乗り物

Appleの自動運転車プロジェクトのパートナーはフォルクスワーゲンに落ち着いた模様


自動運転車の開発を続けるAppleは、既存の大手自動車メーカーを中心にパートナーを探していました。BMW、メルセデス・ベンツ、日産などとの交渉がまとまらなかったAppleのパートナー選びですが、フォルクスワーゲンに決まったとNew York Timesが報じています。

Apple, Spurned by Others, Signs Deal With Volkswagen for Driverless Cars - The New York Times
https://www.nytimes.com/2018/05/23/technology/apple-bmw-mercedes-volkswagen-driverless-cars.html

Appleの自動車開発プロジェクト「Titan」は2014年に誕生しました。公然の秘密だったAppleによる自動車開発プロジェクトは、ついにティム・クックCEOが認めることで公の存在となり、Appleは2018年5月現在、カリフォルニア州で55台もの自動運転車をテスト走行させています。TechcrunchによるとAppleはGMに次ぐ2番目の規模で自動運転車の試験走行をカリフォルニア州で行っているとのこと。


Appleはソフトウェアプログラマー、自動車技師、ロケット開発者、デザイナーなどを集めて「自動車を再構築する」というテーマでTitanプロジェクトを進め、当初は向かい合うように座るドライバーのいない自動運転車を独自で開発しようとしていました。とはいえコンピューターやモバイル端末では実績のあるAppleですが、自動車開発の経験はゼロ。Titanのメンバーは開発からすぐに自動車をイチから設計することが難しいことを理解しました。

そこで、Appleは自分たちがデザインした自動車を製造するパートナー企業を探し始めたとのこと。AppleのTitanプロジェクトをよく知る人物によると、自動車の「ハイエンドモデル」を念頭に置くAppleにとって、ブランドの思想として最も近いと考えたのはBMWだったとのこと。なお、クックCEOを中心にBMWオーナーはApple社内に多く、クックCEO自らBMWを訪れて自動車共同開発の交渉が行われたそうです。数年に及ぶ交渉でしたが、結局、AppleもBMWも「顧客との体験の共有」を自社が保有することに固執したため、この交渉は決裂しました。


Appleの元従業員によると、Appleのもう一つのパートナー候補はメルセデス・ベンツだったとのこと。メルセデス・ベンツとの提携プロジェクトは内部では「Bruce」というコードネームで進められていたそうです。1年以上に及んだ提携交渉でしたが、ユーザー体験の在り方や走行データの取り扱いにおいて両社の意見は一致せず、結局、メルセデス・ベンツとの交渉も決裂しました。

New York TimesのTitan関係者への取材では、Appleがパートナー候補として交渉した相手は、BMWとメルセデス・ベンツ以外にも日産、中国のBYDオート、マクラーレンなどが確認されています。なお、Appleは改造したレクサスのSUVを中心に自動運転テストを行っていますが、レクサスと正式に提携することはなかったそうです。

世界中の自動車メーカーとの提携交渉がまとまらなかったAppleでしたが、ついにドイツのフォルクスワーゲンと正式に提携したとNew York Timesは報じています。提携が決まったのは2017年末のことで、ディーゼル車の排ガス不正問題「ディーゼルゲート」の渦中にあり、自動運転車の開発競争でもライバルに後れを取っていたフォルクスワーゲンは、Appleの提携申し出に飛びついたとAppleの元社員は提携の経緯を明らかにしています。


フォルクスワーゲンの子会社であるItaldesignの研究所で「Volkswagen Transporter(T6)」を電気シャトルへとつくりかえる予定で、まずはApple社員を2つのキャンパス間で送り届けるシャトルとして採用される見込みです。Titanに精通した2人の人物から、「T6のフレーム、シャシー、ホイールはそのまま残るが、ダッシュボードやシートなど車内のコンポーネントはAppleが作り変える」という情報が出されています。なお、Appleとフォルクスワーゲンとのパートナーシップが、シャトル開発を超えて自動運転車の開発に広がるのかは不明だそうです。

・おまけ
Appleの開発する自動運転車のテスト走行車として、新しいデザインのモデルがカリフォルニア州サニーベールで確認されています。

Here's a new look at Apple's self-driving car (video) | TechRadar
https://www.techradar.com/news/heres-a-new-look-at-apples-self-driving-car

新型のApple開発車両を目撃したTechRadarによると、これまでの開発車両と違ってLidarやカメラシステムがむき出しの状態だったとのこと。また、屋根に搭載されたLidarの数が従来の6つから3つに減っているのも確認されています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
フォルクスワーゲンが完全自動運転が可能な未来のEVタクシーのコンセプトカー「セドリック」を発表 - GIGAZINE

来たるべき自動運転車の世界でAppleは存在感を見せられるのか? - GIGAZINE

電撃提携を結んだトヨタとテスラの関係を終わらせた両社の文化的衝突とは - GIGAZINE

Appleの自動車開発に変化の兆候か?自動車本体からソフトウェアにシフトする可能性が報じられる - GIGAZINE

Appleの電気自動車プロジェクト「タイタン」がトヨタ・日産などで品質管理を歴任した人材を雇用したことが判明 - GIGAZINE

Appleの電気自動車のデビュー時期が当初より遅れると報じられる - GIGAZINE

in 乗り物, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.