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遺伝的アルゴリズムを使って「学校の間取り」を考えたらどうなるのか?


遺伝的アルゴリズムは与えられた問題を「設定されたテーマ」に従って解決策を導き出すというもの。コンピューターが何度も何度も試行して最適解と思われるものを探すため、人間が思いつかないような答えを導き出すことがあります。クリエイティブ・コーダーのジョエル・サイモン氏は、ある学校の間取りを遺伝的アルゴリズムを使って最適化しました。実際にどのような間取りに最適化されたのか、サイモン氏自らが解説しています。

Joel Simon
http://www.joelsimon.net/evo_floorplans.html

サイモン氏は遺伝的アルゴリズムを使って間取り図を最適化する「Evolving Floor Plans」と呼ばれる研究プロジェクトを行っています。同氏はプロジェクトの一環として、実際の学校の間取り図を遺伝的アルゴリズムで最適化することにしました。

以下の画像は最適化を行う前の学校の間取り図です。サイモン氏によると、この間取り図はアメリカのメイン州に実在する小学校のものだそうです。間取り図の詳細は触れられていませんが、「PK」「K」「1」「2」の文字から推測すると、この学校は幼稚園と小学校が併設されていて、幼稚園(PK)と小学校の「幼稚園年長クラス(K)」「1年生(1)」「2年生(2)」の教室がある校舎の間取り図だと考えられます。


これを「移動するときに混雑しないこと」をテーマに最適化したものが、以下の画像です。この画像を見ると、ほとんどの教室の形状が一定の形ではなく、五角形や六角形など、さまざまな形になっています。また「混雑を緩和すること」をテーマにしているだけあって、人の集まる廊下は広くなっており、廊下だけでなく教室から別の教室に直接移動する経路があるのも特徴となっています。


以下は、「避難経路を最小距離にすること」をテーマに最適化された間取り図です。この間取り図は左上にある灰色のグラウンドに出るための移動距離を最適化するもので、廊下から移動すると遠回りが必要な教室から出発しても、教室内の経路を通れば最短距離で移動できるようになっています。


上記の2つの校舎の場合、教室内に窓のない部屋が多くあり、明るさの確保や換気が困難になることが考えられます。そこで、サイモン氏は「窓を設置する」をテーマに学校の間取り図を最適化しています。すると、各教室に窓を確保するため、校舎内に中庭(白色の区画)が複数登場しました。しかし、中庭に行くためのドアが存在していない場所があり、中庭のメンテナンスのために窓から外に出なければならない状態となっています。


このプロジェクトは、特殊な地形や切り倒すことのできない樹木など、さまざまな環境要因を考慮した間取り図を作ることができるため、「オフィスや病院などの設計にも適用できる」とサイモン氏が述べています。しかし、遺伝的アルゴリズムが変な方向に学習して「ありえない答え」を出してしまうことがあるため、出来上がった間取り図は人の手で多少修正する方が良いのかもしれません。

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in ソフトウェア,   デザイン, Posted by darkhorse_log

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