メモ

車を禁止した結果「パラダイス」とまで言われるようになった都市がある


「個人の所有物であるはずの車が公共スペースを占領していいはずがない」ということで、街の中心地から車を排除した都市が存在します。交通渋滞や事故といった問題を抱え衰退傾向にあった街ですが、この計画が功を奏して人口が増加傾向に転じ、「こんなに住みやすい都市はない」と住民に言わしめるまでになっています。

'For me, this is paradise': life in the Spanish city that banned cars | Cities | The Guardian
https://www.theguardian.com/cities/2018/sep/18/paradise-life-spanish-city-banned-cars-pontevedra

1999年、スペイン、ガリシア州の南西部に位置する都市・ポンテベドラの市長に就任したMiguel Anxo Fernández Lores氏は「自動車を所有することは、公共スペースを占領する権利を意味するものではない」という、非常にシンプルな哲学を持っています。Lores氏の就任時、1日に1万4000台の車が街を行き交っていましたが、車のせいで子どもや高齢者が道を使えない、という事態を受けて問題解決に臨みました。

Lores氏は野党の議員を12年務めたあとに市長になった人物で、市長になって1カ月もしないうちに敷石の道路や中世から続く中心地を含めた30万平方メートルの範囲を歩行者優先区域としました。


「ドラッグがはびこり、車があふれ、歴史的な中心地は死んでしまっていました。都市は衰退し、汚染され、交通事故が頻繁に起きていました。不景気になり、街を離れる機会を得た人の多くは実際に離れていったのです。最初、私たちは交通状況を改善することを考えたのですが、いいプランを思いつきませんでした。そこで、車を排除し、住民たちに公共スペースを取り戻すことを決断したのです」とLores氏は語っています。

左がプラン実行前の中心地、右が実行後の中心地。


具体的にいうと、Lores氏はまず、市内を車が走ることを禁止し、地上にある駐車スペースを取り除きました。駐車場所を探す車が交通渋滞の大きな原因となっていたためです。中心街にある駐車場を全て排除する代わりに地下や街の周辺地域に駐車スペースを設け、うち1686個は無料スペースとしました。ラウンドアバウトを採用して信号機を排除し、「車のない地域」の範囲を拡張、それ以外の区域でも時速30kmの速度制限を設定しました。

この結果、1996年から2006年までの交通事故の死者数は30人だったのに対し、その後10年の死者数は3人に激減。2009年からの死者はゼロとなっています。二酸化炭素の排出量は70%も減少し、同地域の別の街は人口が減少にしているにも関わらず、ポンテベドラは新たに1万2000人の住民を得たとのこと。加えて、大きなショッピングセンターの建築許可を保留したおかげで、スペインの経済危機で小規模ビジネスがつぶれていくなか、ポンテペドラの小規模ビジネスは持ちこたえることができたそうです。

「中心地から車を排除する」という計画は、周辺地域の渋滞を生み出していると批判されることも。また、駐車スペースが足りてないともいわれています。駐車スペースから中心地までの間に公共交通機関がないため、歩くか自転車を使うしか手段はありません。ただし、中心街は歩いて25分ほどで渡りきれるサイズなので、批判を言う人も「バルセロナやトレドに住んできましたが、こんなに住みやすい場所はありません」と、このモデルを拒絶することはないとのことです。

by Dani Oliver

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in メモ,   乗り物, Posted by darkhorse_log

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