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GoogleはAI制御でデータセンターを冷却するシステムを導入し30%の省エネに成功

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2010年にGoogleによって買収されたイギリスの人工知能開発企業であるDeepMindは、2016年にGoogleのデータセンターの冷却効率を、AIを使うことで40%も削減する事に成功しました。その後も協力してデータセンターの冷却システム改善を続けてきたGoogleとDeepMindが「完全にAIが制御して人間の手を必要としない冷却システムを導入し、30%の電力削減に成功した」ことを発表しています。

Safety-first AI for autonomous data centre cooling and industrial control | DeepMind
https://deepmind.com/blog/safety-first-ai-autonomous-data-centre-cooling-and-industrial-control/

データセンターはインターネット用のサーバーやデータ通信システムなどを設置し、運用している施設です。Googleのように巨大なIT企業になればなるほど、所持しているデータセンターも大規模なものになっていきます。特にGoogleが持つデータセンターにはGoogle検索やGmail、YouTubeなどの人気サービスを提供するためのサーバーが置かれており、確実かつ効率的に運用していく必要があるとのこと。


サーバーは熱を放出するため、サービスを安定して提供し続けるためにはデータセンターを冷却しなければなりませんが、その冷却費用はデータセンターの規模が大きくなればなるほどかさみます。もちろんデータセンターの冷却にはサービスに支障が出ないよう、確実で安全な方法が取られるべきですが、同時に冷却システムを改善することで費用や二酸化炭素排出量の削減が期待できるため、GoogleとDeepMindは安全性と高効率の2つを両立する冷却システムの開発を行ってきました。

2016年にGoogleとDeepMindが発表したAIを利用する冷却システムは、「AIがデータセンターの使用状況をモデル化して1時間後のデータセンターの温度を予測し、適切な対策を提案する」というものでした。大量のデータによって訓練されたシステムは、従来の管理者の経験にもとづく運用と比べ、40%もの効率化を達成することができたとのこと。ところが、この手法ではAIが単に指示を行うだけで、実際の制御は人間のオペレーターが行う必要があり、AIの指示に正確に従うのは大変だったそうです。

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そこで、GoogleとDeepMindは新たに「AIが冷却システムの制御まで自動で行い、人間による手作業を必要としない冷却システム」を開発しました。データセンターは個々の施設によって環境が大きく変化するため、冷却システムAIは制御したいデータセンター内に数千個ものセンサーを設置し、5分おきにデータセンター内の状況をスナップショットで記録します。そこで得られたデータをAIが分析し、さまざまな潜在的アクションが将来のエネルギー消費にどのような影響を与えるのかを評価します。そして、「最も効率がいい」と評価された選択肢をAIは自動で実行し、人間の手作業なしで効率的な冷却システムを運用できるとのこと。

AIはデータセンターを安全に運用することを何よりも優先するように設計されており、信頼性の低いアクションを自動で除外するようになっています。また、AIがはじき出した結果をそのまま冷却システムに反映するのではなく、一度データセンター運営者によって定義された、データセンターのシステム内部の安全性制約リストと照合されるそうです。そこで本当に冷却アクションを実行しても大丈夫だという確認が取れたら、ようやくAIは冷却システムを動かすことができます。

AIが制御する冷却システムは、一度ローカルシステムに経由させる冗長性によって、データセンターのオペレーターがAIの制御に介入する余地を残しているとのこと。また、AIの制御を簡単に打ち切って人間の制御に戻したり、AIのシステムに不具合が出たときにはフェイルオーバーにより自動的に別のシステムに切り替わるなど、多くの安全対策を取っているとGoogleは述べています。

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Googleは2017年8月ごろから新しいAI制御の冷却システムを導入しており、導入当初から従来の手法と比較して約12%の効率化が達成できていたとのこと。そして、運用を続けていくうちにAI自身が新たなデータを蓄積して冷却システムの効率化を進め、2018年7月の時点で従来の手法と比較して約30%もの効率化に成功しています。GoogleとDeepMindによれば、今後も着々と冷却システムに関するデータが増えていくため、さらなる効率化が達成できるとしています。


AIによる直接制御を行う冷却システムは順調に稼働しており、冷却コストもエネルギーも効率的に削減できているとのこと。また、Googleはデータセンターの冷却システムは単なる一歩目に過ぎず、AI制御の冷却システムはほかの産業施設にも応用することが可能であり、地球温暖化対策の有効な手段となり得ると述べています。

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in ソフトウェア,   ハードウェア, Posted by log1h_ik

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