レビュー

ワイン評論家となって味を詩的に表現しながらワイナリーに投資する20禁のカードゲーム「Wine RATING」とその拡張セットで遊んでみました


Wine RATING」は、ワイン業界を代表するワイン評論家となって毎年のワインを評価しつつ、各国のワイナリーに投資を行うというカードゲームで、2016年の東京ボードゲームコレクションで販売されるも、開場1時間半で完売するほどの人気を見せて話題となりました。「Wine RATING」を拡張セットと共に入手できたので、実際にどんなゲームなのか、編集部員4人で遊んでみました。

Wine RATING(ワインレーティング)
http://www.jugame.info/wine.html


Wine RATING VINTAGE(ワインレーティング・ヴィンテージ)拡張セット
https://www.jugame.info/winevintage.html


「Wine RATING」のパッケージにはワインボトルが描かれています。


裏にはゲーム内容の説明が記されています。プレイヤーはワイン品評家となって、各ワイナリーのワインを評価しながら、ワイナリーに投資して点数を稼ぎます。


プレイ時間は30分~50分、プレイ人数は2~4人と設定されています。また、ワインをテーマにしているため、「Wine RATING」の対象年齢は20歳以上となっています。


内容物はこんな感じ。上段が得点トラックのシート・マニュアル・コイン回収早見表で、下段がコイン・得点用ポーン・スタートプレイヤーマーカー・カードです。


ワインをテーマにしたゲームらしく、スタートプレイヤーマーカーはワインボトルのコルク栓。


Twitterでは、ワインボトルのミニチュアマグネットを使って得点用コマを自作することで、よりゲームの雰囲気を演出する人も。

キャンドゥで売っているミニチュアマグネットからビンを外し、ラベルに色を付けてワインレーティングの得点マーカーに。蛍光ペンだと緑と黄色の区別がつきにくいけどまあ満足。一本折れちゃったのが残念。 pic.twitter.com/km4kX8MTHW

— 冷奴 (@kamijo_lip)


全8枚のワイナリーカードには、ボルドーブルゴーニュなど、ワインの名産地が書かれています。日本からは、世界的にも評価が高い甲州ワインを産出する「ヤマナシ」が参戦。


なお、コイン回収早見表の裏には、各ワイナリーの説明が記されていました。


評価カードは全部で16枚。赤ワインと白ワインの2色に分かれています。評価カードにはワインの評価点とワイン評価のテキストが書かれています。いかにもソムリエやワイン評論家が使いそうな詩的表現が並んでいる一方で、マイナスの点数が書かれたカードには「酢です」「ワインではない何か」など、ワインそのものを否定するような酷評も。


さっそく編集部員4人でゲームスタート。まずはワイナリーカードを縦横に4枚ずつ並べます。そして評価カードをよく混ぜて、交互の色を斜めに配置。


プレイヤーに手札とプレイヤーカードを配ります。プレイヤーカードにはカードと同じ色のコインを4枚乗せます。


ゲームのルールは至ってシンプル。プレイヤーは自分の手番に、評価カードを手札から一枚選んで、空いたスペースに置くことができます。評価カードの点数は、置いた列のワインの評価につながります。評価カードを置く時には「ボルドーとヤマナシのワインは『丁寧でスッキリとしたドライで清らかな味わい』が素晴らしいですねえ」など、ワイン品評家のように言うのがおすすめ。


評価カードを置く代わりに、自分のコインを2枚使って、ワイナリーに投資することも可能です。ワイナリーに一番たくさん投資している人がそのワイナリーのオーナーとなり、ワインの評価点をゲットできるというルール。そのため、ワイナリーにちゃんと投資しているかどうかが勝利の鍵になります。


評価カードの中には「スワリング」というカードも。スワリングとは本来、ワインの香りを立たせるためにグラスをくるくると回してワインを空気に触れさせる行為なのですが、「Wine RATING」の場合は、コイン2個を使って場に出すことで他のカードと位置を入れ替えることができます。例えば以下の状況では、スワリングのカードと2枚のコインを出した編集部員は、上にある「5月の風と妖精」とのチェンジを宣言。


スワリングカードを置いた位置に「5月の風と妖精」が、そして「5月の風と妖精」があった場所にスワリングカードが収まります。コインを乗せたスワリングカードは評価ポイント2点分の価値がありますが、ワイナリーへの投資に必要なコインを消費してしまうため、使いどころが非常に難しいカードといえます。なお、スワリングカードはコインを乗せずに場に置くことも可能です。


全員が手札とコインを使い切ったらラウンド終了。初期配置のカードを裏返し、ワインの評価点を計算します。点数計算は簡単で、縦列・横列の評価カードに書かれている点数を足すだけ。また、縦・横で色をそろえることができたら4点が追加されます。


例えば、「ヤマナシ」ワイナリーの列に並ぶ評価カードを見ると「清らかで雄大な広がりを持ち、凝縮感がある」と、ヤマナシの白ワインが高い評価を受けていることがわかります。このワインの点数は、1点(清らか)+2点(スワリング)+3点(雄大な広がり)+2点(凝縮感)+4点(追加点)=12点となります。ヤマナシ・ワイナリーのオーナーだった編集部員は「広がりがありつつ凝縮感があるというのはよくわからないが、これはなかなかいい白ワインなのでは」とご満悦の様子。


