乗り物

日本の鉄道システムの正確さ・信頼性を支えるのは「指さし確認」

by Rog01

年間120億人の乗客を、秒単位で組まれたダイヤで運ぶ日本の鉄道システムは、その正確さ・信頼性から「世界で最も優れている」という評価を受けています。その鉄道の仕事に従事する人の挙動の中で、海外から来た人からは「指さし確認」が奇妙なものに見えているそうです。

Why Japan's Rail Workers Can't Stop Pointing at Things - Atlas Obscura
https://www.atlasobscura.com/articles/pointing-and-calling-japan-trains


JR gestures | The Japan Times
https://www.japantimes.co.jp/news/2008/10/21/reference/jr-gestures/

「指さし確認」誕生のきっかけは明治時代、蒸気機関車を運転していた堀八十吉氏が視力低下のため機関助手に信号を何度も確認していたものを、堀氏の視力低下を知らなかった神戸鉄道管理局のお偉方が「素晴らしいことだ」とルールに取り入れました。1913年刊行の「機関車乗務員教範」の中に、1名が行った確認作業をもう1名が復唱する「喚呼応答」として記載されています。現在のような、1名で行う指さし確認は1925年以降に生まれたとみられます。


「指をさす」「声を出す」と、行動自体はとてもシンプルですが、通常なら100の行動に対するミスを2.38回から0.38回へ、85%近く減少させられるとのこと。

以下の前面展望映像では、運転士が何度も指さし確認している様子が見られます。

Why do Japanese train drivers point at everything? - YouTube


日本では公共交通機関に乗るとどこでも見られる行動ですが、ミスを減らすにあたって、日本では仕事に従事する人間の精度を上げる方向に重点が置かれたのに対して、ヨーロッパやアメリカでは機械やシステムを変更する方向に重点が置かれたためかほとんど見られません。そのため、海外の工場で「指さし確認」を導入しようとしても、これまでに1度もやったことがない行動なので、「ばかげたことをしている」と、やってくれないそうです。

例外的に、ニューヨーク市地下鉄では1996年から、列車がプラットホームの正しい位置に停車したことを確認する「指さし確認」を行っています。広報担当者によれば、導入から2年で停車位置の誤りが57%減少したとのことです。

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in メモ,   乗り物, Posted by logc_nt

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