動画

マイケル・ジャクソンが送り出したヒットナンバーに隠された秘密とは?


Thriller」「Billie Jean」「Man in the Mirror」など、数々の大ヒット曲を世に送り出し、「キング・オブ・ポップ」と称されたマイケル・ジャクソンは2009年に亡くなりましたが、今もなお世界中に彼のファンが多く存在します。そんなマイケル・ジャクソンが初めて作詞作曲を行った「Don't Stop 'Til You Get Enough」を例に、マイケル・ジャクソンの曲がなぜ多くの人に愛されるのかをNerdwriter1がムービーで解説しています。

How Michael Jackson Made A Song - YouTube


マイケル・ジャクソンが芸能界に躍り出たのは1969年のことです。実の兄弟と一緒に音楽ユニット「ジャクソン5」を結成してメジャーデビュー。デビュー曲の「I Want You Back」は全米チャート1位に輝きます。


その後、レコード会社との方向性の違いを理由に、マイケル・ジャクソンはジャクソン5としての活動よりもソロの活動に重点を置くようになります。


しかし、4枚のソロアルバムを出したものの、セールスはあまり良好とはいえませんでした。ちょうどマイケルが変声期を迎えていた時期に出した4枚目のアルバム「Forever.Michael」に至っては、全米チャートの最高順位が101位という結果。


この時、ポップミュージックにディスコ・ミュージックの流れが着実に来ていましたが、マイケル自身もそのことを意識していました。


ジョン・トラボルタの出世作である1977年製作の映画「サタデー・ナイト・フィーバー」の大ヒットによって、黒人音楽の「ソウル」「ファンク」とLGBTの文化が融合したディスコ文化が花開く事となります。


1978年にはジャクソン5はレコード会社を移籍し、既に「ジャクソンズ」と名前を変え、ディスコ・ミュージックを取り入れていました。


また、レコード会社を移籍したことでセルフプロデュースが可能になったマイケルは、1979年に5枚目のソロアルバム「Off the Wall」を発売します。


「Off the Wall」はプロデューサーにクインシー・ジョーンズを迎え、マイケルが好きなように制作した初のアルバムで、アメリカで800万枚を売り上げました。


その成功を裏打ちしたのはまさしく純粋な「ダンス・ミュージック」といえます。


「Off the Wall」には、マイケル自身が初めて作詞作曲を務めた「Don't Stop 'Til You Get Enough」が収録されています。この曲は「Off the Wall」発売に先行してシングルカットされた曲で、ビルボードで1位を獲得した他、グラミー賞の最優秀男性R&Bボーカル賞も受賞するなど、大ヒットを記録しました。


「Don't Stop 'Til You Get Enough」でまず注目するべきは「リズム」です。バスドラムとベースを基本として、スネアドラムやマラカス、ギター、さらには空のソーダ瓶を叩いてリズムに変化を与えています。


この曲のリズムはファンクの影響を多く受けています。


「4分の4拍子の1小節の1拍目を強く打つ」というファンクのリズムは、「Sex Machine」「I Got You」などで知られ、「ファンクの帝王」と称されるジェームズ・ブラウンによって有名になりました。


このファンクによる強拍は、わざとリズムを小節からずらして変化を与える「シンコペーション」を可能にし、聴き手に対して体を動かしてリズムを取らせたくなるような衝動を引き起こします。


さらに「Don't Stop 'Til You Get Enough」では、リズムをずらす幅を極力短くすることで、大きなリズムそのものをつかみやすくしているという工夫が見られます。こういったわずかなリズムのずれを「マイクロリズム」と呼び、聴き手を引きつけるクリーンなサウンドに繋がります。


16分音符で刻むように細かくマラカスのシャカシャカという音はそうしたマイクロリズムを支えるために存在しています。


そして、メインのリズムが崩れないために、バスドラムやベースギターが常に同じ音を作るようにリズムパートが設計されています。


一方で、音色の部分でも「Don't Stop 'Til You Get Enough」では実に多彩な楽器が使用されています。


「Don't Stop 'Til You Get Enough」はAメジャーとBメジャーのたった2種類のコードしか使われていません。「Don't Stop 'Til You Get Enough」はこの2種類のコードの前後を入れ替えるようにして、西洋音楽というよりもむしろ東洋の雰囲気をまとったグルーヴを作り出しています。


そして、マイケル自身の歌声はD#とAという2つの音が基本となっています。この不思議な音程は「三全音(Tritone)」と呼ばれるもので、古来から奇妙な響きがする音程として「音楽の悪魔」と呼ばれるもの。マイケルの歌声はこの不思議な音程を利用して、曲に緊張感を与えています。


マイケル・ジャクソンの曲はただ時代の流行に迎合したからヒットしたのではなく、リズムやコードの組み立て方、さらに西洋と東洋を融合したような不思議な雰囲気を音楽的に演出するといった細かい工夫にヒットの秘密が隠れているとNerdwriter1は論じています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
AIでダンサーの動きを完璧に別人に転送する技術が登場、誰でもマイケル・ジャクソンに - GIGAZINE

著作権に厳しいディズニーが「マイケル・ジャクソン問題」でまさかの発言をして話題に - GIGAZINE

マイケル・ジャクソンのニューアルバム「XSCAPE」発売決定で「新曲のリーク音源」を巡り一騒動 - GIGAZINE

マイケル・ジャクソンのPVの舞台になったサルヴァドールに行ってみた - GIGAZINE

ムーンウォークならぬムーンランで男性が道を全速力で駆け抜けるムービー - GIGAZINE

「ジャン!」の華やかな音色で誰もが知っている音「オーケストラヒット」誕生の秘密 - GIGAZINE

in 動画, Posted by log1i_yk

You can read the machine translated English article here.