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GoogleやAmazonなどのインターネット界の巨人の影響でスタートアップ企業の寿命が短くなっている


インターネットの世界ではGoogleやAmazon、Facebookといった企業がトップの位置に君臨しています。2018年現在では、これらの巨大企業の影響によって、スタートアップ企業が成功する可能性が著しく低くなっており、むしろ成功しづらい土壌が作られているとのこと。実際どのような現状となっているのか、Economistの記者が解説しています。

American tech giants are making life tough for startups - Into the danger zone
https://www.economist.com/business/2018/06/02/american-tech-giants-are-making-life-tough-for-startups

スタートアップ企業が失敗した例として、一番に挙げられているのがEasyEmailです。2016年にマサチューセッツ工科大学に在学している3人の学生によって立ち上げられた会社は、電子メールの返信内容を予測するアルゴリズムの実現を目的としていました。そして同年5月に資金調達に励むことになるのですが、Googleの開発者向けイベント「Google I/O 2016」でGoogleはEasyEmailと似たツールを発表。投資家はGoogleなどの巨大企業が参入する分野に投資を行わない傾向にあるため、EasyEmailは急きょ方向性を転換する必要に迫られることになりました。

投資家であるマイク・ドリスコル氏は、新しいツールや機能および買収が発表されるGoogleやApple、AmazonなどのIT業界の巨人が開催するイベントを「次にどの企業がつぶされるのか」という視点で見ていると語っています。また、Twitterのスタートアップを支えたアルバート・ウェンガー氏によると「巨大企業の周囲には『殺人地帯』というものがあり、スタートアップ企業がうかつに入ってしまうと、巨大企業にコピーされてしまったり、脅威を排除するために早期に買収されたりする可能性が高く、企業が生き残るには難しい現状があります」と語っており、スタートアップ企業が生き残るのは至難の業であるとしています。

By Jason Cartwright

2018年現在では、消費者向けのインターネットサービスとして認知度の高いAmazonやFacebook、Googleの動向が投資家たちを意識させています。このため、投資家たちは、これらの巨大企業と同じ分野に手を出そうとするスタートアップ企業に投資することに慎重になる傾向にあります。これを反映してか近年のアメリカでは、スタートアップ企業が最初の資金調達ラウンドの突破も困難になってきており、2017年に突破した企業の数は2012年から22%も減少しています。

巨大企業の殺人地帯に入ってしまった企業の典型例として、写真共有サービスのSnapchatが挙げられています。2013年にSnapchatの運営元であるSnapはFacebookから30億ドル(約3300億円)での買収提案を受けましたが、Snapはこれを拒否。すると、Facebookは買収に使用する予定の30億ドルを使ってSnapchatが成功したシステムの多くを模倣しました。結果的に、優位性を失ってしまったSnapは企業としての利益を伸ばしづらい状況に追い込まれることになりました。

脅威はこれだけではなく、巨大企業が想定していない影響をスタートアップ企業が受けることもあります。2017年にAmazonがWhole Foodsを137億ドル(約1.5兆円)で買収
した際、Amazonが食品配送の分野に乗り出すという期待が高まったことで、当時同じ分野で株式上場を目指していたスタートアップ企業のBlue Apronの評価が大きく落ちてしまうという事態が発生しました。このような影響は、スタートアップ企業以外にも見られることができ、2018年にはFacebookが出会い系サービスを始めると発表すると、同分野で事業を展開していた企業の株価が大きく下落するという事態も発生しています。


Economistの記者は、これらの巨大企業がスタートアップ企業を苦しめる殺人地帯と呼ばれるものを形成している理由を3つ挙げています。1番目が巨大企業の持つ情報資産です。Googleの場合、モバイルサービスや検索サービスで大量のユーザーの興味を調べられることもあり、スタートアップ企業が得られる情報量をはるかに上回っています。このため、スタートアップ企業は情報戦において、かなり不利な立場となってしまいます。

2番目が人材です。巨大企業は主力のメンバー以外にも一般の従業員に対しても高い給料を支払うことができるため、人材の流出と優秀な人材の確保を両立することができます。このため、スタートアップ企業には、巨大企業に所属する多数の優秀な人材が集まっても思いつかない画期的なアイデアを求められてしまいます。

3番目の理由は、巨大企業の想像をはるかに上回る新規プラットフォームが登場しないことです。近年ではモバイルの台頭により、それまでインターネットに接続する端末としてパーソナルコンピューターを支配してきたMicrosoftがダメージを負ったことで、GoogleやAmazonが代わりに力をつけるようになりました。2018年現在では、これらの企業に打撃を与えるプラットフォームが登場しておらず、多くのスタートアップ企業が巨大企業と同じ土俵の上で戦わなくてはならない現状となっています。


このことからスタートアップ企業が成功するためには、巨大企業の盲点を突くような分野を見つけなければならず、非常に難しい現状があります。近年は野心的ではない起業家が大多数を占めてきており、最初から戦う意志のないスタートアップ企業も増えてきている状況にあると語っている投資家もいて、ますます巨大企業に立ち向かえる企業がなくなってきている状況になっています。

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in メモ,   ネットサービス, Posted by darkhorse_log

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