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「自然な着衣」を深層強化学習でシミュレートすることに成功


「アニメーションのキャラクターの着替え動作」はキャラクターと衣服の関係から複雑な動きとなり、コンピューターを使っての作成は非常に難しいものとされてきました。そんな中、キャラクターアニメーションやロボット工学について研究するジョージア工科大学のAlexander Clegg氏はモデルフリーのDeep Reinforcement Learning(深層強化学習/deepRL)を使い、 ニューラルネットワークで自動的に適切な「人間の着替え動作」を発見するアルゴリズムを(PDFファイル)開発。deepRLフレームワークに「布」のシミュレーションを統合し、着衣の制御方策を学習させることに初めて成功しました。

Learning to Dress: Synthesizing Human Dressing Motion via Deep Reinforcement Learning
https://www.cc.gatech.edu/~aclegg3/projects/LearningToDress.html

Clegg氏の開発したアルゴリズムでは、仮想上の人間(ヒューマノイド)を使って服を着る動作をシミュレートしており、どのように適切な「人間の着替え動作」を行うのかは以下のムービーから見ることができます。

Learning To Dress: Synthesizing Human Dressing Motion via Deep Reinforcement Learning - YouTube


Clegg氏らが開発したアルゴリズムを使って着替えを行うヒューマノイドはこんな感じ。まずはTシャツに首を通し……


左手を袖に通します。


そして右手を通して終わり。非常に簡単そうに着替えを行っているように見えます。


ジャケットの場合はこんな感じ。


まずは左手。


ジャケットを背中に回して……


右手を通します。


これで完了。


……と、何の困難もなく着替えを行っているように見えますが、実は、ヒューマノイドに衣服を着せる場合、衣服が異なると混乱が生じることがよくあります。


かぶった衣服を引っ張るところまでは自然。


しかし左手を通すと……


通したはずの左手の袖が新たに生まれている……!という事態に。


混乱してきました。


「着られた!」とドヤ顔のヒューマノイドですが、服に変数を持たせた右3体は自然な着衣とはほど遠い状態で終わります。


次に、Clegg氏らが開発したアルゴリズムを採用したバージョン。


ヒューマノイドや服の動きには差がありますが……


袖が増えることなく、自然な着衣を行えています。これは「服の端をつかむ」「袖を引っ張る」といった動作1つ1つを、別個のタスクとして処理させることが鍵となっているそうです。


右手の袖を探して……


それぞれが着衣完了。


また、Clegg氏らのアルゴルズムは、付加的な力の作用「摂動」の要素を取り込んでいるとのこと。赤い矢印で示されている部分が摂動です。


この他にも、ハプティック方策、測地線方策、タスク方策などが用いられており、うち1つでも欠けると、右側3つのヒューマノイドのように、うまく着替えが行えない状態になります。


さらに、リニアトラッキングを取り入れることでも着衣を手助けしています。


Clegg氏らは、1つのタスクの出力状態の分布と、次のタスクの入力の分布をマッチさせる「方策の優先順位付けアルゴリズム」を開発することで、このような制御方策を用いて、ヒューマノイドにTシャツやジャケットといったさまざまな服を自然に着せることに成功したとのことです。

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in ソフトウェア,   動画, Posted by darkhorse_log

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