サイエンス

生きたヒト細胞内で初めてDNAの結び目構造「i-motif」が確認される


DNAは二重らせん構造を持つことが知られていますが、結び目をもつかのような「i-motif」と呼ばれる特殊な構造があることも知られています。人の生きた細胞内でi-motifが初めて見つかったと報告されています。

I-motif DNA structures are formed in the nuclei of human cells | Nature Chemistry
https://www.nature.com/articles/s41557-018-0046-3

New form of DNA discovered inside living human cells | The Independent
https://www.independent.co.uk/news/science/dna-new-discovered-human-cells-living-imotif-australia-research-double-helix-knot-a8318116.html

BREAKING: Scientists have confirmed a new DNA structure inside human cells
https://www.sciencealert.com/scientists-have-confirmed-a-new-dna-structure-inside-living-cells-i-motif-intercalated

DNAには二重らせん構造以外にも「i-motif」や「G-quadruplexes(グアニン四重鎖)」などの特殊な構造を持つものが知られています。一般的なDNAは、塩基のアデニン(A)とチミン(T)が、シトシン(C)とグアニン(G)が結合して二重らせんを形成するのに対して、DNAの4本鎖の「結び目」に例えられるi-motifではC同士が結合して特殊な構造を作り出すとのこと。


今回、特殊な構造である「i-motif」を持つDNAを、Garvan Institute of Medical Researchのダニエル・キリスト博士たちの研究グループが、生きたヒト細胞内で観察することに成功しました。これまでは研究室で人工的に作り出した条件の下でのみi-motif構造を観察することができていましたが、自然なヒト細胞内で観察されたのはこれが初めてだそうです。

研究者たちはヒト細胞内のi-motifを特定するために、特定の物質と結像する性質を持つ「Y型」の分子を使って小さなプローブを作りました。このプローブはi-motifのみに結合し、他の形態のDNAには結合しない特殊なものだとのこと。蛍光色素を添加したプローブを使って異なる3種類のヒト細胞を調べると、緑色の斑点が現れては消えるのが確認され、i-motifの形成と再形成が確認されました。


i-motifのような特殊な構造を持つDNAの機能については正確にはわかっていません。しかし、i-motifはDNA配列を読み込む過程やDNAを有益な物質に変化させる過程に関与していると推測する科学者もいるとのこと。ヒト細胞内にあるi-motifが見つかったことで、健康や病気に影響するDNAのメカニズムへの理解が深まるのではないかと期待されています。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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