サイエンス

肥満が原因で発症する変形性関節症は体重増加ではなく高脂肪の食事が原因


変形性関節症はイギリスで約800万人、アメリカで約3100万人が罹患(りかん)している病気です。また、変形性関節症は肥満によって引き起こされる可能性が高いことがわかっており、これまでは、体重の増加が関節に負担をかけ、軟骨をすり減らしていることが原因と考えられていました。しかし、変形性関節症を引き起こしているのは、体重の増加ではなく、高脂肪の食事をしたときに蓄積される不健全な腸内細菌が原因であることを、ロチェスター大学のエリック・スコット氏ら研究チームが示しています。

JCI Insight - Targeting the gut microbiome to treat the osteoarthritis of obesity
https://insight.jci.org/articles/view/95997

Junk food-loving bacteria, not extra weight, cause arthritis and joint problems, study finds | The Independent
https://www.independent.co.uk/news/health/fat-obesity-arthritis-junk-food-probiotic-knee-cartilage-wear-inflammation-study-a8312366.html

高脂肪の食事によって繁殖する腸内細菌は、人体がストレスを感じたりウイルスが侵入したりしたことをきっかけに、炎症を引き起こします。炎症が起こると、免疫システムは関節の細胞や軟骨に攻撃を行います。このとき、膝が攻撃の対象となることが多く、膝の軟骨が摩耗しやすいとのこと。

研究に参加したマイケル・ズシック氏は「軟骨にはクッションと潤滑剤の両方の役目があり、摩擦のない関節の動きを支えています。もし軟骨を失ってしまうと、骨と骨の直接接触、つまり岩と岩がこすれ合うのと同じ状態になります。そうなってしまうともう後戻りはできないので、関節全体の交換が必要になります。これを防ぐために変形性関節症の研究者が、軟骨を保つための努力をしています」と語っています。

By Lena

研究ではマウスによる実験を行っており、マウスに高脂肪食を与えることで脂肪を2倍に増加させ、糖尿病を発症させています。すると、このマウスでは炎症を誘発する細菌レベルが脂肪の少ない食事を与えたマウスよりも高くなり、膝軟骨の摩耗がより速く進行したとのことです。

また、研究チームは軟骨の摩耗を抑える方法も確認しており、ビフィズス菌の成長を促すフラクトオリゴ糖と呼ばれるプレバイオティクス・サプリメントを与えることで、軟骨の摩耗を回避できることがわかっています。実際に、サプリメントを投与されたマウスは、投与されなかったマウスと比較して関節に異常な摩耗は起こらなくなり、炎症の度合が低下することを確認しています。

しかし、「フラクトオリゴ糖」を取り入れることが、人体でも同様の効果を生み出すかどうかは未検証であるため、さらなる研究が必要とのことです。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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