砂糖の過剰摂取は確実に現代人の健康をむしばんでいるという主張


甘みを与えてくれる砂糖は料理や製菓には欠かせないものであり、さまざまな食べ物に含まれています。流通が整ったことで、現代は食べ物がどこにでも売られているという便利な時代となりましたが、その反面で「砂糖の過剰摂取によって私たちの健康が脅かされている」と、カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)が警鐘を鳴らしています。

Sugar’s Sick Secrets: How Industry Forces Have Manipulated Science to Downplay the Harm | UC San Francisco
https://www.ucsf.edu/news/2018/12/412916/sugars-sick-secrets-how-industry-forces-have-manipulated-science-downplay-harm


サンフランシスコ総合病院に勤めるDean Schillinger医師によると、1990年代初頭に受け持っていた患者のほぼ半数がHIVに感染した人だったそうです。しかし、2010年代に入るとエイズよりも2型糖尿病を患う人が激増したとのこと。実際、1970年以来糖尿病の発生率が3倍以上になり、その95%以上が2型糖尿病を患っているそうで、カリフォルニア州だけでも成人の11%が糖尿病を患っていて、46%が糖尿病予備軍といえる状態になっているそうです。つまり、カリフォルニア州の人口の半分が糖尿病に脅かされているということになります。

また、1970年代までは病院で脂肪肝と診断されるケースは非常に少なかったそうですが、2010年代にはアメリカの成人のほぼ3分の1が脂肪肝だといわれるまでに激増したとのこと。脂肪肝は放置すると肝硬変や肝臓がんを招く可能性があり、アメリカ中の医師が脂肪肝の治療に取り組んでいるそうです。


「糖尿病や脂肪肝の患者が増えているのは遺伝的な変化が原因だといわれますが、それは一般的な誤解です。私たちの環境内の何かが変わったのです」とSchillinger医師は語っています。そして、この環境の変化とはすなわち「砂糖の消費量の激増」にあると主張しています。

UCSFによると、アメリカ人は毎日平均小さじ17杯分、年間でおよそ57ポンド(約26kg)の糖分を摂取していることがわかっているそうです。また、入手可能な加工食品の4分の3に糖添加物が含まれていて、現代人が消費する糖添加物の36%が、清涼飲料水に含まれる液糖だとのこと。こうした糖の長期的な過剰消費はインスリン抵抗性・高血糖・高血中脂肪・高コレステロール・高血圧を招き、やがて糖尿病・肝臓病・心臓病などのメタボリックシンドロームを引き起こす恐れがあります。


メタボリックシンドロームの主な原因は糖添加物としてよく用いられている果糖(フルクトース)です。果糖は単糖の1種で、果物や蜂蜜に含まれているほか、さまざまな加工食品や清涼飲料水に含まれています。果糖は体内でエネルギーとして使われますが、エネルギーとして使われなかった部分はトリグリセリド(中性脂肪)に変換します。血中の中性脂肪が増加すると、コレステロール値が上昇して心臓病のリスクが増加するほか、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの効きが悪くなる恐れもあります。一般的に使われる「砂糖(スクロース)」はブドウ糖(グルコース)と果糖が結合したものなので、砂糖の取り過ぎは果糖の取り過ぎにもつながります。

UCSF SugarScienceの主任研究員であるLaura Schmidt氏は「私たちの食料システムは完全に破壊されています。カリフォルニア州民の半数近くが本格的な糖尿病を発症する危険性があり、私たちは時限爆弾の上で患者の治療に取り組んでいます」と語っています。

また、UCSFで歯科医を務めるCristin Kearns氏は、「歯周病と糖尿病に相関関係がある」という研究論文を発表しましたが、砂糖のメーカーや清涼飲料水のメーカーは「砂糖を慢性疾患に結びつける証拠はない」とKearns氏の研究成果をすべて突っぱねたとのこと。

それでもKearns氏は「砂糖の過剰摂取はやはり歯周病を始めとする慢性疾患に関わりがあるのでは?」と疑問を持ち続け、独自に研究を進めていったところ、砂糖生産者の組合が学界や政界に強い影響を持っていることを確信したそうです。Kearns氏は2018年現在、同様にたばこ業界と戦う医師たちからノウハウを学びながら、研究と並行して製糖業界の圧力と戦い、砂糖摂取量を減らそうという啓発活動を行っています。


最後UCSFが紹介する「砂糖の摂取量を減らすための5つのコツ」は以下の通りです。

◆1:甘い飲み物の摂取をやめる
ただし、急にやめるのがつらい場合は、段階的に減らしていくことも重要だとUCSFは述べています。

◆2:誘惑には触れないようにする
戸棚や冷蔵庫の中を整理し、ジャンクフード店に足を運ばないように気をつけるようUCSFは注意を促しています。

◆3:子どもの外出に制限をかける
ただし、制限をかけすぎると、逆に「禁断の果実」が余計に魅力的になってしまうため、行き過ぎには注意しなければなりません。

◆4:箱入りや袋詰め、缶詰の食品には慎重になる
オーガニック(有機)やナチュラル(自然)などの健康的な響きのある言葉がパッケージに書かれていても、食べ物には砂糖がたっぷり使われていることがよくあるとUCSFは指摘しています。

◆5:所属するコミュニティも見極める
自分の職場、ジム、子どもが通う学校が健康に対してどういう立場を取っているかを考えましょう。

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in サイエンス,   , Posted by log1i_yk

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