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修理やメンテナンス目的のために端末の「デジタル著作権保護」をハックして迂回することはOKとの判断が下される

By @felixtriller

ユーザーが所有する自分の端末を修理する目的のために、端末内に保存されている著作権付きのコンテンツやソフトウェアを保護する機構をハックして迂回することは合法であるという判断がアメリカで示されました。これまではメーカーなどが「著作権」を盾にデータやソフトウェアの中身を見ることができましたが、今回の新たな判断はユーザーの「修理する権利」にとって大きな前進となります。

In Groundbreaking Decision, Feds Say Hacking DRM to Fix Your Electronics Is Legal - Motherboard
https://motherboard.vice.com/en_us/article/xw9bwd/1201-exemptions-right-to-repair

この判断は、アメリカ議会図書館の館長とアメリカ合衆国著作権局が示したもので、スマートフォンやトラクター、自動車、スマート家電などの多くの機器に適用されます。

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著作権者(=メーカーなど)がデータやソフトウェアへのアクセスを拒否する根拠となっていたのは、2000年に施行されたアメリカ連邦法のデジタルミレニアム著作権法(DMCA)だったのですが、今回の判断は修理やメンテナンスの目的のためにデジタル著作権管理(DRM)を迂回することを同法の規定から除外することを認めるというもの。つまり、これまでは法律の高い壁に阻まれていた内部データへのアクセスが合法になったことで、ユーザーや修理業者などは何の問題もなく必要な手段を採ることができるようになったということになります。

消費者権利団体「US PIRG」のトップを務めるネイサン・プロクター氏は「この判断は、端末を出荷時の状態にリセットすることを可能にするものです」「これは私たちが求めてきたものです」と取材に対して語っています。

一方、「修理する権利」を守るという観点においては大きな「勝利」となるこの判断ですが、実際にはユーザーやと非メーカー系の修理専門家が直面している困難を解消するものとはならない模様。現代の機器にメーカーが実装している改ざん防止システムの解読は非常に困難なものになってきており、また、この判断は「DRMは違法である」と示すものではなく、「DRMを迂回することは問題ありません」と示すにとどまっています。そのため、メーカーがこれまでと同じくDRMを端末に実装し続けることには何の障害も存在しないというのが実情です。

By Chee Meng Au Yong

また、この判断が「メーカーが修理を独占している状況を打破するもの」ではないことは、実際の修理に必要なパーツの供給がメーカーによってコントロールされているという状況からも明らか。ユーザーや修理業者が必要なパーツを全て手に入れることは容易ではなく、メーカーが重要な修理部品の流入を防ぐためにアメリカ国土安全保障省に働きかけて部品の輸入を阻止するケースもあるとのこと。

このように、今回の判断は「修理する権利」にとっては大きな一歩とはいえますが、実行上はまだまだいくつもの山がそびえ立っている状況といえそう。プロクター氏は「メーカーは音楽やゲームソフトといった著作物とは異なった領域で著作権侵害対策ルールを使用しています」「我々は、単に自分たちの持ち物を修理したいだけです。この進歩には満足しており、今後は『修理する権利』を確立することで目的を成し遂げたいと思っています」と述べています。

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in メモ,   ソフトウェア, Posted by darkhorse_log

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