イタリーのワイナリーは縦列。雄大な広がりで5月の風と妖精を感じるようなヴィンテージワインなので素晴らしそうなのですが、なぜか「まるで田舎の味噌汁を思い出すダシと埃の味わい」が広がるという評価も含まれています。「やはり地中海は魚介文化だからダシが効いているのか」「みそ汁レベルにダシが決まっているワインとは一体?」と、プレイしている編集部員の混乱を呼ぶワインができあがっていました。点数は-3点(ダシの効いた)+3点(雄大な広がり)+4点(ヴィンテージ)+5点(5月の風と妖精)=9点と、ダシが効いているにも関わらず、まずまずの評価といったところ。


以下の画像は別のラウンドでの結果です。ここでもイタリーのワインは「果実味の感じられるリッチで芳醇なアロマと味わい」を感じられる「王侯貴族御用達」の素晴らしいワインかと思いきや、「この世のものとは思えないワインではない何か」という評価を下されています。さらに「酢です」と断言されてしまったため、「イタリアということは、これはもはやただの高級なバルサミコ酢なのでは」と場がざわつくことも。評価点は-3点(ワイン的な何か)+2点(芳醇)-2点(酢です)+4点(王侯貴族御用達)で計1点という点数になります。


ラウンドが終わるたびに点数計算を行い、評価カードを回収し、手札として各プレイヤーに再度配ります。ワイナリーに投資したコインも半分が回収されるため、欲しかったワイナリーを次のラウンドで奪うことも可能。3ラウンド終了時点で最も得点の高かったプレイヤーが優勝となります。


得点トラックシートの中央部にはカードの種類と枚数が書かれていて、どんなカードが場に出ているのかを見て相手の手札を予想する「カウンティング」を中心としたプレイスタイルが重要になります。


さらに、拡張セットである「Wine RATING VINTAGE」もゲットしたので使ってみました。拡張セットのパッケージは、まるで招待状のような赤い封筒になっています。


中には、説明書と計8枚の効果カードが入っていました。


効果カードは、2ラウンドと3ラウンドの最初に各プレイヤーに配られます。


プレイヤーは評価カードと重ねて出すことができます。効果カードは点数がほとんどありませんが、非常に強力なので、差がついていても逆転を狙うことは十分可能です。


例えば、1ラウンドにつき4枚までしか投資用のコインを所有できないのですが、ワイナリーへのさらなる投資を可能とする「モノポール」のカードは非常に強力。


コインが人気のワイナリーに山のように積み上がるという、通常プレイではあり得ないような場面も見られました。


なお、編集部員2人でプレイをしてみたところ、ワインへの評価よりもワイナリーの奪い合いが強くなり、カウンティングを含めた相手の動きを先読みすることがより重要となります。4人プレイよりも1手のミスが大きく響き、1ラウンドで30点ほどの差がつくことも。


特に2人プレイの場合、スワリングカードは4人プレイよりも使いどころが難しく、序盤に使ってしまうとワイナリーへ投資できる貴重な機会を失ってしまうため、4人プレイよりもさらに弱体化してしまった印象がありました。


実際に「Wine RATING」をプレイしてみると、全体的に上品なデザインと非常にシンプルなルールが魅力に感じました。最初に説明書を見ながらゲームを進めていくのですが、1ラウンドでルールはほぼ把握できます。1ゲーム3ラウンドでおよそ40分~60分といったところですが、シンプルなルールでテンポよく進むため、実際にプレイしているとそれほど長くだらだらと遊んでいる感覚はありませんでした。アナログゲームに慣れていない人でもすぐに理解できるため、初心者でも気軽に遊ぶことができます。

また「気位高いシャム猫と妖精達が戯れる桃源郷」「草原を吹き抜けた風が新婦のベールをゆらす向こう側」など、ワインの味を表現する評価カードのテキストは口に出してプレイすると楽しさが倍増。「投資したワインが酢になった!」「おっ!今年はいい白ワインができたな」など雰囲気を楽しみながらプレイするのはかなりアリ。なお、公式では「ゲームをしながらワインのテイスティングを行い、その結果に応じて追加点をゲットできる」というオプションルールも紹介されていました。


ただし、通常プレイだと一度差がついてしまうとかなり逆転するのが難しくなります。また、シンプルなルールゆえにプレイがやや単調になることも。「Wine RATING VINTAGE」に収録されている効果カードを投入すると、ぐっとゲームのバランスが良くなり、プレイの幅がかなり広がるのでおすすめです。

「Wine RATING」の定価は税込3240円、「Wine RATING VINTAGE」の定価は税込860円でAmazon.co.jpでも取り扱われていますが、記事作成時点では両方とも在庫切れとなっていました。

Amazon | ワインレーティング(Wine RATING)ワイン評論家達のテイスティング対決 | カードゲーム・トランプ | おもちゃ


Amazon.co.jp: ワインレーティング ヴィンテージ(Wine RATING VINTAGE)ワインレーティング拡張パック: おもちゃ

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in レビュー,   ゲーム, Posted by log1i_yk

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