サイエンス

低炭水化物の食事は通常の食事よりも多くのカロリーを消費させるかもしれない

by daBinsi

低炭水化物ダイエットとは肥満や糖尿病の治療、またはダイエットのために炭水化物の摂取量や比率を制限する食事療法のこと。炭水化物で摂取していたエネルギーをタンパク質や脂質に置き換えるこのダイエット法は、体内で消費するカロリーの量そのものに影響を与える可能性が示されています。

Effects of a low carbohydrate diet on energy expenditure during weight loss maintenance: randomized trial | The BMJ
https://www.bmj.com/content/363/bmj.k4583

Low-Carb Diets May Burn More Calories
https://www.livescience.com/64086-low-carb-diets-may-burn-more-calories.html

ボストン小児病院ハーバード大学医学大学院などの研究チームは、共同で肥満に関する「炭水化物-インスリンモデル」を実証するための実験を行いました。この炭水化物-インスリンモデルという考えにもとづくと、食品ごとの血糖値上昇度合いを表す「グリセミック指数(GI値)」が高ければ高いほど過剰なカロリーは消費されにくくなり、体内の脂肪細胞が過剰なカロリーをため込む傾向にあるとされています。


従来の2週間以内といった短期的な周期で行われた実験では、高炭水化物の食事と低炭水化物の食事との間で消費されるカロリーに大きな差がないことがわかっていました。そこで研究チームは約5カ月間という長いスパンにわたって実験を行い、炭水化物-インスリンモデルを裏付ける結果が出るかどうかを調べたとのこと。

研究には「肥満であり、10%の体重減少が必要である」と診断された164人の成人が参加。それぞれの参加者に対してランダムに「総カロリーのうち炭水化物が占める割合」が20%・40%・60%という3種類の食事療法が割り当てられ、20週間にわたって参加者の脂肪燃焼率や加速度計を装着しての運動量計測などが行われました。低炭水化物の食事が割り当てられた参加者は脂肪からのカロリー摂取が高炭水化物の食事と比べて増加しましたが、タンパク質・ナトリウム・砂糖に関しては全ての参加者が同程度の摂取量になるように調整されていたそうです。

by Tony Alter

20週間にわたる実験の結果、研究チームは同程度の体重を持つ参加者の間であっても、低炭水化物の食事をとった参加者は高炭水化物の食事をとった参加者よりも多くのカロリーを消費していることを発見しました。低炭水化物の食事をとった参加者はたとえ1日の運動量に差がなくても、高炭水化物の食事をとった参加者よりも209~278kcalものカロリーを多く消費していたとのこと。研究チームはこれと同様の効果が3年にわたって持続した場合、同じカロリー摂取量で同じ運動量であったとしてもおよそ20ポンド(約9kg)もの体重差が出ると述べています。

また、このカロリー消費量が最も多くなったのは「グルコースを摂取した後に高レベルのインスリンを分泌する」参加者だったそうです。高レベルのインスリンを分泌する人が低炭水化物の食事をとった場合、そうでない人よりも1日あたり400kcalも多くのカロリーを消費したとのこと。

今回の発見は炭水化物-インスリンモデルと合致するものであり、研究を行ったボストン小児病院のDavid Ludwig氏は、「摂取するカロリーの種類によって消費するカロリーの量に差が出ます。低炭水化物の食事は放出されるインスリンの量を減らし、脂肪細胞の働きを抑えてカロリー消費量を増やします」と語りました。脂肪細胞に閉じ込められていない血中のカロリーは脳や筋肉によって使われやすく、消費されやすいのではないかとLudwig氏は考えています。

by sierravalleygirl

しかし、近年の研究では「高炭水化物や低炭水化物の食事をとっていると、中程度の炭水化物の食事をとっている人に比べ寿命が縮む」といった結果も出ており、低炭水化物ダイエットが長期的にどのような影響を与えるのかは判明していません。

また、今回の研究だけでは「従来の食事を低炭水化物の食事に切り替えるだけでより多くのカロリーを消費できる」とは言い切れないそうです。研究チームは可能な限りグループ間で類似した食事を提供したものの、研究で調整しきれなかった栄養素が結果に影響を与えている可能性は否定しきれないとのこと。そのため、メカニズムを解明するにはさらなる実験が必要だと研究チームは考えています。

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in サイエンス, Posted by log1h_ik