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NVIDIAが自動運転システム「Drive AutoPilot」の商用利用をスタート


NVIDIAが開発を進めている自動運転システムの「Drive AutoPilot」が、世界で初めて自動運転カテゴリのレベル2(部分的な自動操作)を満たすシステムとなったことが発表されました。レベル2を満たすということで、Drive AutoPilotはクルーズコントロール機能やレーンコントロール機能だけでなく、ステアリング・加減速なども自動で制御できるようになります。

Nvidia launches Drive AutoPilot with Xavier AI processors for commercial use | VentureBeat
https://venturebeat.com/2019/01/07/nvidia-launches-drive-autopilot-with-xavier-ai-processors-for-commercial-use/

NVIDIAの自動運転システムである「Drive AutoPilot」は、NVIDIAが開発する高性能SoC「Drive AGX Xavier」とソフトウェアを統合し、車外および車内のセンサーから収集されるデータを処理して自動運転を実現するというもの。既にドイツの自動車部品メーカーであるContinentalが、このDrive AutoPilotを用いてレベル2以上の自動運転システムを開発しており、2020年までに生産を開始する予定であると発表しました。


NVIDIAの自動車担当シニアディレクターを務めるダニー・シャピロ氏は、記者会見で「レベル2以上の自動運転システムは、非常に堅牢かつ複雑な高性能コンピューターとコンピューティングのスタックです」と語り、レベル2以上のシステム実現がいかに困難なことかを強調しています。また、「すでに自動運転システムはAIに基づいており、システムの知覚要素には多くのディープニューラルネットワークが用いられています。我々は完全なサラウンドカメラを用いており、自動車メーカーによっては4台、6台あるいはそれ以上のカメラを自動車に搭載することになります。これらをパワフルなAIスーパーコンピューターであるNvidia AGX Xavierがベースとなって処理するわけです」と説明しています。

シャピロ氏によると、Drive AutoPilotでは、車線変更・高速道路での運転・パーソナル地図の作成などが可能になるとのこと。また、システムは車内の運転手を監視し、運転中に眠気や注意散漫な態度が確認された場合に警告を発することもできる模様。加えて、パートナー企業がこのDrive AutoPilot上に別のシステムを構築しても、完全な無線ソフトウェア更新機能を使用することが可能となります。

Creative StrategiesのアナリストであるTim Bajarin氏は、「レベル2は、自動運転車にとって次のステップです。そして、2020年にはすべての主要自動車メーカーがこれを実現することを目標としています。自動運転車による影響がどのようなものになるかは、次の10年まで完全に推測することは難しいでしょう」と語っており、今後10年が自動運転車が世界にどのような影響をもたらすのかを測る上で重要になってくるとしています。


また、NVIDIAは2020年にはContinentalを含むパートナー企業がDrive AutoPilotを搭載した自動車の生産を開始すると発表しています。同システムを搭載した自動車は、自動駐車機能やAIを用いた音声処理も実行可能になるのですが、シャピロ氏によると「運転手が音声コマンドで自動車をコントロールできるようにするため、システムはクラウドにアクセスしなくても音声処理できるようにならなければいけない」と語っています。

さらに、Drive AutoPilotを搭載した自動車は走行中に、ある地点から別の地点に移動する方法を学習し、公道に関するデータを増やしていく「パーソナル地図」作成機能も有しています。

シャピロ氏はDrive AutoPilotが他の自動運転車システムより優れている点として「処理性能」を挙げており、同システムに搭載されているSoCのDrive AGX Xavierは1秒間に30兆回もの演算が可能で、これは市場に出回っている他の先進運転支援システム(ADAS)を大きく上回るスペックであるとのことです。

なお、CES 2019の中でDrive AutoPilotについて発表したNVIDIAは、同時に「オートパイロットが車線変更するつもりがあるかどうかを、車内外のデータを統合して運転手に提示する」というデモンストレーションを行ったそうです。

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in ソフトウェア,   ハードウェア,   乗り物, Posted by logu_ii

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