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Googleマップが値上げされても「避難先候補」となる代替オンラインマップは豊富に存在している


Googleマップでは2018年6月11日からAPIの料金体系が変更されており、Googleマップの利用量が多い一部のネットサービスでは、金銭的負担が大きく増えるパターンがあります。そんな「Googleマップ難民」の避難先としての代替オンラインマップについて、スタートアップ企業の「In Der Apotheke」がまとめています。

Farewell, Google Maps | In der Apotheke
https://www.inderapotheke.de/blog/farewell-google-maps

In Der Apothekeはユーザーがオンラインで近隣の薬局を探すことができ、必要な薬を受け取ることができるサービスを展開しています。サービスの性質からオンラインマップを利用する必要がありますが、Googleマップの値上げによって別のオンラインマップに切り替えることを検討したそうです。


In Der Apothekeは「Googleはマップの利用価格を14倍に値上げし、無料で使用できる範囲を30分の1にまで減らし、10億ドル(約1100億円)の産業にしようとしています」と述べ、さらに利用料変更の通知から実施までの期間が短く、多くのスタートアップに混乱をもたらしていることを非難しています。

これまでIn Der ApothekeはGoogleマップを無料使用可能な範囲(月に75万回までのAPI呼び出し)で利用しており、採算性の観点から商用利用の申請は行っていなかったとのこと。ところが、2018年6月の料金体系変更により、Googleから「利用頻度の高いユーザー」宛のメールが届き、今後の使用についての話し合いを求められたそうです。


Google担当者とのやり取りで、無料でAPI呼び出しが可能な回数がそれまでの「月あたり75万回」から「月あたり2万8000回」にまで減り、無料範囲を超えた後の従量課金制料金が従来の1000回あたり0.5ドル(約60円)から7ドル(約800円)にまで値上げされたことが知らされました。なお、先進国と発展途上国では物価に大きな違いがあるものの、Googleマップの利用料金には違いがないとのこと。

この値上げにより、In Der Apothekeのサービスを維持するための料金が大きく跳ね上がったそうです。これまで無料で利用できていたGoogleマップの利用料金が一気に5000ドル(約55万円)に増加し、それ以外の維持費用を上回ったとIn Der Apothekeは説明しています。


In Der Apothekeが提供するサービスで必要なのは薬局の位置を正確に表示できる地図で、近隣の情報さえ正確にわかれば問題はありません。GoogleマップのAPIが提供する衛星画像や経路計算といった機能は必要ないため、In Der ApothekeはGoogleマップからの乗り換えを検討し始めました。

そこで、Googleマップと他の主要なオンラインマップサービスの画像を比較してみることにしたとのこと。GoogleマップとMapboxTomTomAzure MapsOpenStreetMapApple MapsHERE MapsMapTilerといったオンラインマップサービスを比較し、In Der Apothekeの拠点があるワルシャワ近郊ではどのような地図が表示されるのかを調べたそうです。

すると、いずれの地図もほとんどGoogleマップと遜色ないレベルでの表示が可能だということが判明。Microsoftが提供するAzure Mapsだけは、少々空白が多い地図となっていましたが、これはAzure Mapsが2018年6月にリリースされたばかりでサービス期間がまだ短いためとのこと。これから多くの企業の利益となる情報を追加していくために、あえて空白箇所を多く作っているとMicrosoftは主張しています。


In Der Apothekeが必要としているオンラインマップは、ワルシャワのような大都市でのみ使えるものではなく、もっと小さい都市でも機能する必要があります。そのため、ワルシャワの隣町であるコンスタンチンでも、同様にオンラインマップサービスを比較してみました。

その結果、コンスタンチンのように小さな町であっても、いずれのオンラインマップでもちゃんと表示されることがわかりました。少なくともポーランドにおいては、「Googleマップでないと正確な地図が表示されない」という事態は起こらないようです。


これまでに見てきたオンラインマップサービスの中で、OpenStreetMapは商用利用が想定されておらず、Appleの「マップ」もベータ版のみがリリースされている状態のため、すぐに切り替えることは難しいかもしれないとIn Der Apothekeは述べています。Azure MapsとHERE Mapsも地図の表示についての観点から除外していき、最終的にIn Der ApothekeはMapbox・MapTiler・TomTomのいずれかをGoogleマップの代替として検討することにしました。

実際に切り替える時に問題になるのは、利用に必要な料金です。オンラインマップサービスの利用料金体系はさまざまであり、Googleマップのように「API呼び出し回数」で計算する透明性の高い料金体系のものもあれば、「表示される地図タイルにごとの従量課金制」「表示するマップによって変更あり」というものもあります。そのため、価格表を見るだけでは単純な料金比較ができないとのこと。

そこで、In Der Apothekeはオンラインマップサービス利用に必要な料金を簡単に比較するため、マッププロバイダーをGoogleマップ・Mapbox・MapTilerの3つで簡単に切り替えられるようにサイトをアップグレードし、1日あたりの利用料金を実際に使って比較してみました。すると、Google Mapsでは1万5000回のサイト訪問につき80ドル(約9000円)のコストがかかるのに対して、MapboxとMapTilerではいずれも9ドル(約1000円)程度のコストしかかからないことが判明したそうです。


「Googleマップはこれまで多くのユーザーに使われてきたサービスであり、少々の値上げであればユーザー側も気にせずに使い続けたかもしれません」とIn Der Apothekeは述べています。ところが、今回のように大幅な値上げが行われてしまうと、ユーザー側も代替手段を検討せざるを得なくなってしまいます。

In Der Apothekeでは、一度Googleがこのように利益を追求し始めた以上、これまで無料で使うことができたGoogleのサービスも、いずれ有料化されてしまうかもしれないと懸念しているとのこと。「今後、Google関連のサービスからは離れていくつもりです」とIn Der Apothekeは語りました。

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in ネットサービス, Posted by log1h_ik

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