メモ

89歳の「ナチスばあちゃん」がホロコースト否認で禁錮2年を言い渡されて行方をくらますも逮捕される


第二次世界大戦中にナチス・ドイツが行ったユダヤ人の大量虐殺・ホロコーストを何度も否定しては有罪判決を受け続け、マスコミから「ナチスばあちゃん」と呼ばれる89歳のドイツ人女性が、禁錮2年の判決を下されていたにも関わらず、収監直前になって行方をくらませたために逮捕状が発布され、現地時間2018年5月7日に逮捕されました。

Elderly German neo-Nazi apprehended, sent to prison - ABC News
https://abcnews.go.com/International/wireStory/elderly-german-neo-nazi-apprehended-prison-54988294


'Nazi grandma' who 'went on the run to avoid jail' for Holocaust denial has been caught in Germany | The Independent
https://www.independent.co.uk/news/world/europe/nazi-grandma-on-the-run-caught-ursula-haverbeck-holocaust-denier-germany-jailed-denial-auschwitz-a8341876.html


「ナチスばあちゃん」ことウルスラ・ハーバーベック受刑者は1928年にドイツで生まれ、1970年に国家社会主義ドイツ労働者党(ナチス)の創設メンバーだった1人と結婚しました。ハーバーベック受刑者は環境保護活動に携わる傍ら、ドイツの右翼過激派の運動を支援したり、右翼の教育センターを共同設立するなどといった活動を行っていました。

ハーバーベック受刑者は「ナチス・ドイツによるユダヤ人の虐殺はなかった」と主張するホロコースト否認論者で、ユダヤ人虐殺を否定し、ナチスを正当化するような論文を発表し続けました。ドイツでは公衆の面前でホロコーストを否定すると「民衆煽動罪」として最高で懲役5年の刑に問われます。ハーバーベック受刑者はホロコースト否認論を発表しては罰金を科されるということを繰り返していたため、ドイツのメディアに「Nazi Oma(ナチスばあちゃん)」と呼ばれるようになりました。


度重なる罰金刑にもかかわらず、なおも雑誌などでホロコースト否認論を繰り返すハーバーベック受刑者は、2015年にとうとう起訴されました。裁判でも「ナチスによるユダヤ人の虐殺はなかった」という証言を繰り返しましたが、前述の「民衆煽動罪」により、禁錮10カ月の判決が下りました。ただし、この時点では収監されませんでした。

それでもなおハーバーベック受刑者は活動をやめず、2016年に「アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所では虐殺は行われていなかった」と主張する手紙を政治家に送ったとして、8カ月の刑期が追加されました。「それでもアウシュヴィッツでは虐殺は行われていないのです」という受刑者の訴えを、裁判所は「事実を受け入れることができない人と議論しても意味がありません」と受け流したとのこと。

by Antonio Giardiello

2016年に行われた裁判の直後、ハーバーベック受刑者は判事や検察、弁護士に自身の主張をまとめたパンフレットを配布。また、2016年1月にベルリンで開催された集会に参加し、「ユダヤ人虐殺は事実ではなく、アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所の毒ガス室も作り話だ」と主張しました。この結果、さらに刑期が6カ月追加されて、禁固刑は合計2年となりました。

3年にわたって、健康を理由にした減刑の申し立てや上訴により収監を逃れてきたハーバーベック受刑者ですが、2018年2月、チェレ高等裁判所が上訴を棄却し、禁錮2年が確定しました。


収監予定日は2018年5月2日でしたが、ハーバーベック受刑者が出頭しなかったため警察が自宅を調べたところ、玄関前に郵便物がたまっており、行方不明となっていることが判明。検察は逮捕状を請求。ハーバーベック受刑者は2018年5月7日に帰国したところを逮捕されました。

ハーバーベック受刑者を逮捕した警官は「89歳という年齢にも関わらず活発的な女性が、そのエネルギーを使ってホロコースト否認論というナンセンスを広めるのは嘆かわしい」とコメントしています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
ナチス・ドイツを恐怖に陥れた伝説の女性スナイパー「リュドミラ・パヴリチェンコ」 - GIGAZINE

YouTubeが「ユダヤ人をガスで攻撃しろ」と叫ぶネオナチ過激派のアカウントを「削除しない」としていた姿勢が一転 - GIGAZINE

白人至上主義者「オルタナ右翼」はシャーロッツビルでの事件をどう受け止めたのか - GIGAZINE

ナチスと戦い法に背いてズボンを履いた伝説的女優マレーネ・ディートリヒの物語 - GIGAZINE

「ホロコーストなどなかった」という差別主義的サイトが検索上位に現れる問題でGoogleが検索アルゴリズムの改良に着手 - GIGAZINE

ナチス・ドイツの技術によりイギリスが世界初の有人宇宙飛行を成功させていたかもしれない史実が判明 - GIGAZINE

in メモ, Posted by log1i_yk

You can read the machine translated English article here.