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Appleいわく「QualcommはiPhone XS/XR用のチップの販売を拒否」している


AppleはチップメーカーのQualcommからiPhone用のチップを仕入れてきましたが、Qualcommが通常の5倍という高額なライセンス料を請求してきたことから訴訟に発展し、2社は泥沼の訴訟合戦を繰り広げてきました。2社の関係悪化が原因で、Appleは「QualcommからiPhone XS/XR用のチップの販売を拒否されることとなった」と主張しています。

Apple's 5G iPhone shift bogged down by Qualcomm chip battle - CNET
https://www.cnet.com/news/apple-wanted-to-use-qualcomm-chips-in-its-newest-iphones-but-qualcomm-wouldnt-supply-jeff-williams-says-at-ftc/

Apple says Qualcomm refused to sell it chips for iPhone XS and XR - The Verge
https://www.theverge.com/2019/1/14/18182441/apple-qualcomm-modem-iphone-xs-max-ftc-trial

Appleのジェフ・ウィリアムスCOOはアメリカ連邦取引委員会への証言の中で、AppleがQualcommを提訴した結果、「QualcommがAppleをサポートしたり、我々にチップを販売したりすることはなくなった」と語ったことが明らかになりました。AppleはiPhone XS/XS Max/XRといった2018年に登場した新型iPhoneでもQualcomm製のモデムを使用したいと考えていたそうですが、訴訟の影響でQualcomm製のモデムチップを調達することが叶わなくなり、最終的にIntel製のモデムチップを使用することとなったようです。

話題の中心となっているQualcommは、記事作成時点も裁判を継続中。訴訟ではQualcommが設定する異常に高いライセンス料や、Qualcommが他のチップメーカーへの特許ライセンス供与を拒否していたという指摘、さらにはAppleのような顧客側にQualcomm製のチップを独占的に使用するようにと迫っていたことなどから、排他的取引慣行に従事していたのではと指摘されています。

Qualcomm側がチップ販売に難色を示していたこと、およびAppleがQualcommを相手に訴訟を提起していたことがIntel製のモデムチップへの移行理由と考えられていましたが、Appleは法廷でそうではないと否定していました。しかし、AppleのウィリアムスCOOによると、AppleはiPhone XSなどの開発当初、QualcommとIntelの2社にモデムチップを注文することを計画していたものの、Qualcommが販売を拒否したため、Intelの独占供給という形になったとのことです。


Intel製の5G対応モデムチップは2020年まで登場が見送られているため、Appleが今後もモデムチップをIntelから独占的に供給してもらうとなると、iPhoneが5Gに対応するのは早くても2020年までずれ込むこととなります。そうなると、Appleが5G対応スマートフォン市場で大きく出遅れる可能性もある、と海外メディアのThe Vergeは指摘。

さらに、Intel製のモデムチップはQualcomm製のものよりも性能が劣っているのではないかという指摘もあります。なお、AppleにIntelとQualcommが同時にモデムチップを供給していた際、なぜQualcomm製のモデムを搭載した端末の方が通信速度が速くならなかったのかについては、「モデムチップにより通信速度に差が出ないようにQualcomm製のモデムの速度を制限していたから」だそうです。

iPhone XSのIntel製モデムチップの性能はQualcomm製チップに比べてどうなのか?テスト結果が公開される - GIGAZINE


加えて、アメリカ連邦取引委員会への証言の中で、AppleはQualcomm側にどの程度のライセンス料を支払っていたかを明らかにしています。ウィリアムスCOOによると、Appleは端末1台当たり7.5ドル(約810円)をQualcommに支払っていたとのことで、これはAppleが望んでいた金額(1.5ドル:約160円)の5倍となります。それでもAppleがQualcommからモデムを調達していた理由について、ウィリアムスCOOは「我々が合法的にモデムのライセンス料について追求しようとすれば、チップを調達することはできなかったでしょう。選択肢はありませんでした」と語っています。

その後、2017年にAppleがQualcommを訴えたことで2社の対立が表面化。その後はQualcommもAppleを訴えており、「Appleは盗んだ技術をIntelに渡した」と主張し、Apple側に70億ドル(約7600億円)の支払いを求めています。他にも、Qualcommは中国やドイツの裁判所でも訴訟を起こしており、両国での古いiPhoneの販売を停止することに成功しています。

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in モバイル,   ハードウェア, Posted by logu_ii

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