サイエンス

瞑想やヨガは血圧を下げ肉体的にもストレスを減らしていることが研究で示される

by antas singh

瞑想やマインドフルネス、ヨガがもたらす効果にはさまざまな主張があり、精神面でいえば「エゴを手放すことに役立つ」といわれる一方で瞑想やヨガの後にはエゴが著しく増大するという研究結果も発表されています。新たな研究では肉体に対する影響が着目されており、瞑想やヨガが血圧を下げ、ストレスホルモンの値を低下させることが示されました。

Mindfulness mediates the physiological markers of stress: Systematic review and meta-analysis - ScienceDirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0022395617301462

It's not all in your mind: how meditation affects the brain to help you stress less
https://theconversation.com/its-not-all-in-your-mind-how-meditation-affects-the-brain-to-help-you-stress-less-97777

これまでに行われた被験者の自己申告をもとにした研究で、瞑想ヨガによってストレスや不安が減少することが示されています。この理由の1つとして、瞑想やヨガが脳のストレス反応システムに与える影響があると考えられています。

体のストレス反応は、交感神経系副交感神経系からなる自律神経系によってコントロールされます。交感神経系は激しい活動を行っている時に活性化し、人をストレスや脅威の存在する状況から解放すべく、筋肉や内臓、腺などをコントロールして「逃げる」あるいは「戦う」ことを体に行わせるもの。これは、「戦うか逃げるか反応」とも呼ばれます。

一方で副交感神経系は、交感神経系の働きを相殺し、交感神経系によって活性化された体を平常の状態に戻す役目を持ちます。


多くの場合、交感神経系と副交感神経系は真逆の機能を持ちます。たとえば交感神経系は心拍を増加させ血圧を高め、コルチゾールといったストレスホルモンを分泌させますが、副交感神経はこの逆で心拍・血圧・コルチゾール値の低下をもたらすとのこと。

カナダのビクトリア大学で博士研究員として働くMichaela Pascoe氏は、交感神経系・副交感神経系のこのような働きに着目し、ヨガや瞑想といったものが心拍・血圧にどのような影響を与えるかを調査しました。Pascoe氏らの研究チームは過去に行われた45の研究のメタアナリシスを行い、体系的に再評価するという方法をとっています。そしてその際、瞑想の種類によって体への影響がどう違うかも調査しています。

by rawpixel.com

まず、Pascoe氏は研究において、以下の3つの瞑想方法を採り上げています。

◆洞察瞑想(open monitoring)
洞察瞑想は、自分自身が経験していることについて注意を向け、その経験のあらゆる側面について「批判」や「支持」を行うことなく観察すること。これによって自分の認知や感情のパターンを認識することができます。

◆集中瞑想(focused attention)
集中瞑想は1つのものに集中することで、瞑想者の集中力を上げようとするもの。集中する対象は多くが呼吸やマントラ、体の一部、現実世界の「物」などさまざまです。瞑想者は、自分の注意が散漫になっているのを自覚する都度、「もの」に対する集中を意識しなおす、ということを繰り返します。

◆自己超越瞑想(automatic self-transcending)
自己超越瞑想は主にサンスクリット語のマントラを唱えながら瞑想を行うことで、努力することなく集中が得られるといわれています。瞑想によって自己に対する認識が増すと、最終的にマントラは唱えなくなっていくそうです。自己超越瞑想は1日に2回、15~20分ほど目を閉じて行うのが一般的。

調査の結果、まず、瞑想やヨガを行う人は、有酸素運動やリラクゼーションといった活動を行っている人に比べて拡張期血圧(下の血圧)が3~8水銀柱ミリメートル(mmHg)低いことが判明しました。

by Designecologist

また、集中瞑想と自己超越瞑想を行う人は、ヨガや瞑想を行っていない人と比べて収縮期血圧(上の血圧)が4~5mmHg低かったとのこと。拡張期血圧や収縮期血圧が2mmHg低くなるだけでも心臓病や脳卒中の発生率を減少させることができると言われているため、この結果は重要であるとPascoe氏は述べました。

さらに、洞察瞑想と集中瞑想およびヨガは1分あたりの心拍を3~4拍減らすこと、集中瞑想とヨガはコルチゾールのレベルを下げることもわかりました。

今回の研究では、3種類の瞑想のいずれもが肉体的なストレスを何らかの方法で減らしていることが示されています。「どの方法がベストなのか?」という問いに対してPascoe氏は「自分が楽しんで練習できて、継続的・定期的に行えるもの」を選ぶべきだと語りました。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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