メモ

人は自信を持った話し方をされると相手の発音がなまっていても信頼する傾向にある

by steve lyon

英語を話す人は世界におよそ15億人存在するといわれています。しかしその内7割以上は、母語ではなく第二言語として英語を使っていて、地域によって発音やアクセントが大きく異なります。人はスピーチのアクセントによって脳内で無意識にバイアスを形成し、自分のものと異なるアクセントに対しては不信感を抱きますが、自信たっぷりに話したスピーチはアクセントが異なっていても信頼する傾向にあるという研究結果が発表されています。

Neural architecture underlying person perception from in-group and out-group voices - ScienceDirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1053811918306578


Do we trust people who speak with an accent? | Newsroom - McGill University
https://www.mcgill.ca/newsroom/article/do-we-trust-people-who-speak-accent


Why don't we believe non-native speakers? The influence of accent on credibility
(PDFファイル)https://mdl.uchicago.edu/sites/keysarlab.uchicago.edu/files/uploads/Lev%20Ari%202010.pdf


シカゴ大学で認知心理学を研究するシリ・レヴ=アリ氏は「外国語のアクセントで話される英語はネイティブスピーカーに不信感を与える」という実験結果を報告しています。レヴ=アリ氏率いる研究チームは、英語を母語とするネイティブスピーカーと非ネイティブスピーカーに、「水を飲まない状態だとキリンはラクダよりも長生きできる」など本当か嘘か分からないスピーチをさせ、スピーチを聴いたネイティブスピーカーがその内容を信じるかどうかを調査しました。すると、外国語のなまりが強い英語の場合、スピーチを聴いたネイティブスピーカーはその内容を疑う傾向があることがわかりました。

カナダのマギル大学コミュニケーション科学・障害学部のマーク・ペル教授は、「話者の母語や出身地など、アクセントは話者のアイデンティティを強く示します」と述べ、ネイティブと異なるアクセントが不信感につながるという研究は、外国人への偏見につながりかねないと語っています。

by Pedro Ribeiro Simões

ペル教授は、人はアクセントを聞き分けることでネイティブな話者を「グループ内」、非ネイティブな話者を「グループ外」と、脳内で無意識にグループ分けしていると指摘。このグループ分けが不信感に影響を与えている可能性があるとして、実験を行いました。

実験では、まずカナダの英語話者を被験者とし、核磁気共鳴画像法(MRI)で脳内をスキャンしながら、被験者に「カナダなまりの英語」「オーストラリアなまりの英語」「フランスなまりの英語」を聴かせてその反応を見ました。また、実験中に使ったそれぞれのスピーチは「自信気に話したもの」「おどおどと話したもの」「普通に話したもの」の3種類を用意したとのこと。

すると、被験者にとってネイティブな「カナダなまりの英語」に比べて、被験者にとって非ネイティブな「オーストラリアなまりの英語」や「フランスなまりの英語」で話された内容は信頼性が低いと判断される傾向にあることがわかりました。そこで、被験者のMRIスキャンを調べたところ、スピーチのアクセントによって、脳内の異なる領域が活性化されていることが判明。「グループ内」のアクセントを聴いた時は「過去の経験に基づいて推論を行うことに関わる領域」が活性していて、「グループ外」のアクセントを聴いた時はさらに「聴覚処理に関わる脳の領域」が深く関与していることがわかりました。

以下の画像で、赤い部分は「グループ内」のスピーチを信頼できるかどうかを吟味した時に活性化した領域。青い部分は「グループ外」のスピーチを信頼できるかどうかを吟味した時に活性化した領域です。


また、実験では、非ネイティブのアクセントで行われたスピーチでも「おどおどと話したもの」「普通に話したもの」はあまり信頼されなかったのに対して、「自信気に話したもの」は比較的信頼されていることがわかりました。研究チームは、人が非ネイティブなアクセントで話されたスピーチの信頼性を吟味するとき、その内容を過去の経験から検討するだけでなく、話者の話す音声にも注意を払うという2段階のプロセスで処理しているのだと論じています。

論文の共同執筆者で同済大学の准教授を務めるシャオミン・ジァン氏は「もし人から信用されたいのであれば、あらゆる場面で自信を持って話すべきだと考えていますだ考えています。この研究結果は、雇用から教育、司法に至るまであらゆる場面でアクセントをつけて話している人にとって大きな意味を持つ発見です」とコメントしています。

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in メモ, Posted by log1i_yk

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