スマホは地球規模の環境問題や劣悪な労働と密接に関わっている

by Matt Madd

世界中で使用されているスマートフォンにはさまざまな最新技術が投入されており、ユーザーにとって便利な機能を実現するために多くの資源が使用されています。そんなスマートフォンが持つ問題点について解説したムービーが、YouTubeで公開されています。

What’s a smartphone made of? - Kim Preshoff


2018年の時点で、世界中に25億人を超えるスマートフォンユーザーがいるとのこと。

それぞれは手の中に収まる程度の大きさであるスマートフォンですが、世界中に存在する全てのスマートフォンを合わせると、本体を構成する資源の量は膨大なものになります。

世界中のスマートフォンを合わせると、金の使用量は8万5000kg。

銀は87万5000kgで……

銅に至っては4000万kgも使用されているそうです。

実際には金・銀・銅がスマートフォンに占める割合はほんの一部分であり、平均的なスマートフォンには70を超える化学元素が使用されているとのこと。

これらの資源は、「希土類元素(レアアース)」と「貴金属」という2つのグループに分類することができます。

レアアースは合計17の元素の総称であり、低濃度であれば世界中の地殻に含まれている元素です。

レアアースには磁性体や電気伝導体といった特性を示すものがあり……

スマートフォンを構成する技術に必要不可欠なものとなっています。事実、スマートフォンやその他の電子機器には、さまざまな目的で16種類ものレアアースが使われているとのこと。

スマートフォンの場合、カラーディスプレイや……

バイブレーションなどの機能を搭載するために、レアアースが利用されています。

しかし、レアアースを地球から取り出すことは、地球に悪影響を与えてしまいます。

レアアースは世界中の地殻に含まれているものの、低濃度のためにそれらを抽出することは経済的に不可能。

一般的にはレアアースを得るために、「露天掘り」という坑道を掘らずに地表から渦を巻くように地面を掘っていく手法が取られますが……

露天掘りは広大な土地に悪影響を与えます。

さらに空気と水の汚染を引き起こし……

近隣のコミュニティに悪影響を与えるとのこと。

別のグループである貴金属も、同様の悪影響を地球に与えかねません。貴金属のグループには金・銅・銀・鉛・アルミニウム・白金などが含まれていますが……

レアアースと同様、地球に広大な範囲で悪影響を与えることが指摘されています。

レアアースや貴金属を得る鉱業には、多くの問題点が指摘されており、掘削できる場所を得るために、大規模な動植物や人間の居住地を脅かす可能性があるとのこと。

さらに、鉱業に従事する労働者の多くは、過酷な労働条件で働いています。

スマートフォン生産に必要不可欠な石油も、地球が抱える問題の一つ。

便利なスマートフォンは、これら21世紀の地球が抱える問題と密接に結びついています。

資源には限りがあるため、当然のことながらレアアースや貴金属はやがて枯渇してしまいますが、同様の機能が果たせる代替元素は見つかっていません。

それにも関わらず、スマートフォンユーザーの数は着実に増加しています。2019年には30億人がスマートフォンを利用していると考えられているとのこと。

貴重な資源を無駄にしないためにも、スマートフォンをリサイクルする試みが必要になっています。

古いスマートフォンを寄付することで、資源を再利用することが可能ですが……

リサイクル企業にもさまざまな問題があるとのこと。

レアアースや貴金属の掘削と同様に、リサイクルを行うことで引き起こされる環境問題も存在します。

また、スマートフォンなどの電子廃棄物は労働条件が悪く賃金も安い国に運ばれ……

女性や子どもで構成されたリサイクル工場で、リサイクルされる場合もあるそうです。

しかし、十分な訓練を受けていない従業員が劣悪な環境下で作業を行うと、鉛や水銀といった人体に有害な元素にさらされてしまい、神経系がダメージを受けることもあります。

スマートフォンは世界規模の技術と資源がつぎ込まれた産業の結晶であると同時に……

世界規模の問題とも直結しているのです。