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機械や工具は使わずに「自分の体」だけを駆使して木製のスツールを作ってしまう猛者が登場


ニューヨーク在住のアーティストであるニコラス・ベンテルさんは、なんと「自分の体のパーツ」だけを道具として使い、スツール(1人掛けで背もたれのない椅子)を作ってしまったとして話題になっています。

Why This Guy Made a Wooden Stool With His Mouth - Motherboard
https://motherboard.vice.com/en_us/article/ywejem/why-this-guy-made-a-wooden-stool-with-his-mouth

世の中には工具や機械といった製品を作り出すのに役立つ、ありとあらゆる道具がそろっています。ベンテルさんも道具の便利さを理解していますが、「道具を使って作られた製品は、あまりにも多くの部品からできています。それにより、製品がいったいどのような部品で構成され、どれほどの時間をかけて作られるのかといったこともわかりにくくなっています」と語り、人間の肉体だけを使って製品を作ってみるとことで、もう一度製品を作るのにはどれほどのエネルギーが必要なのかを考えてみようとしたとのこと。


そこで、ベンテルさんは建築家兼木工業者でもある父親のポールさんと協力し、自分の体だけを道具として使いスツールを作ってみるプロジェクトを開始しました。ベンテルさんは「人間の大きな特徴とは、道具を使用することです」と述べており、最も身近なツールである「肉体」を使用してスツールを作る経験を通して、「もう一度人間になった」と語っています。

ベンテルさんがスツールを作った過程を記録したムービーは、YouTubeで公開されています。

Part 2 | All Purpose Nik (2018)


近代化の進んだ社会では、便利な機械を使って身近な製品が作り出されています。


1人が座るだけの単純なスツールでも、非常に多くの機械を使って作られているのです。


チェーンソーで木を切り倒し……


トレーラーで運び出します。


木材は機械で決まった形に切断され……


ドリルなどを使ってスツールの「部品」が形作られます。


スツール1つを構成するために、非常に多くの部品が使われているのです。


部品を組み立ててスツールが完成したら……


車や船などを使って運ばれます。


ベンテルさんはそんなスツールを、自分の体だけを使って作り上げることに決めました。


まずは木材を調達するため、素手で森へ向かいます。


しばらく周囲を物色し、いい感じの木を発見したら……


手で押して倒そうとします。当然、チェーンソーを使うことはしません。「素手で木を倒すのは、死ぬほど大変だった」とベンテルさんは話します。


隣り合った木に登り……


足で倒したい木の上の方を蹴るなどして、どうにか木を倒そうと奮闘するベンテルさん。


足で蹴るだけでなく、背中で押してみるなどあらゆる方法で木を倒そうとします。


木を抱きかかえるようにして体重をかけるなどして……


ようやく木が傾き始めました。


そしてついに木を倒すことに成功。


息を切らして笑顔を見せるベンテルさん。


その後もベンテルさんはめぼしい木を倒していき……


木を工房まで運びます。木を運ぶのも当然人力です。


木を倒したのは工房のすぐ裏手の林だったようですが、それでも木を倒して運ぶだけで5時間もかかったと言います。


次に、倒した木の中から軽くて加工しやすく、重量の割に強度が大きいためスツール作りに適したバルサ材を選別します。


木材の選別にも機械を使わないため、強度や硬さを調べるためにベンテルさんの歯を使いました。


「この工程では、思ったより血が出た」とベンテルさんは語っており……


かみ砕いた木材で歯茎に傷がつき、血が流れる事態も発生。


「歯で木材の強度を調べるのは危険」ということで、人体の中で「歯」の次に硬い「爪」を使用することにしました。


使用する木材を決めたら、木工の心得のある人物にスツール作りを教えてもらいます。


ベンテルさんの父親であるポールさんは、木工業者です。


「通常の木工で使うありとあらゆる道具が使えない」という制約のもと、ポールさんはどうにか人体だけで作れるスツールの設計図を考案。


ベンテルさんは、設計図の通りに木材を加工していきますが、道具が使えないためバルサ材を歯でかみちぎって成形していきます。


ポールさんがベンテルさんの頭をつかんで木材を口に押し当てると、まるでポールさんが「ベンテルさん」という道具を使っているかのようです。


細かい部分はベンテルさんの爪で削っていきます。


「2日も作業し続けて、歯も爪も削れちゃったよ」と話すベンテルさん。


長さを測る道具もないので、ベンテルさんの体をメジャー代わりにして部材の長さを計測します。


ガリガリと木材を歯で削っては……


口の中にたまった木材を吐き出すの繰り返し。


部材が出来上がったら、最終工程に入ります。


スツールの台座に脚をはめ込み、ポールさんがベンテルさんの拳を金づち代わりにして打ち込んでいきます。


4本目の脚も打ち込んだら……


ひっくり返してさらに台座の上から拳でたたいていきます。


合計で9つの部材を削り出し、3日間をかけた結果……


どうにかスツールが完成。


試しにポールさんが座ってみても、壊れることはありませんでした。


ベンテルさんも……


ちゃんと座ることができました。

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in 動画,   デザイン, Posted by log1h_ik

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