週に何度か、1日2～6時間のショーを行う」と答えたとのこと。パフォーマーは休憩時間を挟んでショーを行いますが、これは始業前・ランチタイム・帰宅時間といったニューヨークやシカゴなど大都市のオフィスアワーに合わせているそうです。

by HO JJ

トランスジェンターのポルノスターがカミング1時間で稼ぐ収益は100～200ドル(1万1000～2万2000円)で、既に固定ファンがいるポルノスターがさらなる収益を得る方法となっているようです。クリスマスにショーを行ったポルノスターが最大3万人を集めたという事例も挙げられています。

アメリカの場合、ポルノ俳優は通常、撮影ごとの支払いとなっています。ラスベガス在住のあるトランスジェンダー・ポルノスターは1セックスシーンにつき800～1200ドル(約8万8000～13万1000円)の支払いを受けており、これはシスジェンダーのパフォーマーの平均収入より上、トップパフォーマーよりは下、という位置にあるとのこと。しかし、月に数本の撮影を行うことがあれば、翌月は撮影がまったく入らないということもあり、収入は安定していません。また、衣装などは会社がカバーしてくれないため自分で購入する必要もあり、宿泊費や交通費などコストがかさむことから、「ポルノ撮影はメインの収入源でなくマーケティングの道具」と見なしている人もいるそうです。

お気に入りのポルノ俳優とコミュニケーションが取れるというユニークさもあってカミングの人気はどんどん増しています。ポルノ俳優にとっても、ショーでマスタベーションを行うという方法であればHIVの心配をする必要がなく、また海賊版のリスクにさらされにくいという点など、利点が多いそうです。一方で、チップが少なかったり、カミングを運営する会社にパフォーマーが利益を取られたりするといった問題も挙がっています。