レビュー

ノッチすらない真のベゼルレスのためにカメラユニットが飛び出す変態スマホ「OPPO Find X」レビュー、スマホ技術の最先端を体感してみた


世界最薄のスマートフォン「R5」を出すなどデザイン面で人気を集め、意欲的な実店舗販売で世界中でスマートフォンを売りまくり、ついに日本進出も果たした中国のスマートフォンメーカー「OPPO」が、画面占有率93.8%の「全画面スマホ」とでもいうべき端末「Find X」をリリースしました。iPhone Xのような「切り欠き」すらない真のベゼルレスディスプレイを実現するためにカメラユニットがディスプレイ下から現れる独自のギミックを採用するなど、他社端末とは一線を画するOPPOの野心作でスマートフォンの最先端の技術を確かめてみました。

OPPO Find X - A Panoramic Design, Out of Ordinary - OPPO Global
https://www.oppo.com/en/smartphone-find_x

◆開封・外観チェック
Find Xは紺色×オレンジ色の箱に入っています。


サイドに「OPPO」のロゴ。


箱からスライドさせるとオレンジ色の箱。パッケージからOPPOが「高級感」を重視していることが伝わってきます。


中身はFind X本体、専用保護カバー、SIM取り出しピン、簡単な説明書、Type-CのUSBケーブル、ACアダプター、イヤホン、汚れを拭きとるクロスとなっていました。


Find Xはディスプレイの端がカーブしたカーブエッジラインを採用したスマートフォン。SamsungのGalaxy SシリーズやXiaomiの「Mi Note 2」にも似たラインです。


全体がガラスで覆われた背面は、見る角度によって紫色が変化する、得も言われぬ美しさ。


デザインからくる高級感という点ではiPhone Xより上。数あるスマートフォンの中でも、「Xiaomi Mi MIX」と肩を並べるレベルの「最上級の高級感」と言い切れます。


なお、背面の下には「Find X」のロゴが入っていました。


左側面にボリュームボタン


カーブしたエッジをよく見ると、保護フィルムが貼付ずみ。カーブエッジへの保護フィルムの装着は難度が高めで、保護用のガラスフィルムも使えないので、すでに保護フィルムが正確に装着されているのは安心感があります。


右側面には電源ボタン


ディスプレイ上部はベゼルレス。カメラユニットさえありませんが、よく見るとスピーカーだけ搭載しています。


天面はくぼみが入った独特の形状。


おなじくくぼみの付いた底面にSIMスロット、Type-CのUSBポート、マイク、スピーカーを備えます。


Oppoのロゴをかたどったピンを使ってSIMスロットを開けると……


ナノSIMサイズのスロット。表裏にSIMカードを装着でき、DSDSに対応します。


背面は特に指紋などの汚れが目立つため、美しさを維持するのはかなり骨が折れそう……。そのためクロスが付属している模様。


カーブエッジにガラス背面を採用しているFind Xは、破損のリスクを考えると保護カバー(ケース)の利用が現実的。そのため専用の保護カバーが付属しています。


付属のクリアな保護カバーはプラスチック製で、装着すると光沢が減り本体の美しさも半減します。


Find X最大の特徴である、上部から飛び出す「Stealth 3D Camera(ステルス3Dカメラ)」に対応するため、天面部分は覆われていません。


底面もカットされており、カバーを付けたまま充電はもちろんSIMカードの出し入れが可能です。


◆使ってみた
・ディスプレイ
電源を入れると画面占有率93.8%というディスプレイに驚かされます。iPhone Xのような切り欠きのあるノッチデザインではなく、フルサイズのベゼルレスディスプレイは有機ELを採用しているということもあり感銘を受けるレベルの美しさです。


GIGAZINEを表示するとこんな感じ。6.4インチの有機ELディスプレイの画面解像度は1080×2340ピクセルで、ベゼルレスデザインのおかげで縦方向の情報量がかなり多めです。


・スペック&ベンチマーク
Find Xは、SoCにQualcommのSnapdragon 845を採用し、メモリは8GB、UFSストレージは最大256GBと現行のAndroidスマートフォンでは最上位のスペックを備えます。OSはAndroid 8.1ベースの独自OS「ColorOS 5.1」を採用しています。


ベンチマークアプリの「Antutu 3DBench」でスコアを計測すると「28万」オーバー。


Geekench 4」ではシングルコアが「2311」、マルチコアが「7998」となりました。SoC性能は文句なく最速の部類にあることがわかります。


・ウェブブラウジングとムービー視聴
Find Xにはホームボタンがなく指紋センサーもありません。そのため、画面下部の「角」と「端」を使う独自のUIが採用されています。Find Xでウェブブラウジングしたりムービーを閲覧したりする以下のムービーを見れば、その操作方法がわかります。

