ハードウェア

T2チップのせいでApple以外の業者はMacを修理できなくなる


2018年以降モデルMacに搭載されているセキュリティ用のチップ「T2」が、端末の主要なパーツの認証プロセスに関わるため、Apple以外の業者による部品交換ができなくなる可能性が指摘されています。

Apple confirms its T2 security chip blocks some third-party repairs of new Macs - The Verge
https://www.theverge.com/2018/11/12/18077166/apple-macbook-air-mac-mini-t2-chip-security-repair-replacement-tool

最新のMacには「T2」と呼ばれるセキュリティチップが搭載されています。T2チップはシステム管理コントローラーや画像信号プロセッサ、SSDコントローラーなどMacに搭載されるコントローラを統合したコプロセッサで、例えばTouch ID認証を他のタスクでも実行できるようにしたり、画面を閉じるとマイクを完全に遮断して盗み聞きを防いだりと、セキュリティを高める用途として用いられています。

T2チップを搭載するMacBookは「史上最強」のマイク盗聴防止機構を備えることが判明 - GIGAZINE


このT2チップが、ロジックボード(マザーボード)などの一部の主要パーツを交換した際に、特別な診断ソフトウェアを起動させて認証を行うことがAppleの内部文書によって明らかになりました。

Apple's New Proprietary Software Locks Will Kill Independent Repair on New MacBook Pros - Motherboard
https://motherboard.vice.com/en_us/article/yw9qk7/macbook-pro-software-locks-prevent-independent-repair

内部文書によると、ロジックボードなどの主要なパーツを交換した場合、「AST 2 System Configuration Suite」と呼ばれる特別なツールによる認証が行われるまで、修理が完了することはなく、システムは動作しなくなるとのこと。このAST 2 System Configuration SuiteはApple StoreとApple認定のサービスプロバイダ(ASP)にのみ配布されるので、Appleの認定を受けない修理業者は、一部のパーツ交換を伴う修理をできなくなります。


なお、影響を受ける主要なパーツには、MacBook Pro(2018年モデル)のディスプレイアセンブリ、ロジックボード、ケース、iMac Proのロジックボード、フラッシュストレージ(SSD)が挙がっています。この内部文書は2018年前半に作成されたものであるため、2018年10月に発表された新型MacBook Airや新型Mac miniの記載はありませんが、T2チップが内蔵されているため、同様の規制を受けることが予想されます。


Appleは「ロジックボードやTouch IDセンサーなどのパーツの新規交換で制限があり得る」ことをThe Vergeに対して認めたとのこと。T2チップによるパーツ交換制限がどのような運用になっているのか詳細は明らかではありませんが、制限を受ける2018年モデルのMacBook Proを分解修理したiFixitは、中古のディスプレイユニットやロジックボードとの交換に成功しています。

Apple’s secret repair kill switch hasn’t been activated—yet | iFixit
https://ifixit.org/blog/11673/

このため、AST 2 System Configuration Suiteは未使用のパーツを装着した場合に認証を行い、すでに認証済みのパーツでは診断プロセスが不要の可能性もあります。それでも、中古パーツではない、またApple以外のメーカーが製造した安価なパーツへの交換の道は絶たれることになりそうです。

T2チップの存在によって、ユーザー自身による重要なパーツの交換が不可能になることについて、「ユーザーの修理する権利の保障」を訴えるiFixitなどからは懸念の声が挙がっています。Appleがパーツ交換まで完全にコントロールすることは、粗悪なパーツを使った不完全な修理が減る一方で、安価な部品での修理というユーザーの選択肢を奪うことになるため、批判的な意見も多いようです。

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in ハードウェア,   セキュリティ, Posted by logv_to

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