メモ

なぜPDFでサイトを表示するべきではないのか?


紙の資料をウェブで表示するときに、そのままの状態で再現できるPDF形式は便利ですが、ウェブで資料を閲覧するユーザーからは敬遠されがちです。「なぜウェブページの作成者はPDF形式での表示をするべきではないのか?」について、行政サービスの情報サイトの運営者が解説しています。

Why GOV.UK content should be published in HTML and not PDF - Government Digital Service
https://gds.blog.gov.uk/2018/07/16/why-gov-uk-content-should-be-published-in-html-and-not-pdf/

イギリスの行政サービス情報サイト「GOV.UK」のニール・ウィリアムズ代表は、ウェブにおけるPDF形式でのページ表示を「好ましくない」と考えており、GOV.UKでは極力PDF形式での情報表示を排除しているそうです。

ウィリアムズ氏が考える、PDFのダメな点は以下の通り。

・1:サイズ変更しない
GOV.UKなどのウェブサイトは、コンテンツやページ要素がユーザーの端末やブラウザの種類に応じて柔軟に変更するようにデザインされています。しかし、PDF形式では表示環境に応じた変化はなし。ありのままを表示できるPDFの利点がそのまま欠点になっているというわけです。文字サイズが小さく、スマートフォンなどのモバイル端末で表示する場合にはズームイン、ズームアウト、縦横両方向へのスクロールが必須のPDFレイアウトは不適当だとのこと。

・2:そもそも目的が違う
紙ベースの情報表示形態のPDFは、そもそもオフラインでの閲覧が想定されているとウィリアムズ氏は指摘しています。オフラインを想定したPDFがオンラインでのウェブコンテキストに適合しないのは当然で、ウェブサイトでPDF表示することはユーザーエクスペリエンスの低下につながりかねないとのこと。

by Kate Ter Haar

・3:再利用が難しい
PDF形式の場合、ユーザー(閲覧者)は「テキストや画像をコピー&ペーストして利用」という行為をしづらいものです。これは、PDF形式が複数の列から構成されているからであり、互換性のないフォントを使っている場合には予想できないトラブルも起こり得ます。

さらにサイト運営者からみても、新しいコンテンツAPIやコンテンツ評価ツールなどウェブコンテンツを拡張するために開発されている各種ツールをPDF形式では使えないという欠点もあるとのこと。再利用の点でPDFには難があります。

・4:一部のユーザーへの配慮を欠く
多くのブラウザがPDFビューワー機能を持ち、また多くの端末にはPDFビューワーアプリが組み込まれており、それらは無料でダウンロードできるものです。しかし、一部のユーザーにとっては無料ダウンロードアプリをダウンロードすること自体、難しいという事実を見落としてはいけないとウィリアムズ氏は述べています。

また、視覚に問題を抱えるユーザーの中には、ウェブコンテンツを読みやすくするためにテキストのサイズや色を変更しなければならない人もいます。このようなカスタマイズが困難なPDF形式では、一部のユーザーのアクセスを制限することになってしまいます。


ウィリアムズ氏によると、「公開した情報にユーザーがアクセスできるようにすることはサイト運営者の責任」だとのこと。行政情報というすべての人がアクセスすることが前提の情報サービスを提供するウィリアムズ氏ならではの考えと言えそうです。

・5:ウェブページからの離脱
PDF形式のページを表示しようとすると端末やブラウザの設定によっては、新しいウィドウを開いたり、新しいタブを開いたり、PDFビューワーを起動したり、自動的にファイルをダウンロードしたりと、様々なアクションが起こります。しかし、「これらのいずれの動作も、元のウェブページとのコンテキストを奪ってしまう」とウィリアムズ氏は指摘しています。PDFを表示することで、元のページに戻ることが難しくなるという点で、ユーザーエクスペリエンスが下がるとのこと。

・6:アップデートの難しさ
HTMLと比較するとPDFは公開後の情報更新が技術的に難しいという欠点を抱えています。更新できないことは事後的にリンクを差し替えたり、情報を修正したりすることを困難にし、文書が複数の形式で公開されている場合には情報の齟齬が生じてしまうため問題だとのこと。また、ダウンロードしてオフラインで利用されることの多いPDFの場合、ユーザーに最新の情報を届けることが難しくなります。

・7:追跡できない
ユーザー側ではなくサイト運営者側の都合でいうと、ユーザーがPDFをどのように利用しているのかという情報をアナリティクスから得ることができない点でPDF形式は都合が悪いとのこと。PDFファイルが何回ダウンロードされたかというデータを取得できたとしても、オフラインでの閲覧回数はわかりません。また、どのようなリンクをたどっているかなど、ユーザーがPDFとやり取りした方法に関するデータを取得できないことから、ページの問題を特定したり改善方法を見つけたりすることが難しいとウィリアムズ氏は述べています。

by Aaron Parecki

以上の通り、オフラインを想定してウェブでの利用に不向きなPDF形式ですが、なぜサイト運営者が使うのかと言えば、「すばやく簡単に作成できるから」だとウィリアムズ氏は述べています。コンテンツをHTML向けに手直しするには時間がかかるのに対して、PDFの場合、人気のあるソフトから手軽に作成できるというメリットがあるとのこと。表やグラフなどの複雑な図を盛り込む場合には、簡単なPDFは特に重宝するものです。

しかし、作成自体が簡単なPDFは、レイアウトやデザインを変更・修正しづらいものだとのこと。このため、サイトデザインを統一することでブランディングするなどの面で不利であり、ユーザーだけでなくサイト運営者にとってもデメリットがあるとウィリアムズ氏は考えています。

政府が発表する情報は依然として紙媒体をベースにしたものが多く、行政情報を提供する上で紙媒体を想定したPDFはHTMLに比べて「信頼できるスタンダード」という意識があるとのこと。それでもなお、ウェブサイトとしてアクセス性の点でHTMLがPDFより優れていると考えるGOV.CUKでは、必要な場合にPDF形式でダウンロードできるという道は残しつつ、PDFの利用をできるだけ減らしていく方針だそうです。

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in メモ,   ネットサービス, Posted by darkhorse_log

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