全画面スマホ「OPPO Find X」のベゼルレス画面の操作方法はこんな感じ - YouTube


「角を斜め上にはね上げる」という「戻る」操作と「画面の下端をゆっくり引き上げる」という「アプリ履歴(スリープアプリ)の表示」操作は慣れるまで難しく、片手での操作はかなり難しいと言わざるを得ません。「ベゼルレスディスプレイ」を追い求めてホームボタンを排除した結果のUIですが、素直にAndroid標準の「戻る」「ホーム」「履歴」のソフトウェアボタンを付けてほしいと感じました。

・ステルス3Dカメラ
ノッチ不要のベゼルレスディスプレイが実現したのは飛び出すカメラユニット「ステルス3Dカメラ」のおかげ。ということで、Find X最大の特徴であるカメラの動きは以下のムービーで確認できます。

全画面スマホ「OPPO Find X」の飛び出すカメラ「Stealth 3D Camera」の動きはこんな感じ - YouTube


Find Xのカメラは「Vivo Apex」のようなポップアップ式ではなく、ディスプレイ下から上部全体がスライドして出てくるタイプ。顔認証機能を持つカメラユニットは赤外カメラとドットプロジェクターを備え、顔の1万5000個所でドット認証を行う3Dタイプで、OPPOいわく「指紋認証の20倍は安全」だとのこと。AppleはiPhone Xで採用した「FaceID」の発表時に「TrueDepthカメラはAndroidの2.5年先を行く」と言っていましたが、1年足らずでOPPOは追いついたようです。


リアには2000万画素+1600万画素のデュアルカメラを搭載。2500万画素のフロントと合わせて3つのカメラはすべてF値は2.0と明るめのレンズを採用しています。


・顔認証
Find Xには指紋認証機能はなく、ステルス3Dカメラを使った顔認証機能のみ。顔認証によるロック解除の素早さは、以下のムービーで確認できます。

全画面スマホ「OPPO Find X」のスライドカメラでの顔認証ロック解除の素早さはこんな感じ - YouTube


顔認証の精度の高さはiPhone Xに劣らないほど。解除速度はかなりのものなので、「設定」アプリで「画面がオンの時に上にスワイプする」にチェックを入れて認証動作にスワイプを要求しないと、画面の通知や時刻を確認することができないほどです。なお、3Dタイプの顔認証なので、暗い場所でもロック解除できるのはiPhone Xと同じです。


◆感想
中国だけなくインドや東南アジアで飛ぶ鳥を落とす勢いのOPPOが送り出した「Find X」は、最高の画面占有率を実現するためにスライド式のカメラを採用した野心作です。ホームボタンすら排除するために、顔認証機能用にドットプロジェクターを使った3Dタイプのものを採用するなど、持てる技術をすべて投入した文句なしのフラッグシップモデルであり、OPPOの技術力を見せつける端末だといえます。


しかし、Find Xの評価は良くも悪くもこの「画面占有率93.8%のベゼルレスデザイン」をどれだけ高く評価するのか?という点に尽きるとも思えます。ベゼルレスディスプレイを実現するために取り入れたスライド式のステルス3Dカメラはモーター駆動のため、故障のリスクがつきものです。OPPOは「30万回の開閉に耐える耐久性を持たせた」とアピールしますが、ホコリや塵を吸い込みながら閉じていくカメラユニットを見ていると、そう簡単に不安はぬぐえません。また、画面ロックのためにカメラがスライドする様子は男心を大いにくすぐるギミックですが、「コンマ数秒の待機」を強いられます。ロック解除のたびに出くわす待機状態は意外なストレス要素で、カメラがスライドするコンマ数秒はシャッターチャンスを逃すリスクにもなり得ます。


また残念なことにFind Xの採用する有機ELディスプレイは、正確な色を表現するという意味での視野角はかなり狭く、画面を斜めにするととたんにディスプレイが赤味を帯びるという欠点があります。

Find Xはスペック面では何の不満もなく、現行のAndroidスマートフォン最高峰の性能を持つのは間違いないところですが、「全画面ディスプレイ」を実現するために取り入れたスライド式カメラ機構や独自の画面操作法など操作性や使い勝手の面でのデメリットが目立ちます。同様に、ガラスを採用した美しい筐体は、破損のリスクと隣り合わせの関係にあります。

美しいガラスのバックパネルですが、落下での損傷の危険はメタル素材の比ではありません。


カーブした美しいデザインは、「つるつる滑って持ちにくい」デザインでもあり、もろ刃の剣です。


性能が頭打ちし他との差別化が難しくなりつつあるスマートフォンで唯一無二の存在感を持たせたOPPOのチャレンジは大いに評価できるのは間違いありませんが、Find Xは万人にオススメできるスマートフォンとは言えません。スマートフォンテクノロジーの最先端を体験するためにいろいろなデメリットを受け入れる覚悟が求められる端末だというのが正直な感想です。

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in レビュー,   モバイル,   ハードウェア,   動画, Posted by darkhorse_log

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