ネットサービス

Amazonはアメリカ郵便公社を私物化している、配達物の約8割がAmazonの荷物だという現状を職員が語る

by Global Panorama

2017年にAmazonは約50億個ものアイテムを発送したと発表していますが、アメリカでの荷物の発送のほとんどはアメリカ合衆国郵便公社(USPS)が担っています。USPSは電子メールの普及によって郵便物が減少し2000年以降は赤字続きで、国から資金援助も受けていないためAmazonの配達契約が大きな収益源となっていますが、これによって従業員が過酷な労働を強いられています。

Confessions of a U.S. Postal Worker: “We deliver Amazon packages until we drop dead.”
https://medium.com/s/powertrip/confessions-of-a-u-s-postal-worker-we-deliver-amazon-packages-until-we-drop-dead-a6e96f125126

ジャーナリストのブレンダン・オコナーさんは、アメリカ・ニューイングランド在住のUSPS職員に話を聞いています。この職員によると、2013年にAmazonがUSPSと契約を結んでから、働き方が大きく変わったそうです。職員は時給18ドル(約2000円)足らずで休み無くパートタイマーとして働いていますが、2018年現在において発送しているもののほとんどは郵便物ではなくAmazonの荷物だといいます。


日常の仕事について、この職員は「朝7時30分にオフィスに到着し、最初の3~4時間は手紙や荷物の整理を行います」と語ります。この時、発送するものに郵便物ももちろん含まれるのですが、75~85%はAmazonの荷物だそうです。その後、山ほどあるAmazonの荷物を届けるべく、道順を確認し、順序通りに運んでいきます。発送にかかる時間は日によりますが4~6時間ほどなので、1日の労働時間は10時間程度となります。

Amazonは2013年にUSPSと契約を行った際に、「Amazon Sunday」という日曜配送サービスを開始しました。日曜日は、他の郵便物の配達がストップするので、配達されるのは全てAmazonの荷物になります。

by Kutan Ural

USPSは毎日曜日に、配達員が荷物を届けるルートをコンピューターで生成し、職員はルートが書かれた紙を受け取ります。このルートは街について詳しい職員にとって「効率的ではない」ことがあるそうですが、職員の動きはGPSでトラッキングされているため、ルート通りに配達を行う必要があるとのこと。「こっちの方が効率的だ」と考えて独自のルートを採用すると、後で問題に巻き込まれると職員は語っています。

またAmazonの荷物の扱いは他の荷物と異なり、Amazon以外の荷物に配達ミスがあれば「明日でいいよ」と言われるそうですが、Amazonの場合はルートを戻ってきっちり届けなければならないという厳格さだといいます。

USPSは過去30年にわたって配送ネットワークを構築してきたため、USPSの活用は、Amazonにとって新たなネットワークを作り出す手間やコストが不要だという点で魅力的です。また、USPSには職員を働かせることについての上限が存在しないのも魅力の1つだとみられています。

インタビューを受けた職員は連続で17日間勤務したことがあると語っていますが、USPS Redditという掲示板では休日ゼロで1カ月連続で働き続けたと語る人も存在します。特にホリデーシーズンは休みがなくなりがちだそうです。

Amazonが登場するまで、このような過度な労働がUSPSにあったのかはわかりません。しかし、長年USPSで働いている人の中からは「昔はこんな風じゃなかった」という声も上がっているとのこと。

上記の発言の「こんな風」というのが具体的に何を指すのかは不明ですが、日曜日の発送といった労働時間の変化以外にも、GPSトラッキングや、「安全性に欠ける」方法がUSPSに取り入れられるようになったことを職員は語っています。

by Pope Moysuh

例えば、配達のルートが厳格に決められているため、配達員は紙のルートを確認しつつトラックを運転することになります。しかし、それによって事故が起こることも。インタビュイーである職員の同僚が事故を起こした際、その翌日には安全性について「運転中にメールやルートを確認しないでください」と説明が行われましたが、そんなことは不可能であるとのこと。システムが厳格な働き方を強いているにも関わらず、それで問題が起こると職員の責任にされるという問題が存在しているわけです。熱中症が問題視された時も「水分をよく取り、休息を行うこと」と口では指示されるものの、一方で「速い配達」が求められるため、職員は現実には休息など取れません。

また、仕事上、同じ動作を繰り返すために体を痛める職員も多いそうです。にも関わらず、労働者災害補償が十分でないために、痛みを抱えたまま働き続けなければならない職員が多く存在します。

「どうすれば問題を解決できると思いますか?」という質問に対し、インタビュイーの職員は「難しい質問です」と前置きしつつ、「人員不足」と「『消費者需要』という考え」が問題だと指摘。職員は、Amazon Sundaysの存在から「自分はAmazonのために働いているようだ」と感じているといいます。一方で、USPSがAmazonに不満を言ったことでAmazonが手を引けば、USPSは助けが必要になるというのが現状です。

by chuttersnap

職員は、アメリカ政府が軍にあてる予算の0.0001%でもUSPSに割り当ててくれれば、USPSがAmazonに依存する必要はなくなる、と述べています。Amazonは公的機関を私的なものに変えており、それにより多くの職員が疲弊しています。軍にとっては取るにたらないお金でも、国からの予算によってUSPS職員は人道的に働けるようになるとのことです。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
Amazonが「反労働組合」的なトレーニング動画をWhole Foodsのチームリーダーに送っていたと報じられる - GIGAZINE

Amazonは現代の「強盗男爵」だと指摘するレポートが登場 - GIGAZINE

「Amazonされる」など造語が誕生するほど恐れられるAmazonの悪夢のような底なしの欲望 - GIGAZINE

「『Amazonのやり方が正しい』とは言わない、しかし20年で根付いた文化だ」とベゾスCEOが発言 - GIGAZINE

Amazon倉庫で身分を隠して働いた記者が語る「過酷な労働環境」とは? - GIGAZINE

in ネットサービス, Posted by logq_fa

You can read the machine translated English article here.