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Googleの検閲機能付き検索エンジンは「現時点では」リリースされる予定はない

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Googleが中国の検閲システムに適合した検索エンジンを開発しているということは、2018年8月に報じられ、10月にサンダー・ピチャイCEOが認めています。社内外から多くの批判を呼び、社内では退職者が出たほか反対の声明まで発表されることになった検索エンジン「Dragonfly」について、2018年12月11日、ピチャイCEOはアメリカ下院議会公聴会に出席して「現時点で、中国で検索エンジンをリリースする予定はない」と発言しました。

Google CEO Sundar Pichai refuses to rule out censored Chinese search engine | Technology | The Guardian
https://www.theguardian.com/technology/2018/dec/11/google-ceo-sundar-pichai-congress

Google CEO Sundar Pichai didn’t rule out a search engine for China - Recode
https://www.recode.net/2018/12/11/18136409/google-sundar-pichai-search-china-house-judiciary

もともとGoogleは2009年に中国から大きなサイバー攻撃を受けたこと、そして検閲機能付きの検索エンジンが長らくスローガンだった「Don't Be Evil(邪悪になるな)」に反することから、2010年に中国市場を撤退しました。再び検閲機能付きの検索エンジンで中国市場に参入しようとする動きは、社内外から大きな批判を浴びており、既にGoogleをやめた研究員が存在するほか、反対を表明する従業員の集団アカウントから声明も発表されています。一方で、ピチャイCEOはこの検索エンジンについて「透明性のあるものになる」ということや、「中国でのリリース前には政策決定機関に相談する」ということを述べていました、

200人以上のGoogle従業員が中国向け検閲付き検索エンジンの開発をやめるべきとの声明を発表 - GIGAZINE


そして、2018年12月11日、サンダー・ピチャイCEOはアメリカ下院議会公聴会で証言を行いました。検閲機能付きの検索エンジンを中国でリリースすることについて尋ねられたピチャイCEOは「現時点で、中国で検索エンジンをリリースする予定はありません」と述べました。

一方で「CEOとして、中国において検閲・監視ツールをリリースすることはあり得ないと言えるか?」と尋ねられたピチャイCEOは、「企業としての私たちにとって最も重要なことの1つとして、私たちはユーザーに情報を提供するためのミッションを開始しました。私たちが常に『自分の義務だ』と考えているのは、ユーザーに情報を提供する可能性を探ることです」とあいまいに回答。「私たちは、『もし中国のような国で検索エンジンをリリースするならどういうものになるのか?』ということを探っていました」「この事柄について以前発言したように、私たちは非常に注意深く、また進歩とともに広く携わっていくでしょう」とも付け加えています。つまり「今のところ、中国で検索エンジンはリリースされない」としつつも、将来的な可能性全てが否定されたわけではないわけです。


なお、公聴会では他にも多くの質問がピチャイCEOに浴びせられ、Steve King議員は孫がiPhoneを使っている時に自分の写真と文章のポップアップが表示されたことについて質問し、ピチャイCEOが「議員、iPhoneは別の会社によって作られています。なのであの、つまり……」とやや戸惑う場面もみられました。具体的にiPhoneに何が表示されたのかは謎ですが、The Vergeは選挙の時期にKing議員の人種差別的、反移民の姿勢を批判した記事が出され、その通知が届いたのではないかとみています。

Google’s CEO had to remind Congress that Google doesn’t make iPhones - The Verge
https://www.theverge.com/2018/12/11/18136377/google-sundar-pichai-steve-king-hearing-granddaughter-iphone-android-notification

実際に質問が行われている様子は以下のムービーから確認できます。

After @SteveKingIA raises inscrutable concerns about iPhones, Google CEO Sunday Pichai patiently informs him, "Congressman, iPhone is made by a different company." pic.twitter.com/TiNZ1t3VRo

— Aaron Rupar (@atrupar)


また、検索エンジンに「idiot(バカ)」と入力するとトランプ大統領の写真が表示されることに関して「どのように情報を分類しているのか?」と尋ねられた時には、「情報の新しさ、妥当さ、人気、その情報をほかの人がどのように使っているかといったシグナルに基づいてランク付けをしています」と回答。誰かが裏で情報の操作をしているのではないか?という問いに対しては「手動での介入はありません」と答えています。

WATCH: Google CEO forced to explain why Trump's photo appears when you search for 'idiot'
https://www.rawstory.com/2018/12/watch-google-ceo-forced-explain-trumps-photo-appears-search-idiot/

これまでに検索結果を操作したとして従業員を処罰したことはないのか?と聞かれると「そもそも一従業員がそのようなことを行うのは不可能です」と返しました。

.@LamarSmithTX21: You've never punished a Google employee for manipulating search results, is that right?

GOOGLE CEO SUNDAR PICHAI: It's not even possible for an individual employee to do that.

SMITH: I disagree. I think humans can manipulate the process. pic.twitter.com/GjqNKd7FuE

— Aaron Rupar (@atrupar)

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in ネットサービス, Posted by darkhorse_log

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